バイオ
いろいろな細胞が含まれた細胞集団から、欲しい細胞が自動で単離でき、かつ従来の自動機よりも安価な装置
千葉県
ネッパジーン株式会社
2022年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 細胞集団分離機能及び蛍光と形態判断に基づき自動で高精度に細胞単離ができる機能を兼備した安価な革新的装置の開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(使用機器削減)、低コスト化 |
キーワード | 細胞単離、シングルセル解析、細胞分取、次世代シーケンサー、細胞ピッキング |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
近年、細胞の様々な情報が解析可能となり、1細胞解析研究が急速に発展し、細胞単離技術が必須になってきた。連続密度勾配により細胞群をわずかな比重差でも分離できる遠心分離装置と、微少量の液体を吸引・吐出可能な小型ピペット装置を統合し、蛍光及び形態判断に基づき、高精度に目的細胞を単離できる安価な自動装置を開発する。事業化により、当該研究の裾野を広げ、研究成果の更なる加速に貢献し、将来の医療用途展開も図る。
開発した技術のポイント
・遠心分離装置と1細胞吸引・吐出装置の統合
-駆動分解能2μm、細胞検索範囲10mm×10mm、吐出駆動範囲126mm×85mm以上、1ステップでの単離プロセス、選択的単離90%以上を達成した。
-サイフォン機構を利用した自然吐出抑制により、1細胞吸引・吐出動作が向上した。
-低倍率レンズと高倍率レンズとの配置変更により、倍率切替動作が高速化し、細胞画質が大幅に向上した。
・細胞吸引・吐出自動制御ソフトウェア
-照明器具に蛍光励起抗原を変更することで、蛍光視野と暗視野を低倍率で明瞭に観察できるようになった。
-蒸発抑制機能を有する細胞容器を開発し、単離効率が向上した。
・遠心分離チップの分離精度、安定性および回収効率
-密度勾配の評価を確認するため比重マーカーを作製し、比重マーカー精度0.004以内を達成した。
-遠心分離チップの再設計および半量産試作を行い、遠心分離の条件検討により連続密度勾配CV値8%以内を達成した。
-抗体ビーズを用いた遠心分離によるネガティブセレクションまたはポジティブセレクションを行い、目的細胞を特定の比重に集めることに成功した。
-細胞培養等による回収後の細胞の品質評価では、目的細胞の存在比率の上昇率10倍以上を達成した。
具体的な成果
・遠心分離装置と1細胞吸引・吐出装置の統合装置の開発
-統合装置での選択的単離90%以上を達成した。
-電気浸透流ポンプにサイフォン機構を接続することにより1細胞吸引・吐出動作がさらに向上した。
-低倍率レンズと高倍率レンズの配置変更により、倍率切替動作の高速化と細胞画質が大幅に向上し、更に商品力向上と低コスト化が実現できた。
・細胞吸引・吐出自動制御ソフトウェアの開発
-照明器具の更なる改良により、細胞の画像が鮮明に得られるようになったため、より多くのパラメータを活用して細胞の検出が可能となった。
-吸引成功率を高めるための細胞容器の開発も行い、単離効率の向上を実現した。
・遠心分離チップの分離精度、安定性および回収効率の向上
-遠心分離チップの再設計および半量産試作を行い、遠心分離の条件検討により連続密度勾配CV値8%以内を達成した。
-抗体ビーズを用いた遠心分離によるネガティブセレクションまたはポジティブセレクションを行うことにより、目的細胞の存在比率を大幅に向上させた。
-細胞培養等による回収後の細胞の品質評価を行い、目的細胞の存在比率の上昇率10倍以上を達成した。
知財出願や広報活動等の状況
発明の名称:細胞回収装置 出願番号:特願2020-114086
・本事業の研究開発成果から派生したピッキング機能のみの製品を2019年11月にロンドンで開催されたシングルセル関係の学会(SynGen Series UK)で参考展示した。多くの研究者が興味を持ち、うち10人の研究者が、デモや発売時期、価格などについて高い興味を示した。
研究開発成果の利用シーン
今回開発した高精度に目的細胞を単離できる安価な自動装置を用いることで、基礎研究が進展し、がん、糖尿病、アレルギー、アルツハイマーなどの病気の解明や、効率的な抗体医薬、診断医薬研究開発の推進が期待される。また本技術が細胞バンクや細胞培養受託施設で採用されれば、細胞製造の生産性効率が改善し、より高品質な細胞を再生医療に用いることができるようになる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
最終製品としては、細胞集団分離機能と、蛍光と形態判断に基づき自動で高精度に細胞をピッキングできる機能を兼ね備えた装置、あるいはその二つの機能を単体でも組み合わせても使用できる装置を開発・事業化する予定である。ただ現在はその前段階として、ピッキング装置の、さらに機能に絞った関連装置の事業化を進めている。この装置は現状製品としての大枠は完成しており、現在はソフトウェアの修正、さらなるピッキング精度・効率の向上、事業化に向けた輸送テストやアプリケーション開発などを行っている。
提携可能な製品・サービス内容
製品
製品・サービスのPRポイント
最終製品は、連続密度勾配により細胞群をわずかな比重差でも分離できる遠心分離装置と、微少量の液体を吸引・吐出可能な小型ピペット装置を統合、あるいは組み合わせて使用し、蛍光及び形態判断に基づき、高精度に目的細胞を単離できる安価な自動装置をとなる見込み。
現在はその前段階として、ピッキング装置の、さらに機能に絞った関連装置の事業化を進めている。この装置は最終製品での自動部分を一部人の手で行うことにより、より安価な装置になる見込みで、かつスピーディに市場へ届けることができる。
この装置により、潤沢な予算のない研究者でも1細胞研究を行えるようになり、医薬開発や再生医療分野の研究開発が進む。
今後の実用化・事業化の見通し
本事業の研究開発成果をもとに、ピッキング装置、遠心分離装置、統合装置としての再設計・改良を行う。最終仕様が決定したら、製造コスト削減の検討をして、製造バリデーションを早急に行い、安定した量産体制を構築して、2021年度中の販売を目標に順次製品化に向けての準備を進めていく予定である。事業化により当該研究の裾野を広げ、将来の医療用途への展開も図る。
実用化・事業化にあたっての課題
本事業の研究開発として、当初設定した目標課題は達成している。その成果をもとに、さらなる細胞単離効率向上のため、遠心分離装置、ピッキング装置、またそれらの統合装置の再設計や改良が課題である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | ネッパジーン株式会社 商品企画開発部 株式会社エターナス |
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事業管理機関 | 公益財団法人千葉県産業振興センター |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター 基礎腫瘍学ユニット 独立ユニット長 大木理恵子 学校法人聖路加国際大学 大学院 生体医科学分野 教授 平家 勇司、共同研究ラボラトリー 研究員 山平 真也 国立大学法人東京大学 (H29年度のみ) 工学系研究科 教授 長棟 輝行 国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター 准教授 山口 哲志、同 研究員 大橋 友紀、同 研究員 細金 剛、同 研究員 小阪 高広、同 研究員 山岡 未知 |
アドバイザー | 大塚製薬株式会社 学校法人中村産業学園 九州産業大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | ネッパジーン株式会社(法人番号:4040001028462) |
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事業内容 | 理化学機器の製造・販売・輸出 理化学機器の輸入販売 |
社員数 | 12 名 |
本社所在地 | 〒272-0114 千葉県市川市塩焼3-1-6 |
ホームページ | www.nepagene.jp |
連絡先窓口 | ネッパジーン株式会社 商品企画開発部 鈴木 孝尚 |
メールアドレス | suzuki@nepagene.jp |
電話番号 | 047-306-7222 |
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