研究開発された技術紹介

現在、小径ねじでのみ転造可能な加工硬化能の高いニッケル基耐熱超合金の太径(M80以上)について、転造ねじ加工技術(転造速度、加圧速度などを制御した)を開発する。従来、切削で仕上げていた太径ニッケル基合金ねじは、さらに高強度化・高疲労寿命化を図るため、転造ねじへの進展が望まれている。これは、省エネルギー・高熱効率の高温複合サイクル発電プラントのタービンブレードを束ねる結合部材に供するためである

・ニッケル基超合金大型ねじの転造加工技術を確立する
・従来、小径ねじでのみ転造可能であった加工硬化能の高いニッケル基耐熱超合金につき、太径(m80以上)に適用できる転造ねじ加工技術を開発する
・ねじ製造ラインの高度化
・強度:切削ねじ比20%以上の高強度化、10倍以上の長命化
(新技術)
・高強度ニッケル基超合金の太径転造ねじの製造技術を開発
・転造の押し込み変位速度を自動制御できる装置を開発
・光学式で疵を自動的に検出する新品質検査技術の開発
特徴
・ねじの高強度化
・疵のない最適転造加工が可能
・1ミクロン以下の疵の検出が可能

・高精度制御機器の開発
-ハマックス保有の100t転造盤を改造し、トルク等の転造プロセスの高精度制御を可能にしたねじ転造装置を製作
-ダイスの加圧押し込み速度、圧力、位置、主軸の回転数の各要素を種々のパターンに応じて制御することが可能に
・転造技術の最適化に成功
-試作した転造ねじの表面疵の有無のマクロ観察(ハマックス)、断面微細組織観察(兵庫県立大)を行い、転造加工条件の最適化を図った
-有限要素法(FEm)を用いたシミュレーションを行い、摩擦係数、ダイス回転数、送り速度等のパラメーターを変えて、転造ねじ加工過程の弾塑性接触大変形FEm解析結果を検討
-100t転造盤を用いて、粉末工具鋼による実機サイズのダイスの加工性・耐久性の評価を行った結果、WPC処理(ショットピーニング)による耐久性向上効果を確認
・新たな品質検査・保証技術を確立
-転造ねじの品質保証(表面疵の有無検査等)のため、肉眼観察ではなく精度と信頼性の高い新品質検査技術を開発
-光学式探傷装置を試作し、試験材の地合と疵の判別を行う画像処理の実証試験を実施
-検査データを蓄積するとともにソフト改良を行い、実用性の高い検査装置として完成

・特許出願:「ねじ転造装置および転造方法」(特願2008-62047)
・受賞:中小企業庁「元気なモノ作り中小企業300社」(平成19年度)
・新聞掲載:日刊工業新聞(H11.5.29)、日刊工業新聞(H11.6.29)

IGCC(複合高温ガスタービン発電)用のガスタービンブレードの締結用ボルト等として高温環境下で利用される。切削ねじ加工から転造ねじ加工への切替により、システム全体の強度と耐久性の向上、細径材料の使用による材料費節約、工程の省略による納期短縮が可能となる

国内外の大手重電メーカーを対象に、営業展開中
・高温ガスタービン発電用のインコネル製の大口径の転造ねじのサンプル試作を行い、国内外の大手重電メーカーの引き合い活動に着手
・米国展示会(POWER-GENInternatioal2009)に出展
・最終的に重視される疲労強度については、本テーマの手法を用いて適正な条件下で製作したφ20の模擬ねじが疲労限に相当する107サイクルに到達することを確認した