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材料製造プロセス

キュポラのDX及びAI解析による操業の高効率化・被削性向上・CO2排出量の削減及び不良の低減

岐阜県

株式会社マツバラ

2025年2月27日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 鋳鉄製品の不良低減と被削性を向上させるIoT/AIキュポラ溶解制御システムの開発
基盤技術分野 材料製造プロセス
対象となる産業分野 環境・エネルギー、自動車、産業機械
産業分野でのニーズ対応 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮
キーワード キュポラ,鋳鉄,IoT,AI,カーボンニュートラル
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

鋳鉄製品の不良を低減し、被削性を向上させるための「IoT/AIキュポラ溶解制御システム」の開発に取り組んだ。職人の経験に頼っていた溶解工程をデータベース化し、AIにより1時間後の溶湯性状を予測するシステムを構築した。また、鋳鉄溶湯熱分析装置の開発を行い、製造工程での不良発生を防ぐ技術も確立した。これにより、製品の品質向上とコストダウンの両立を実現することを目指した。

キュポラエキスパートシステム概要
開発した技術のポイント

・「キュポラ溶解エキスパートシステム」を開発
‐ キュポラ溶解工程をデータベース化し、AIが1時間後の溶湯状態を予測
・「鋳鉄溶湯熱分析装置」の開発
‐ 凝固過程における潜熱放出量をリアルタイムで測定
・「被削性アドバイスシステム」の開発
‐ 残留応力や結晶構造の乱れを測定し、被削性を予測するシステムを構築
・「出湯温度測定装置」の開発
‐ノイズフィルタープログラムを開発し、放射温度計で測定した出湯樋の温度を連続で記録できる装置の作成

キュポラ溶解システム
データベースデータのグラフ表示
鋳鉄溶湯の熱分析
出湯温度測定装置
具体的な成果

開発した「キュポラ溶解エキスパートシステム」により、1時間後の溶湯性状を高精度で予測し、材料や燃料の配合を調整することで、製品の不良低減を実現した。また、「鋳鉄溶湯熱分析装置」により、溶湯の凝固過程のリアルタイム測定が可能となり、品質不良の発生を防ぐことができた。さらに、「被削性アドバイスシステム」によって、鋳鉄製品の切削性を向上させ、加工時のコスト削減を達成した。

知財出願や広報活動等の状況

・特許出願(審査中)2024.12.13現在
 名称:鋳鉄の凝固潜熱算出方法及び凝固潜熱算出装置
 出願番号:特願2021-138234
 公開番号:特開2023-032229
・論文掲載 (鋳造工学(学術誌))
 著者名:川島浩一、重野勝利、関口理希
 論文名:片状黒鉛鋳鉄の冷却曲線から得られる各種数値と黒鉛形状との関係
・広報活動: プロジェクトの成果は、国内外の展示会や技術シンポジウムで積極的に紹介され、鋳造業界から高い評価を得ている。

鋳造工学Vol93pp267論文
研究開発成果の利用シーン

研究成果は、自動車産業を中心とした鋳鉄製品の製造現場で活用されている。特に、高品質な鋳鉄製品の需要が高まる分野において、開発した技術が役立っている。例えば、エンジン部品やギアなどの自動車部品、さらには産業機械用の部品の製造工程で、製品の不良を抑え、切削性を向上させるために利用されている。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

本プロジェクトで開発した技術は、鋳造業界において広く事業化されつつある。特に、キュポラ溶解制御システムは、自動車部品メーカーや産業機械メーカーに導入され、製造工程の効率化と品質向上を実現している。また、鋳鉄溶湯熱分析装置や被削性アドバイスシステムも、多くの鋳造メーカーで導入され、製品の品質向上とコスト削減に貢献している。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

「IoT/AIキュポラ溶解制御システム」は、製造現場の効率化と品質向上を同時に実現する革新的な技術である。AIを活用して溶湯性状を予測し、最適な材料・燃料の投入を行うことで、製品の不良率を大幅に削減する。また、鋳鉄溶湯熱分析装置と被削性アドバイスシステムにより、さらに高品質な鋳鉄製品の製造を可能にしている。

今後の実用化・事業化の見通し

今後、開発した技術の実用化がさらに進むことで、鋳造業界全体の生産性向上が期待されている。特に、キュポラ溶解制御システムは、自動車産業における環境負荷の軽減にも寄与し、カーボンニュートラルの達成に貢献する。また、被削性アドバイスシステムによって、加工時のエネルギー消費を削減し、持続可能な製造プロセスを実現することができる。

実用化・事業化にあたっての課題

実用化に向けた課題として、システムの導入コストが挙げられる。特に中小規模の鋳造メーカーにとっては、設備投資が大きな負担となる可能性がある。また、システムの運用には専門知識が必要であり、導入後の人材育成やサポート体制の確立が求められている。これらの課題を解決し、より多くの企業に導入されることが今後の課題である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社マツバラ 技術員室
事業管理機関 一般財団法人素形材センター 技術部
研究等実施機関 株式会社ナニワ炉機研究所 代表取締役常務 村田康博
光洋鋳造株式会社 代表取締役 白江 一
国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科 精密工学専攻教授 伊藤寿浩
岐阜県産業技術総合センター 技術情報部・部長 平湯秀和
アドバイザー 株式会社コヤマ
TVC株式会社
NOK株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社マツバラ(法人番号:2200001007534)
事業内容 銑鉄鋳物製造業 材質をFCに特化し、業界では超小物と言われている1kg以下の製品を得意としている。
社員数 123 名
生産拠点 関工場(岐阜県関市)で鋳造を実施
本社所在地 〒504-0034 岐阜県各務原市那加浜見町2丁目22番地
ホームページ https://www.k-matsubara.co.jp/
連絡先窓口 技術員室・担当部長 川島浩一
メールアドレス k_hiro@k-matsubara.co.jp
電話番号 0575-24-5657