II-2.コンセプトの「再」構築
コンセプトとキャッチフレーズを混同していませんか?
~有効な事業推進を行うには、具体的で明確なコンセプトの構築が重要です~
将来の可能性を知る
●整理分析した問題点から、活性化の方向性を探る
- 外部環境・内部環境それぞれのプラス要素・マイナス要素は把握できましたか?
- 外部環境とは人口動態や世間の景気など、自分たちの努力では改善が困難な要素。
- 内部環境とは商店の魅力や集客装置づくりなど、自分たちの努力で改善が可能な要素。
- 現状を踏まえて、それに必要とされる方策ができましたか?
- 大型店・有名店の誘致等安易な設定を行っていないか?
- 他市の成功事例に習えばうまくいくと先例主義に陥っていないか?
- 既存商圏の中での来街率・買い物依存率を高めるにはどうしますか?
- 商圏の規模自体を拡大できる要素はあるか?
- 既存の街資源や集客要素を生かしているか?
- 観光に資する全国レベルの物産や歴史的遺産、行事、祭りがあるか?
- 上記で上げたものは商業活動に貢献するか。
- 計画を具現化できる人は誰ですか?
● 調査の目的
- 各調査及び分析結果を一覧表等にまとめ、改めて整理する。
- この時点で方向性を決めるために、方針の柱となる要点の再認識を行う
- 上記の内容に基づき、中心市街地活性化のコンセプトの策定を行う
●中心市街地の強みと弱み分析による方向性の模索
次の表はそれぞれの英文の頭文字をとってSWOT分析と呼ばれ、専門家によく知られている基本的な分析法です。
- 現状をまとめる際に作成した強みと弱みの表に、要素を落とし込みます
- 各々の場面で考えられる具体的対策を、思いつくだけ全部記入します
外部環境 | |||
機会(Opportunity) プラス要因
・商圏規模が大きい、商業環境がよい |
脅威(Threat) マイナス要因
・商圏規模が小さい、商圏環境が悪化 |
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内部環境 |
強み(Strength) プラス要因 ・商業の販売力が強い ・業種業態機能が充実 ・まちの集客要素がある ・競合に対する競争力が強い |
【現状】
・商圏が広く増加傾向 ・集客力・競争力が高い ・商業の販売力が強い ・まちの魅力度が高い |
【現状】
・商圏が狭い、または減少傾向 ・競争が激化し競争力が低下 ・既存商業の販売力が強い ・まちの魅力度が高い |
【強化策】
・魅力ある業種の集積強化、充実 ・地域商圏を深耕(ニーズに応える) ・ファッション性向上、情報発信 など |
【強化策】
・住宅整備による人口増で市場を拡大 ・大型店導入による競争力強化 ・個性的な業種集積を強化 など |
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オフェンス戦略 (積極的戦略) | |||
弱み(Weakness) マイナス要因 ・商業の販売力が弱い ・業種構成が単調 ・まちの集客要素が少ない/ない ・競合に対する競争力が弱い |
【現状】
・商圏が広く増加傾向 ・集客力、競争力が高い ・商業の販売力が弱い ・まちの魅力度が低い |
【現状】
・商圏が狭い、または減少傾向 ・競争力、集客力が低い ・商業の販売力が弱い ・まちの魅力度が低い |
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【強化策】
・不足業種を充実、誘致導入 ・個店の販売力強化 ・新たな都市機能を導入 (エンターテイメント、文化、コミュニティ等) ・まちの魅力を生かした集客を強化 など |
【強化策】
・住宅整備による人口増で市場を拡大 ・商業での競争をやめて役割分担と棲み 分けを図る ・既存商圏の生活利便性、快適性、文化 性、福祉などを充実 など |
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ディフェンス戦略 (防衛的戦略) |
- 「強み」をより強化していくのか、「弱み」を補強していくのか、今後の事業の要となる『誰に』、『何を』、『どこで』を設定し、基本コンセプト(街の将来像)を明確にします。
『誰に』
〈例〉「概ね3~5kmに居住する地域住民」を中心とする、a.品質やサービスにこだわる主婦層、b.コミュニティニーズの高い中高年層、c.地域発信、仲間意識の強いヤング層 →商圏図やターゲットイメージを作成します |
『何処で』
〈例〉集客核があり、店舗の集客度の高い、「○○○○通りと○○○○通りを中心軸としたエリア」で →エリアマップを作成します |
『何を』
〈例〉「デイリーライフ(日常生活)をサポートする、食料品、生活雑貨、カジュアル衣料等をセレクトして、又、地域の文化活動等コミュニティの場や、安心、こだわりの飲食店」を中心に →業種業態構成イメージを作成します |
『基本コンセプト』 〈例〉「地域に密着してデイリーライフをサポートする生活文化街」 |
- アイデアは幅広く、豊富に出ましたか、「誰に」「何を」「どこで」の整理もできていますか?
- 「賑わいあふれる豊かな街」のような表現は、商業的には意味が広すぎて適切ではありません。活性化の方向性が、具体的にイメージできる表現を心掛けましょう。
- 導き出されたコンセプトは、今後全ての事業の指針となる
- 商業にとらわれず、幅広い視点から見ることも大切である。
- 商業とコミュニティ機能等、複合的な検討も必要である。