研究開発された技術紹介

優れた機械・化学・電磁気的特性を持つ金属ガラス/ナノ結晶材の溶湯を高速回転鋳型に注入・急冷凝固させ、金属系新素材の複雑形状部材を安価に量産できる半自動化した急冷遠心鋳造精密成型技術を開発する。これにより、自動車、医療機器等の製造業でのハイテク化に必要な高機能機械機能部材の国際競争力確保(小型軽量化、省エネネットシェイプ工程・コスト低減化)が可能となる

急冷遠心鋳造法による高強度金属ガラスの加工技術を開発する
・鋳型成形部：急冷用回転Cu鋳型で遠心力は≧3,000G
・バルク金属ガラス特性：高強度(強度≧2,000MPa以上)、高耐食性(100倍以上)のZr系、軟磁気特性(μo≦3×104)
・量産化・半自動化：同時生産6個、連続生産60個、成形部材の製品コストは最大1/3～1/50
(新技術)
急冷遠心鋳造法
・湯流れ・流動性・成形性：遠心加圧、湯流れ良好、小型複雑形状成形可能
・精密転写性：高価圧化で良精密転写性、菅・小型凹凸部材に適用限定
・材質・欠陥・歩留まり：組織緻密化、欠陥低減、ノズル法により良好な歩留まり
・低コスト・量産：一工程での成形が可能、高速鋳造・自動化容易、装置安価・量産可能

・ガラス成型における遠心鋳造法の有用性を確認
‐効率よく良好な成形品の鋳造が可能な鋳型回転数・溶湯温度等を確定
‐遠心鋳造法は、鋳型材質によらず、ガラス成型能を有する部材製作が可能なことを確認
‐圧力(溶湯)漏れ防止策として、シール材としてのプランジャーリングを完成
・自動車用トルクセンサ用部品における実用性を確認
‐自動車用操・転舵系トルクセンサ用磁歪リングに用いる高強度合金Fe80Ga7Al3Zr5C5は1,600℃前後で溶融することを確認
‐鋳型接触面では急冷効果による組織微細化が、トルク感度向上に有効
‐破壊応力は1,000MPaを超え、従来にない磁歪強度を達成
‐磁歪保持力(Hc)は微細結晶化により、通常鋳造大結晶組織比で3倍以上に

・特許：「急冷凝固用遠心鋳造機の回転鋳型」(特開2008-126313)、「高重力下で創製される高機能材料」(特願2011-155235)
・論文：古屋泰文ほか「急冷凝固Fe-Ga合金における大磁歪現象」(2002)

小型機械部品・機能ロボットのアクチュエータ部品、電気自動車の電磁モータ用部材等、能動機能型医療機器に使用されるマイクロセンサ等、幅広い分野に利用可能

・H25年度に実用化の見通し
・金属ガラス医療用鉗子及び関節、ロボットアーム関節部品のサンプルあり(無償)
・ナノ結晶合金磁歪リング(トルクセンサ部品)のサンプルあり(有償)

・新素材開発：ナノ結晶合金の磁歪リングは、引張強度600MPa、磁歪量120ppmの材質特性を持つ
・小型化：医療用内視鏡の関節及び鉗子等微細部品の製作を実現
・低コスト化：精密な鋳造技術により加工時間を大幅に短縮し、コストを低減
・納期・製作時間短縮：従来より生産サイクルタイムが早く、生産能力が2倍で短納期を実現

実用化を目指し、補完研究等に取り組む
・H26年4月の実用化を目指し、補完研究を経て、需要予測、量産体制の立案、アウトライン設計、設備・機器投資計画を立てる