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デザイン開発

無電源で吊るさず持ち運びができる輸液ポンプを開発いたしました。在宅治療、災害医療、救急医療、リハビリ等にご利用いただける医療機器を目指します

東京都

入江工研株式会社

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 差圧を用いた無電源で吊るさず携帯性・操作性に優れ移動制限のないポータブル補液ポンプの開発
基盤技術分野 デザイン開発
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 輸液ポンプ、無電源、携帯性、つるさない点滴、在宅医療
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 平成30年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

輸液療法は一般的な医療行為であり、輸液バッグを吊るし、重力によって生じる圧力で薬液を投与する方法が続けられている。しかしこの方法は患者に安静を強いる一方、移動による転倒事故や血液の逆流事故等の問題を引き起こしている。現状の問題点を解決するために、吊り下げず無電源で携帯性・操作性に優れまた安定した吐出精度を確保した輸液ポンプを開発し、在宅・介護施設・救急医療現場の抱える課題を解決する。
本事業は、技術開発においては、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、デザイン開発においては埼玉県産業技術総合センターおよび地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの支援を受け実施したものである。

開発した技術のポイント

①輸液バッグの高さ変動による吐出速度の影響が少ない
●血液の逆流事故が発生しにくい

②スタンドが不要で両手が使える
●穿刺部損傷のリスクが少ない
●携帯使用が可能
●電源が不要で救急現場での緊急対応効果が期待できる
●電気式ポンプでないためバッテリー切れやチャージの管理が不要

具体的な成果

①市販輸液バッグ装着時の安定吐出
●3種類の輸液供給構造の候補から、仲介バッグの加圧構造型が有望であることを確認し、製品化候補に定めた。
●仲介バッグの加圧構造型について、吐出試験を実施した。
その結果
*輸液全量の90%以上の吐出目標に対し、これを達成した。
*吐出速度設定値に対しての変動10%以下の目標に対し、500mlの輸液を流量低下率10%近傍で約3時間の吐出ができることを確認したが、輸液バッグメーカーによっては安定供給ができなかった。

②無電源で携帯性・操作性に優れた輸液ポンプの開発
●市場調査により、現行の点滴と開発中の輸液ポンプ機構の比較を行い、イメージモデルとコンセプトモデルを作成した。
●車いす等の介護機器へ装着可能な構造の立案を行った。
●ユーザビリティ評価に基づき本体をサイズダウンしたデザインを再検討し、モデルを作成した。

③吐出・残量モニターの開発
吐出モニター
●取り付け姿勢に左右されない流量モニターが必要であり、その検討を実施した。
その結果
*オリフィス前後の差圧検出による吐出状況の可視化では、ピストン式とベローズ式が試され、ベローズ式は0-5mLの範囲で流量に応じモニターできることを確認した。

残量モニター
●残量モニターについては、真空加圧シリンダピストンをのぞき窓より視認することでモニターできる構造とした。

④真空ピストンの起動位置へのセッティング
●手動ポンプによる加圧で、真空ピストンを起動位置にセッティングを行える構造とした。

⑤製品化に向けた薬事申請のためのデータ収集

輸液ポンプに関するイメージモデル・コンセプトモデル
輸液ポンプに関する3機種候補
輸液ポンプに関するユーザビリティー調査
輸液ポンプに関する吐出試験(吊り下げ型と比較)
知財出願や広報活動等の状況

出願番号:特願 2019-84629
   知的財産権の種類:特許出願
   発明の名称:輸液流量検知器
   出願日:平成31年4月25日
   出願人:入江工研株式会社・国立研究開発法人産業技術総合研究所

出願番号: PCT/JP2020/010087
   知的財産権の種類:特許出願
   発明の名称:輸液バッグ加圧容器、輸液バッグ加圧装置
   国際出願日  09.03.2020
   出願人:入江工研株式会社・国立研究開発法人産業技術総合研究所・Green Apple株式会社

出願番号: PCT/JP2020/010088  
   知的財産権の種類:特許出願
   発明の名称:輸液バッグ加圧容器、輸液バッグ加圧装置
   国際出願日  09.03.2020
   出願人:入江工研株式会社・国立研究開発法人産業技術総合研究所・Green Apple株式会社

「ガイアの夜明け」にとりあげられました。医療現場を救う!町工場の“技”  2016/10/25(火)22:00放送

研究開発成果の利用シーン

従来、医療機関など輸液バッグを吊るすことのできる場所でしかできなかった点滴が、自宅や移動時にも可能となる。また救急・災害時等、電源やスタンドがない場合にも適用が考えられる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

輸液ポンプ承認基準の要件を確認し、その要件に基づき開発を進めている。PMDA無料相談を受け、一般的名称についての提案をいただいた。
今後、高度管理医療機器を扱う製販業者株式会社スカイネットのもと、2022年にPMDAへ薬事申請を行い、2023年より販売開始を目指す。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、製品製造

製品・サービスのPRポイント

従来、点滴スタンドが必須で、また患者に安静を強いる薬液投与について、本研究開発による輸液ポンプにより、携帯性が格段に向上し、在宅で安全に使用が可能となる。これによって医療環境や患者のQOLの向上につながる。また無電源のため救急・災害時のような電源確保がない状態においても安定した輸液を行うことができる。また重力による吐出ではないため、高さを常に確保しなくても点滴を行うことができ、血液の逆流事故の可能性が低いこともメリットである。

輸液ポンプに関する外観デザイン
輸液ポンプに関する使用シーン
今後の実用化・事業化の見通し

輸液ポンプ承認基準の要件を確認し、その要件に基づき開発を進めている。PMDA無料相談を受け、一般的名称についての提案をいただいた。
今後、高度管理医療機器を扱う製販業者株式会社スカイネットのもと、当社は製造業者として、2022年にPMDAへ薬事申請を行い、2023年より販売開始を目指す。株式会社スカイネットは輸液ポンプの製品化に関して東京都中小企業振興公社による医療機器助成金の採択を受けている。
製造業者としての入江工研株式会社はテクニカルセンター(埼玉県川越市)を医療機器製造拠点と定め、製造体制を構築している。株式会社スカイネットの指導の下、リスクマネジメントの構築を行っており、そのリスクマネジメントに基づき、開発を進めている。今後試作品を完成させ、総合川崎臨港病院にて臨床試験を実施し、製品に反映させていく予定である。

実用化・事業化にあたっての課題

・リスクマネジメント
・安定した吐出流量を得るための仲介バッグ形状やその周りの保持材の構造決定
・筐体の量産設計
・臨床試験
・PMDAへの薬事申請
・コスト試算

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 入江工研株式会社
事業管理機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
研究等実施機関 入江工研株式会社
国立研究開発法人産業技術総合研究所
埼玉県産業技術総合センター
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
アドバイザー 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
地方独立行政法人 東京都立産業研究センター
総合川崎臨港病院
株式会社シャルマン

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 入江工研株式会社(法人番号:3010001070443)
事業内容 製造業 非鉄金属製造業
社員数 200 名
本社所在地 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目1-1
ホームページ HTTP://WWW.IKC.CO.JP
連絡先窓口 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 開発本部 開発企画室
メールアドレス kaihatsu@iri-Tokyo.jp
電話番号 03-5530-2528