材料製造プロセス
電池の開発・製造スピードを向上させる小型高速回転分散機の研究開発
千葉県
アシザワ・ファインテック株式会社
2025年1月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 電池の開発・製造スピードを向上させる電極スラリー製造装置の研究開発 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、ロボット、農業、産業機械、情報通信、スマート家電、食品、電池、半導体、工作機械、エレクトロニクス、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 小型 、高速分散、微粉砕・分散、電極スラリー、電池材料 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
電池の開発・生産では、様々な電池材料を均一に分散し電極スラリーを調整する必要があるが、その分散工程に多大な時間を費やしている。電池の開発スピードや生産効率の向上のためには、サイズや物性の異なる材料を安定して再現性よく短時間で均一分散できる装置が求められている。本研究では、小型で高速処理可能な電極スラリー向け処理装置を開発し、川下企業の開発・生産の効率化、および、国際競争力の強化に貢献する。
開発した技術のポイント
1.少量から生産スケールまで対応でき最少工程で短時間処理が可能な小型高速回転分散機の開発
・小型高速回転分散機の設計・開発・動作検証
・小型高速分散機の運転状況モニタリング機能の設計・実装
2.電池材料を均一に分散できる技術の確立
・均一分散が達成されているか確認できる評価技術の確立
・材料の種類・混合条件に応じた分散処理条件の確立
・代表的な電池材料を用いた分散処理条件の検証
3.川下企業の開発・生産プロセスに対する新技術の適用
・試作サービス環境を利用した小型高速回転分散機適用の検証
・川下企業における小型高速回転分散機適用の最終検証
具体的な成果
従来より1/2以下の小型化、2倍以上の高速化で動作できる小型分散機を開発した。
長時間運転を行い、問題が発生しないことを検証した
作業者の熟練度によらず分散処理条件および装置稼働状況について再現性を確保できるようにした。
遠隔地モニタ(温度、振動、騒音、回転数)を実現し、異常を検知した時に予防保全を可能にした。
短時間(30分以内)で分散評価を行う技術を確立した。
模擬物質(酸化チタン(ミクロンオーダー、サブミクロン(数百nm)オーダー))が従来法に比べ、1/2以下の時間で 均一分散できることを確認した。加えて、スケールアップした時の運転条件を推定できる技術を確立した。
実際のリチウムイオン電池の材料レシピで、効率的に生産できる条件を確立し、従来法に比べ、1/2以下の時間で分散できることを確認した。
オブザーバー企業5社以上の協力で、複数の電池材料で従来と比べて、1/2以下の時間で均一に分散できることを確認した。
企業2社以上に対し受託加工またはサンプル出荷を行い、本装置が電池材料開発で生産性向上できることを立証した。
知財出願や広報活動等の状況
【知財】
染料分野等で既に実績がある大型装置の特許情報は以下の通りである。
特許番号:特許第6799865号(P6799865)
国際出願番号:PCT/JP2017/046452
今後、小型機の開発、および、電池電極スラリーの試作研究をしていくが、応用特許の申請も念頭に置いて、研究開発を進めていく予定。
【販売促進戦略】
展示会への出展、学会・シンポジウムへのポスター発表や企業展示の参加、DMにて新製品の案内を実施。
社内にて、実際に装置を使って分散液のサンプルを作製する試作テストのサービスを行っている。また、評価機器の設備が整っており、持ち込みのサンプルを使って、装置の運転状況の確認、作業性、分散サンプルの評価(粒子径・粘度・SEM観察・比表面積)が行える。また、顧客が材料評価のためまとまった分散液のサンプルが必要な場合は、受託加工のサービスも行っており、設備導入前の分散液の提供もできる。オブザーバーをターゲットに小型な試験機(開発機)を先行販売した。
研究開発成果の利用シーン
リチウムイオン電池や燃料電池の電極スラリーの開発・製造において、均一分散が求められる場面での利用が見込まれる。特に、大量生産が必要な自動車用電池や小型電子機器向け電池の開発・製造工程において、効率的な生産をサポートする。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・既存の試作テストサービス環境を活用し、川下企業7社に対して、企業が採用している材料に開発した小型高速回転分散機を適用した際、適切な処理条件を設定でき、同等以上の分散状態を得ることが可能か評価を受けた。一方、現在の試作テストや受託加工サービスはニーズが高く、環境が不足しており、数か月待たせることが発生している。この課題を解決するために、試作テストや受託加工サービスを行う工場の新設を計画しており、その環境を使い、本事業を確実に推進する。
提携可能な製品・サービス内容
試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
従来の「固練り手法」などと比較して、均一な分散を短時間で実現することが可能である。小型化されており、少量生産から大量生産(開発から生産)まで幅広く対応可能である点も強みである。また、高速回転による効率的なスラリー開発・製造により、開発スピードアップの貢献と生産コストの削減に貢献できる。その結果、電池のスラリー工程の開発・生産の優位性を確立すれば日本の電池分野、自動車分野などの多くに分野に対し、多大なる経済効果をもたらす。また他のアプリケーション(染料、電子部品、半導体、食品)にも横展開していけば日本の基幹産業全体にも大きな功績をもたらし、グローバル競争力強化に貢献ができる。
今後の実用化・事業化の見通し
既に川下企業との間で、サンプル試作・受託加工評価を行っている。一方、現在の試作テストや受託加工サービスはニーズが高く、環境が不足しており、数か月待たせることが発生している。一方、社会・市場ニーズは、コロナなどの影響で世界的に激動しており、設備投資が遅れると予想される。
実用化・事業化にあたっての課題
社会・市場ニーズは、コロナなどの影響で世界的に激動しており、設備投資が遅れると予想される。その対策として自社内にお客様の材料開発を支援できるスペースや環境整備が必要と考えており、試作・受託加工工場の拡大を計画している。
事業化に向けた提携や連携の希望
今、現在は特にない
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | アシザワ・ファインテック株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人千葉県産業振興センター |
研究等実施機関 | 千葉県産業支援技術研究所 |
アドバイザー | 九州大学 産業技術総合研究所 オークマ株式会社 株式会社イワサテック 千葉セラミック工業株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | アシザワ・ファインテック株式会社(法人番号:7040001014988) |
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事業内容 | 生産用機械器具製造業 |
社員数 | 162 名 |
生産拠点 | 本社・工場(千葉県習志野市) |
本社所在地 | 〒275-8572 千葉県習志野市茜浜1-4-2 |
ホームページ | https://ashizawa.com/ |
連絡先窓口 | 経営企画室 室長 原田 香 |
メールアドレス | k-harada@ashizawa.com |
電話番号 | 047-453-8115 |
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