精密加工
自動車シート材に対する動的摩擦に強い超音波パンチング加工技術の確立
福井県
株式会社マルヤテキスタイル
2025年1月24日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 省エネ・快適性に貢献する自動車シート材に対する安定した超音波パンチング連続加工(量産)技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 自動車、衣料品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | 穴開け加工、ほつれない穴開け、穴開けによる意匠性向上、通気性向上 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業は、自動車の省エネ化を目的とした新たなシート材の開発を目指している。従来の加工方法では対応できない厚物シート材にも適応可能な超音波パンチング加工技術を開発し、その量産機の試作に取り組んだ。超音波パンチングは、穴の周囲を溶着させることで摩擦によるほつれを防ぎ、シート材の強度を保つことができる。この新技術により、加工可能なシート材の範囲が広がり、従来技術の課題を解決することが期待されている。試作機を用いて加工されたシート材は、通気性や摩耗強度の基準をクリアしており、自動車シート材としての実用性が確認された。
開発した技術のポイント
・超音波振動ユニットの開発
-超音波ホーンの効率的な冷却システムを開発し、熱膨張を抑制。
-振動解析ソフトを用いてホーン設計を最適化し、加工品質を向上。
・超音波発振器の開発
-振幅の誤差を±10%以内に収める調整技術を開発。
-渦電流センサを用いたリアルタイム振幅測定と制御技術を導入。
・金型及び位置調整システムの開発
-Ni-PTFE複合メッキを施した金型の開発により、詰まりを防止。
-金型位置の正確な制御システムを開発し、加工効率を向上。
・量産加工機の開発
-滑り防止ロールとテンション管理装置を導入し、安定したパンチング加工を実現。
具体的な成果
・超音波ホーンの冷却システムにより、熱膨張の抑制に成功し、加工品質の向上を達成。
・渦電流センサを用いた振幅測定技術により、振幅の均一化を実現。
・Ni-PTFE複合メッキを施した金型により、連続加工時の詰まりを防止し、長時間運転が可能になった。
・滑り防止ゴムロールとテンション管理装置の導入により、安定的なパンチング加工を実現した。
・実用レベルの技術を確立し、複数の自動車メーカーから高評価を得ている。
知財出願や広報活動等の状況
ノウハウの塊が詰まっているので、本事業以降の特許出願は行わない方針(公開しない)。技術の紹介は 業界新聞(日刊工業新聞)に掲載の実績。この他、(株)マルヤテキスタイルのホームページ等で 広報している(下段:URL)。
研究開発成果の利用シーン
・自動車のシート材としての利用
-通気性と強度を両立した新しいシート材の採用。
・大衆車への普及
-燃費向上と快適性向上を実現するシート材の使用。
・他産業での応用
-摩擦やほつれに強い素材が求められる他の産業での利用。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業において開発された超音波パンチング加工技術は、自動車シート材の高品質な加工を実現し、複数の自動車メーカーからの高評価を得ている。現在、複数の車種への採用が進行中であり、今後さらに多様な車種への採用を目指している。また、対象素材の多様性に対応した技術開発も進行中であり、事業化への具体的な展開が期待されている。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、素材・部品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・超音波パンチング加工技術による高品質なシート材の製造。
・摩擦によるほつれがないため、耐久性と強度が向上。
・通気性の良いシート材で、快適性を向上。
・従来の加工法に比べて短時間で効率的な加工が可能。
今後の実用化・事業化の見通し
・複数の自動車内装材メーカーからの採用が進行中。
・対象車種の多様性に対応するための技術開発が継続中。
・長時間連続運転が可能な加工技術の確立により、量産体制が整いつつある。
実用化・事業化にあたっての課題
・穴の大きさの均一性を保ちながら長時間の安定した運転を実現すること。
・広巾方向の端部での加工品質の安定性を向上させること。
・加工中の熱膨張や摩耗による品質低下を防止する技術のさらなる向上。
・加工装置のコストダウンと量産化に向けた改善。
事業化に向けた提携や連携の希望
自動車内装材メーカーとの連携を模索中。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社マルヤテキスタイル 特殊加工部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人ふくい産業支援センター |
研究等実施機関 | 福井県工業技術センター 国立大学法人福井大学 産学官連携本部 |
アドバイザー | 東京工業大学(現 東京科学大学) 総合研究院 未来産業技術研究所 中村健太郎 教授 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社マルヤテキスタイル(法人番号:9210001007064) |
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事業内容 | 繊維加工業(繊維に対する特殊表面加工事業 及び 輸出織物の梱包事業) |
社員数 | 31 名 |
生産拠点 | 福井県坂井市春江町金剛寺1-3-2 |
本社所在地 | 〒919-0471 福井県坂井市春江町金剛寺1-3-2 |
ホームページ | http://maruya-tx.co.jp |
連絡先窓口 | 開発ディレクター 田中 厚三 |
メールアドレス | tanaka@maruya-tx.co.jp |
電話番号 | 0776-51-8656 |
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