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バイオ

日本発世界初の接着性を有する体内埋植素材『リン酸化プルラン』

北海道

国立大学法人北海道大学

2023年2月15日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 リン酸化プルランの大量・精密製造技術の確立と短期骨再生を可能とするペースト状人工骨の開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(医薬品や医療機器の性能向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード リン酸化プルラン、大量製造、精密製造、短期骨再生、ペースト状人工骨
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

密着性、粘着性、吸収性などの革新的機能を有する日本発世界初の体内埋植材料である「リン酸化プルラン」の大量・精密製造技術の確立を通じて、従来では実現できなかった短期間での骨再生を可能とするペースト状人工骨を開発する。また、リン酸化プルランが有する革新的機能は、医療現場、医療製品、再生医療用材料など多様な用途が見込まれており、川下企業とともに医療分野におけるイノベーションを実現する。

開発した技術のポイント

・リン酸化プルランのリン酸化率を正確に測定する手順の確立
・分子量の精密制御
・エンドトキシンを除去する技術
・凍結乾燥品によるリン酸化プルランの粉体製造技術
・非硬化型の接着性ペースト状(あるいはパテ状)人工骨の製作技術

具体的な成果

・リン酸化率 4~8%の範囲のリン酸化プルランを、平均分子量40万~120万の範囲で、±5 万の精度で大量製造できるようになった。
・製造過程でエンドトキシンを除去し、検出限界以下に抑えることができた。このことは大幅な製造コスト減につながる画期的な成果である。
・リン酸化プルラン凍結乾燥品の製造法と滅菌法を検討し、機能性に優れたゲルを簡便に作製する方法を確立することができた。
・機能性に優れ安全性の高いペースト状人工骨を作製できた。

知財出願や広報活動等の状況

開発した製造技術は、他者の参入を防ぐためノウハウとして蓄積し、特許出願などは行わない予定である。広報活動は、国内の研究機関に共同研究を持ち掛ける形で進めている。

研究開発成果の利用シーン

リン酸化プルランは、日本発世界初の接着性を有する体内埋植吸収性素材である。ヒアルロン酸やコラーゲンに替わる新しい機能性素材として、医薬品や医療機器に利用可能である。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

最初に製品化するのは、先駆け審査指定制度に選定された医療機器の「リン酸化プルランバイオアドヒーシブ」と骨再生の促進機能を有した2種類の「非硬化型のペースト状充填材」である。この製品化に向けて、総括研究代表者が所属する北海道大学、副総括研究代表者が所属する三協化成株式会社、川下企業である日本MDBソリューションズ株式会社の3者間における具体的な取組として、先駆け審査指定制度選定医療機器であるリン酸化プルランバイオアドヒーシブの医師主導治験に向け、北海道大学の依頼で三協化成株式会社はリン酸化プルラン水溶液をGMP基準で3ロット製造中であり、さらに、同製品の規格決定に向けた平均分子量の異なるリン酸化プルラン4ロットを令和4年度中に製造する予定である。また、日本MDBソリューションズ株式会社は、その溶液を受けて凍結乾燥品を製造する準備を進めている。

提携可能な製品・サービス内容

共同研究・共同開発、試作品の提供

製品・サービスのPRポイント

リン酸化プルランは、ヒアルロン酸やコラーゲンに替わる生体親和性に優れた体内埋植素材として期待されている。骨補填材としては、AMEDの支援を受けて唇顎口蓋裂と頭蓋骨縫合早期癒合症の治療用材料開発を進めている。短期吸収置換型の接着性ペースト状人工骨は、頭蓋骨縫合早期癒合症による骨欠損だけではなく、これまでなかった医療製品として、歯科、整形外科、形成外科、脳神経外科で幅広い用途展開が期待されている。

今後の実用化・事業化の見通し

本事業で設定した当初の目的は十分に達成されており、基本的に追加の研究開発は必要ない。残りの取組として、開発した素材を基にした医療製品開発であるが、これについては、本事業の成果を基に、以下の大型公的研究費を獲得し十分な開発資金を受けて実用化を進めている。

・令和4~8年度医療機器開発推進研究事業「リン酸化プルランバイオアドヒーシブを用いた革新的唇顎口蓋裂治療法の開発」(AMED:厚生労働省系)4億円(間接経費含む)
・令和4~6年度医療機器等研究成果展開事業「頭蓋骨縫合早期癒合症治療に向けた骨再生制御 技術の開発」(AMED:文部科学省系)1.3億円(間接経費含む)

実用化・事業化にあたっての課題

製品化のため、開発した素材を基にした医療製品の開発を引き続き推進する必要がある。

事業化に向けた提携や連携の希望

リン酸化プルランは、ヒアルロン酸やコラーゲンに替わる生体親和性に優れた体内埋植素材として期待されている。本サポイン事業終了後、令和4~8年度医療機器開発推進研究事業「リン酸化プルランバイオアドヒーシブを用いた革新的唇顎口蓋裂治療法の開発」、令和4~6年度医療機器等研究成果展開事業「頭蓋骨縫合早期癒合症治療に向けた骨再生制御技術の開発」の2つのAMED事業に採択されたことはその表れである。そこで多くの企業や研究機関が、新素材であるリン酸化プルランの用途展開に参画していただけることを望むものである。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 BioARC株式会社 品質管理部
三協化成株式会社 福知山事業所
事業管理機関 国立大学法人北海道大学 大学院歯学研究院
研究等実施機関 国立大学法人北海道大学 大学院歯学研究院
国立大学法人東北大学 大学院環境科学研究科
国立大学法人九州大学 大学院歯学研究院
国立大学法人岡山大学 医歯薬学総合研究科
学校法人順正学園九州保健福祉大学 保健科学部
国立研究開発法人産業技術総合研究所 四国センター 健康工学研究部門
アドバイザー ジンマー・バイオメット合同会社
ジンマー・バイオメッド・デンタル株式会社
日本MDBソリューションズ株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 国立大学法人北海道大学(法人番号:6430005004014)
事業内容 高等教育機関
社員数 4765 名
本社所在地 〒060-0808 北海道札幌市北区北8条西5丁目
ホームページ https://www.hokudai.ac.jp/
連絡先窓口 国立大学法人北海道大学歯学事務部会計担当
メールアドレス kaikei@den.hokudai.ac.jp
電話番号 011-706-4206