文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 三次元積層造形技術を用いてカスタムメイド人工骨幹を開発しがん患者の苦痛軽減と治療後のQOL向上を目指す

立体造形

三次元積層造形技術を用いてカスタムメイド人工骨幹を開発しがん患者の苦痛軽減と治療後のQOL向上を目指す

福井県

ヤマウチマテックス・エンジニアリング株式会社

2024年12月6日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 転移性骨腫瘍患者向けカスタムメイド人工骨幹製造技術の確立
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 三次元積層造形、カスタムメイド、チタン、鉛フリー
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

日本では転移性骨腫瘍に対し応急的な治療が主で根治治療ができていない。また、カスタムメイド人工関節の開発は行われているが、関節から遠い場所の骨腫瘍治療用カスタムメイドインプラントはない。そこで、3次元積層造形と切削加工を合わせた立体造形技術の高度化により、骨腫瘍を切除した患者の骨格に完全にマッチするカスタムメイド人工骨幹を開発し根治治療を実現し、全てのがん患者の苦痛軽減と治療後のQOL向上を目指す。

開発した技術のポイント

・電子ビーム方式金属三次元積層造形によるカスタムメイド人工骨幹の開発
・切削技術を駆使した人工骨幹精度向上
・短納期ならびに優れたユーザビリティ実現による患者および医師の負担軽減ならびにQOL向上

具体的な成果

・電子ビーム方式金属三次元積層造形によるカスタムメイド人工骨幹の開発
‐強度・生体適合性を高めた高機能化カスタムメイド人工骨幹を試作開発することを目標とし、製造工程を確立した。
・切削技術を駆使した人工骨幹精度向上
‐初年度に、第一例の臨床試験を実施した。
2年目は患者のCTデータより患肢骨を造形し、模擬手術を実施した。
最終年度には、第二例の臨床試験を実施することができた。開発中の手術用デバイスの検討もできた。
‐臨床試験にて容易な挿入が可能であることと、患者の骨への適合を確認できた。
・短納期ならびに優れたユーザビリティ実現による患者および医師の負担軽減ならびにQOL向上
‐第二例目の臨床試験時には、臨床試験用ならびに術前シミュレーション用のカスタムメイド人工骨幹と術前シミュレーション用の患者のCTデータから造形した樹脂製模擬骨を従来品より短納期で納品することができた。
・手術時間の短縮
‐他の術式と比較し、手術時間や出血量は半分以下であり、手術の低侵襲化が達成されている。術後の合併症も発生しなかった。

病的骨折
開発品による治療
研究開発成果の利用シーン

3次元積層造形技術と、切削加工技術を合わせた立体造形技術によって製造された人工骨幹を、以下のシーンで活用できる。これらは医療現場からの強いニーズがある。
・人工骨幹を正常な部分の骨と一体化させるための個々の患者に適合できる。
・手術後に介護等を必要としなくなる。
・低侵襲での手術を可能にして患者と医師の負担を軽減できる。
個々の患者に最適なカスタムメイド人工骨幹製造技術を確立し、カスタムメイド人工骨幹を医療現場に提供することで患者および医師のニーズに応え、全てのがん患者の苦痛軽減と治療後の生活の質の向上を実現する。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

本事業における研究開発成果であるカスタムメイド人工骨幹を使用し、患者2名に対し上腕骨の転移性骨腫瘍の根治治療を実施することができ、その有用性が確認されている。厚生労働省医政局経済課との面談実施の結果、カスタムメイド人工骨幹の保険収載は可能であるとの意見を得られている。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

3次元積層造形と切削加工を合わせた立体造形技術の高度化により、骨腫瘍を切除した患者の骨格に完全にマッチするカスタムメイド人工骨幹を開発し根治治療を実現できる。
全てのがん患者の苦痛軽減と治療後の患者および、家族の生活の質(QOL)を向上できる。
高精度に製作することで、精度向上や挿入容易化を実現し、その結果、手術時の医師と患者の負担を低減できる。

今後の実用化・事業化の見通し

今後は、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の助言に基づき、承認申請に向けた非臨床試験、生物学的安全性試験等の規格に則った試験を実施し、薬事承認ならびに保険収載を目指す。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 ヤマウチマテックス・エンジニアリング株式会社
事業管理機関 公益財団法人ふくい産業支援センター
研究等実施機関 国立大学法人富山大学
国立大学法人福井大学
福井県工業技術センター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 ヤマウチマテックス・エンジニアリング株式会社(法人番号:5210001010385)
事業内容 主にチタンを使用した眼鏡材料等の製造業
社員数 19 名
本社所在地 〒918-8231 福井県福井市問屋町2-22
ホームページ http://www.matex.co.jp/
連絡先窓口 ヤマウチマテックス・エンジニアリング株式会社 総括代表研究者 山内 隆嗣
メールアドレス y_med@matex.co.jp
電話番号 0776-25-5600