表面処理
新機能PVDコーティング皮膜の工具への高度化処理技術と水素バリア機能膜の技術開発
長野県
岡谷熱処理工業株式会社
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 新機能PVDコーティング皮膜の工具への高度化処理技術と水素バリア機能膜の技術開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、産業機械、工作機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | PVDコーティング、耐久性、水素バリア性、光沢性、アトム窒化 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
新機能PVDコーティング皮膜の高度化を目指し、新型AIP(アークイオンプレーティング)装置を活用し、基材とコーティング皮膜との密着性を高めるための技術開発と、新しい多元合金系の多層膜、超多層膜を開発する。そのアウトプットとして産業界からニーズの高い機械工具・金型部品向け高性能皮膜と水素バリア機能性に優れた各種コーティング皮膜を開発し、事業化を図る。
開発した技術のポイント
・皮膜と基材との密着性を高める前処理技術の課題への対応
・工具へのコーティング性能を高める新合金窒化物皮膜と多層膜、超多層膜の開発課題への対応
・水素透過性を低減可能な膜種の選定と汎用ステンレス鋼への効果検証の課題への対応
具体的な成果
・工具-金型用の高性能コーティング皮膜を開発
-PVDによる多層-超多層皮膜を開発。
-皮膜の前処理として電子ビームとアトム窒化を採用し、皮膜の密着性を向上。
-従来品を凌駕する硬度、密着性。工具寿命は、従来にくらべて数倍以上。
・水素バリア性を持つ高性能コーティング皮膜
-通常のステンレス材に、超多層皮膜をコーティング処理することで、水素バリア性を付与可能。また表面硬さも向上するため摺動部材への適用も可能。
-従来材料に比べて水素透過率を3桁下げることが可能。
知財出願や広報活動等の状況
特許:特願:2020-038504 「水素バリア機能膜および金属部材」
論文:"TiAlN/TiMoN Coatingsas Hydrogen Barriers“;Journal of Material Science and Engineering A9(1-2)
20191-7
研究開発成果の利用シーン
難削材向け切削工具、将来的な水素関連機器用表面処理。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
耐摩耗機能として各種工具、金型、摺動部品等への適用による事業化を検討。水素バリア機能としては、よりコストダウンに繋がる研究を継続し、関連業界での市場開拓を狙う。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・新規開発した窒化物多層膜・超多層膜により、硬さ3800HV 、密着性116 N を達成した。 さらにこの 多層膜・超多層膜を、ドリル、エンドミル、パンチ用金型などの工具の表面加工に適用したところ、工具寿命について従来の 最大 4.2倍を実現した。
・水素バリア機能についても、その透過率を低減出来、を母材単体と比較し3桁以上向上させた。
今後の実用化・事業化の見通し
・難削材加工用ドリル、エンドミル、フライスカッターチップへの硬質コーティング皮膜インコネルなどの耐熱鋼、β型高強度チタン合金、CFRP 等の難削材加工用切削工具への新規硬質多層膜、超多層膜皮膜をコーティングし、工具寿命を延ばし、生産性の向上と、切削面の品質を維持する効果を得る。
・プレス加工用金型・ダイ・打ち抜きパンチへの機能性多層膜、超多層膜打ち抜き、深絞り、曲げなどのプレス加工時に被加工材の工具へ凝着を防ぐための非凝着性の高い膜質と摩擦係数が小さい特皮膜を適用し、生産性を向上させ、被加工物の品質を安定させる。
・ベリリウム銅合金への耐摩耗、摺動性の優れた低温コーティングが可能な硬質皮膜
熱伝導性を重視し、300300℃前後で時効硬化し、銅合金の中では最も高強度のベリリウム銅製エンジニアリングプラスチック射出成型用押し出しピン等部品へAlCrN/CrNAlCrN/CrN系超多層膜をコーティングする。
・水素ステーション、FCVFCV部品への水素バリア機能膜の適用部品への水素バリア機能膜の適用
汎用ステンレス鋼への水素バリア性及び、安全性の観点から密着性に優れた機能膜を適用し、NiNiリッチのリッチのSUS316LSUS316L材を使用しなくても部材として利用できる機能を持たせ、材料調達のコストダウンを図る。
実用化・事業化にあたっての課題
・被加工物に対する施工条件微調整をスムーズに行うためのDB構築。
・水素脆化試験を実施し、水素バリア性の定量評価を行う。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 岡谷熱処理工業株式会社 |
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事業管理機関 | 株式会社信州TLO |
研究等実施機関 | 株式会社プラズマ総合研究所 長野県工業技術総合センター 国立大学法人電気通信大学 国立大学法人信州大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 岡谷熱処理工業株式会社(法人番号:5100001019405) |
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事業内容 | 金属製品製造業、金属部品の真空熱処理及びPVDコーティング |
社員数 | 33 名 |
本社所在地 | 〒394-0033 長野県岡谷市南宮1-5-2 |
ホームページ | https://www.okanetu.co.jp |
連絡先窓口 | 岡谷熱処理工業株式会社 滝澤秀一 |
メールアドレス | takizawa@okanetu.co.jp |
電話番号 | 0266-23-4610 |
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