バイオ
低侵襲、高効率、施術者の負担軽減等を実現した画期的な「新規骨髄液採取システム」を構築
京都府
マイクロニクス株式会社
2023年2月11日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高効率に骨髄幹細胞採取が可能な安全かつ低侵襲ハイパーフォーマンス技術開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(使用機器削減)、低コスト化 |
キーワード | 骨髄移植、血液癌、造血幹細胞移植、骨髄液採取システム、ドナー |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
骨髄幹細胞移植による治療は、白血病や悪性リンパ腫等の血液癌、さらには重症虚血性末梢動脈疾患等の100万人ともいわれる重傷な難治性疾患に対して最も効果的な治療法として認識されているにも関わらず、普及を妨げている諸問題がある。その一つが骨髄幹細胞移植に必須のドナーからの骨髄幹細胞採取法である。従来の骨髄幹細胞採取法では、手動で腸骨に骨髄穿刺針を数十カ所以上穿刺し注射器で吸引採取するため、ドナーへの高い侵襲性、低採取効率、施術者の負担増等の課題がある。
本研究開発では、それらの課題解決のため、動力を用いて、低侵襲性、高効率、施術者の負担軽減等を実現する、画期的で臨床応用可能な「新規骨髄液採取システム」を構築した。
開発した技術のポイント
・採取針先端部形状、加工方法および接合方法の確立と量産化技術の確立
・骨髄液採取針の溶接は、異種材料の溶接は難しいが発想を変え、コイルと同等の可撓性のあるSUSパイプをレーザー加工で克服した
・骨髄液採取装置の安定掘削技術の確立
・動力を用いた安価で簡便な腸骨穿孔技術
・複数回使用に耐える骨髄液採取針、安全な採取針先端部形状に関する技術
・骨髄液採取針の挿入支持体トロカー及びトロカードライバーの開発
・トロカー内套針のサイズは、設計図面に示された長さに対して最大誤差 ±0.05mm
・皮質骨に危害をおよぼさない安全なすべり針技術、海綿骨を安全に掘削、破砕する髄液採取針の溶接技術の開発
・穿孔予知感圧センサー技術の開発
・リアルタイムモニタリング可能なソフトウエア開発
・凝固防止及び無菌的回収技術開発の開発
・閉鎖状態を保つ回収ボトルおよび回収ラインの開発
具体的な成果
・骨髄採取針先端部のすべり針とレーザー加工したSUS304製パイプを溶接して接合強度確保した。このことでコストダウンの目途ができたこと確認
・骨髄液を回収するために海綿骨除去フィルターを持つ回収ボトルを検討し、回収ボトルへ骨髄液が入る流入口および回収ボトルから減圧吸引する吸引口にロック式コネクターを装着した結果、採取操作中の接液ラインの外れ事故の防止が可能となった
・修正した流路構成部品や機器を手術時の構成で組上げて疑似液を流し、繰り返し試験して液漏れや接続部のコネクターを変更した結果、液漏れの問題は解消した。液の閉塞、流路等、問題のないことを確認
・ブタ骨髄採取実験により骨髄液採取装置を制御装置に接続し、骨髄液を採取して回収ボトルに回収し、骨髄液の細胞を検査したところ、機能性能では、部分的に改良すべき箇所が見られたが、回収骨髄液には当初懸念された凝固塊等は見当たらず、ほぼ満足する結果が得られた。
知財出願や広報活動等の状況
骨髄採取システムの基本要件は特許が成立している(全体外観写真に示す内容)。更に手術時により安全で簡便な方法の出願を予定している。したがって学会、催し物、外部の報告書、展示会などでの公開は避けている。一方、有望な貸出やプレゼンはコロナ渦が落ち着いたら活動を再開する。
研究開発成果の利用シーン
α版骨髄液採取装置の提供による骨髄液採取効率の向上、ドナーへの侵襲性の低減、施術者の負担軽減。(少人数での手術と短時間で骨髄採取が可能になった)
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業の今年度の技術開発で臨床治験用検体を製造する技術的な見通しが立ったため、当該骨髄幹細胞採取装置の許可申請に向けてQMSに準拠した治験検体の製造準備を整えることが可能となってきた。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
α版骨髄液採取装置の特徴
穿刺方法:動力
穿刺箇所:穿孔1カ所から5方向に穿刺可能
骨髄液採取量:~200mL
自己血の輸血:不要
幹細胞採取量:多い
麻酔:全身麻酔もしくは局所麻酔※
採取時間:1時間以内
採取要員:1人(女性可)
ドナー入院期間:1~2日
施設:自己血液保存設備不要。ベッドサイドでも採取の可能性あり。
操作性:易
医療経済学的費用:大幅に費用削減
今後の実用化・事業化の見通し
本事業による技術開発により、従来法の課題を解消し、中小病院へも骨髄幹細胞移植の展開が容易になると考えられ、従来法の70~80%の患者の骨髄移植を、本デバイスを用いた施術に置き換えることが可能と思われる。
今後は、医療機器製造販売業を持っている業者と協業して、この事業で習得したノウハウを事業に反映して事業展開していく予定である。
実用化・事業化にあたっての課題
・抗凝固剤供給回路と骨髄液採取回路などのチューブと各デバイスの接続方法を踏まえた全体設計をこれから検討する。
・トロカー専用ドライバーとトロカー頭部間の接続方法を開発する必要あり。
・トロカー専用ドライバーの設計開発を実施する。
・トロカー頭部への o-リング装着による気密保持機構を付加し、骨髄液回収回路での気泡発生防止の実現する。
・動力を用いて、短時間、高効率の新規骨髄液採取システムにおいて、医療機器としての認証を受け、QMS体制の基、製造承認及び製造販売業の体制での治療行為を実現させる必要がある。
事業化に向けた提携や連携の希望
精密機器製造の業界で医療機器、特にクラス2以上の管理医療機器の製造を経験済みの企業との連携を模索中
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | マイクロニクス株式会社 営業技術部 株式会社トランセル |
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事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
研究等実施機関 | 学校法人東京女子医科大学 大学院 医学研究科 先端生命医科学系専攻 教授 正宗 賢 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | マイクロニクス株式会社(法人番号:7130001033087) |
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事業内容 | バイオ医療、環境計測、LA関連機器の設計・製作・販売 |
社員数 | 51 名 |
生産拠点 | 本社工場のみ |
本社所在地 | 〒613-0036 京都府久世郡久御山町田井新荒見24番地1 |
ホームページ | http://www.micronix.co.jp |
連絡先窓口 | マイクロニクス株式会社 八木 良樹 |
メールアドレス | yagi@micronix.co.jp |
電話番号 | 0774-46-8303 |
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