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研究開発された技術紹介

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バイオ

①2次元構造解析ソフトの開発
②薄膜サンプル調製手法の開発
③低分子ドラッグと標的タンパク質の複合体の構造解析手法の確立
④膜タンパク質の構造解析手法の確立

沖縄県

沖縄プロテイントモグラフィー株式会社

2020年3月21日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 クライオ電子顕微鏡によるタンパク質の個別分子構造解析手法の確立と薄膜サンプル調製プロセスの開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護、創薬
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(タンパク質分子の可視化により創薬開発の効率化が可能になる)、低コスト化
キーワード クライオ電子顕微鏡、1分子構造解析、トモグラフィー解析手法、高分解能、商用サービス
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成28年度~平成30年度

プロジェクトの詳細

事業概要

クライオ電顕とトモグラフィー法を利用した3次元プロテイントモグラフィー法を革新的に進展させる。また、個別タンパク質分子の構造解析で扱えるサンプルの種類を増やし、解像度を向上させながら、短納期・低コストを実現できる解析手法を確立する。
また、シンプルで安価な高解像度の2次元構造解析手法、新しいサンプル調製プロセスを確立する。本事業を通じて、各々のプロセスによる解析サイクルを繰り返すことで、多くの条件設定、工程の詳細手順を明確にする。

開発した技術のポイント

クライオ電子顕微鏡とトモグラフィー技術を用いて、以下の特徴を有する3次元タンパク質分子構造解析技術を開発し、安定的に解析結果を得られるプロセスを確立した。
・サンプルの結晶化が不要である
・個々のタンパク質分子や構造体の姿を可視化できる唯一の技術である
・構造解析にかかる期間が短く、コストが安い
・解析作業の成功率、所要時間、分解能などがサンプルによらず安定した結果となる

具体的な成果

・二次元構造解析ソフトの開発
‐既存三次元解析ソフト(COMET)を元に、二次元構造解析ソフト(COMET2D)を開発した
‐複数サンプルに適用、電子顕微鏡撮影写真の2次元コントラスト比が改善されることを確認した

・薄膜のサンプル調製手法の開発
‐グリッド評価方法を定量的に示し、当社の標準的な調整プロセスに採用、標準的なサンプルのグリッド調製では特に問題は発生しなくなった
‐グリセロールや界面活性剤の影響、グリッドの選定方法についての知見を得て、実際の案件に活用している

・低分子ドラッグと標的タンパク質の複合体の構造解析手法の確立
‐市販タンパク質を選定、低分子との結合による構造変化、阻害剤の添加による構造変化、また阻害剤の結合領域の特定手法の開発を試みた
‐学界発表や展示会にも活用し、ユーザの関心を集め、実際の顧客を得ることができた

・膜タンパク質(GPCR等)の構造解析手法の確立
‐リポソームにGPCRを発現させたサンプルを解析、Nanodiscでの解析も試み、サンプルの3次元構造解析に成功した
‐副次的効果として、リポソーム単体の解析を受注、共同研究で大きな構造体であるエクソソームの初めての解析に成功した

COMET2Dによるコントラストや分解能の改善
低分子ドラッグと標的タンパク質の複合体:サンプルと検討方法
低分子ドラッグと標的タンパク質の複合体:構造変化
低分子ドラッグと標的タンパク質の複合体:結合場所の特定
プロテオリポソーム構造解析手法確立
知財出願や広報活動等の状況

2017, 2018 Bio International展示会出展
2018, 2019 蛋白質科学会年会でのランチョンセミナーや展示ブース出展
2018, 2019 BioJapan沖縄ブースでの出展、ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット出展多くの研究会などで講演・プレゼンテーション、他

Bio International(Boston)出展
ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット2019出展
研究開発成果の利用シーン

個別分子の様々な形態を観察でき、創薬プロセスにおける新薬候補の低分子化合物と標的タンパク質が結合した際の構造変化や抗体薬候補と抗原の結合による複合体の構造などを可視化する。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

確立した解析プロセスを利用し商用解析サービスを展開している。
追加したケーススタディと同様なサンプルの解析を受注し、ケーススタディとほぼ同じ結果を得た。

個別分子構造解析サービス
提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析手法には2種類あり、トモグラフィー手法と単粒子解析手法がある。
トモグラフィー手法での構造解析では、
・最先端のクライオ電子顕微鏡(Titan Krios, Talos Arctica)を用いて、両方の解析サービスを提供している。
・トモグラフィー手法は既に5年間の実績があり安定的に解析作業を進めることができる。
・低分子とタンパク質との複合体においても、タンパク質の構造変化、結合部位の特定が可能であり、製薬企業での実績もある。
・簡便で低価格、短納期な構造解析手法を確立している。

今後の実用化・事業化の見通し

・サービスメニューの拡充
クライオ電子顕微鏡による解析サービスでは、サービスメニューを拡大しワンストップでのサービス提供が求められる。既に単粒子解析サービスを開始したが、部分的なサービスとなるクライオ電顕撮影等もサービスメニュー化すべきと考える。また、トモグラフィー手法を発展させて、サブトモグラム解析、細胞切片による構造解析も視野に入れている。単粒子解析法はトモグラフィー法に比べて、撮影時間で数倍、処理時間で20倍以上必要であるため、トモグラフィー法は簡便な手法であるといえる。

・市場の拡大
当初の予想より市場拡大はゆっくりと進んでいる。産業界でのクライオ電子顕微鏡への関心は高まっているが、商用サービスの利用についてはまだまだ検討段階の企業も多く、市場拡大には時間がかかると考えられる。

実用化・事業化にあたっての課題

商用サービス市場の拡大には時間がかかる。また、アカデミアによる商用サービスが始まろうとしており競合となるが、価格面で対抗するのは困難である。本事業での各サブ研究テーマはさらに実際の解析業務を通じてプロセスの効率改善が続けられる。

事業化に向けた提携や連携の希望

継続的にタンパク質の構造解析が必要となるプロジェクトを持つ製薬企業等との提携関係を持ちたい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 沖縄プロテイントモグラフィー株式会社
事業管理機関 学校法人沖縄科学技術大学院大学 事業開発セクション
沖縄プロテイントモグラフィー株式会社
研究等実施機関 株式会社セルフリーサイエンス 横浜本社
アドバイザー 塩野義製薬株式会社 シニアフェロー 医学博士 坂田、恒昭愛媛大学 教授 澤崎 達也、愛媛大学 准教授 竹田 浩之

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 沖縄プロテイントモグラフィー株式会社(法人番号:1360001018351)
事業内容 バイオテック。タンパク質分子の構造解析サービス
社員数 4 名
生産拠点 沖縄県恩納村
本社所在地 〒904-0495 沖縄県国頭郡恩納村字谷茶1919-1
ホームページ http://www.okinawa-pt.com/
連絡先窓口 代表取締役 亀井朗
メールアドレス info@okinawa-pt.com
電話番号 098-982-3359