材料製造プロセス
ミニマル装置開発で難航していた本格的CVD装置の実現
大阪府
株式会社ナバテック
2025年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 狭空間反応制御によるポリシリコン製造用ミニマル熱CVD装置の開発と多品種少量製造プロセス確立 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、半導体、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | ミニマルファブ,CVD,ポリシリコン,エピ成長 |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
多品種少量生産を目的とした半導体生産システム(ミニマルファブ)において、汎用性が高い、熱CVD(熱エネルギーで化学反応を駆動するCVD)装置のミニマル装置化を実現した。主な研究開発としては、高効率局所加熱による基板加熱機構の構築、狭空間反応制御法の適応と小型化設計技術の確立により、小型ミニマル試作装置を開発しシリコンCVD成長を実現させた。
開発した技術のポイント
・高効率局所加熱機構
-200Wでウェハ温度800℃達成。
-コールドウォールタイプ。
-加熱機構からの不純物混入がないことを確認。
・ミニマルCVD装置
-8系統のMFCと30ヶのバルブによるラインを小型筐体内に集約。
-液体原料の温度保持機構内蔵。
-ハロゲン系ガスを用いての安定動作を確認。
-シリコン成長の実現。成長速度20nm/min達成。
具体的な成果
・高効率局所加熱による基板加熱機構の開発
-小型・低消費電力で高いウエハ温度を実現する加熱機構を開発。石英部品でヒータとサセプタを分離し、200W投入で800℃に到達することを確認した。
・狭空間反応制御機構の解析
-シリコン成長速度100nm/min、膜厚ばらつき±5%を達成。また、シリコン成長およびホウ素ドーピングに適した反応容器の最適化も実施。
・高温基板の回転機構の開発
-回転機構よりも減圧成長機構が効果的と判断。1年間安定運用し、目標の安定動作を達成。
・原料ボトル温度制御機構の開発
-液体シリコン原料の安定供給を実現し、原料ボトルの温度を外気温+4℃に安定化させた。
・部品小型化と筐体内配置の最適化
-MFCの交換により、全ての必要部品を筐体内に配置可能な設計を達成。
知財出願や広報活動等の状況
公知技術の改善のため特許出願はしていない。最も購入頂く可能性のある産総研、ミニマルファブ推進機構には定期的に改善状況を報告している。
研究開発成果の利用シーン
狭空間反応制御技術を活用したシリコン成長装置は、低電力で高精度なシリコン成長を実現し、半導体やMEMS製造における少量生産に最適なソリューションとして活用可能。特に、研究機関や小規模な製造ラインでの使用が期待されており、コスト削減と生産効率の向上に寄与する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業終了後、開発した装置は産業技術総合研究所や大学の研究機関に納入され、評価が進んでいる。国内外の展示会や学会で積極的にPR活動を行い、市場拡大に向けた取り組みが進行中。販売パートナーとの協力体制を強化し、販売経路の多様化を図る計画が進められている。
製品・サービスのPRポイント
開発したシリコン成長装置は、従来のメガファブCVDに比べて少量生産に特化し、低コストと短納期を実現する点が特徴。半導体やMEMS製造における少量生産のニーズに応え、柔軟な製造プロセスを提供。狭空間反応制御を活用した高効率な成膜技術が、市場での競争優位性を確保する要素となっている。
今後の実用化・事業化の見通し
事業終了後、産総研、ミニマルファブ推進機構からの引き合いが強く、連携した改善を進めており、事業期間内での課題を克服した。装置改善後の検証データを取得して販売につなげる。
事業終了後3~4年目は、ファブシステム研究会員である企業を通じた販売促進を進める。5年目以降は専任担当者を社内に設け、ミニマルファブの開発・運用を進めている産業技術総合研究所や比較的小規模な作製を目的とする大学・研究室等・ファブシステム研究会員でない川下製造業者を有力顧客として営業活動を行う。並行して、装置のリースを想定した収益化にも取り組む。
実用化・事業化にあたっての課題
膜厚のバラツキやガスシール部の寿命問題が主な課題となっており、装置の長期安定性に影響を与えるため、継続的な改良が求められていたが、克服できた。現在装置再稼働のためボンベボックス、除害装置を整備し、成膜準備を進めている。
事業化に向けた提携や連携の希望
ユーザはファブシステム研究会の会員であり、年2回の総会で情報発信しており連携は現時点必要性はない。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ナバテック |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 |
研究等実施機関 | ナノテクノロジー・インスツルメンツ株式会社 代表取締役 金井真樹 国立研究開発法人 産業科学総合研究所 デバイス技術研究部門 石田 夕起 国立大学法人横浜国立大学 名誉教授 羽深 等 国立大学法人三重大学 研究・社会連携統括本部/工学研究科 教授 中村孝夫 |
アドバイザー | ティーイーアイソリューションズ株式会社、株式会社ロジック・リサーチ |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ナバテック(法人番号:1150001015246) |
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事業内容 | 真空関連機器の設計/製作/販売/メンテナンス |
社員数 | 6 名 |
本社所在地 | 〒583-2841 大阪府羽曳野市駒ヶ谷39-1 |
ホームページ | http://www.navatec.co.jp/ |
連絡先窓口 | 技術部長 尾崎真一 |
メールアドレス | ozaki@navatec.co.jp |
電話番号 | 072-957-7107 |
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