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研究開発された技術紹介

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立体造形

・ハイブリッドモノマー開発によるレジン強靭化
・重合開始剤の新規開発によるレジンの高感度化
・レジンの特性評価システムの開発およびその活用
・高機能部品の造形

東京都

岡本化学工業株式会社

2025年1月31日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 液槽光重合用高機能レジン開発による最終製品のダイレクト製造システムの構築
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(高感度、長波長感光)
キーワード エントリータイプ3Dプリンター向け高機能レジン,プラスチックパーツ向け高機能レジン,少量多品種製造
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要

液槽光重合技術を用いた高機能レジンの開発を通じて、エントリーモデルの3Dプリンターでも高機能部品を製造可能とするシステムの構築を目指した。高機能な新型モノマーを開発し、光重合に必要な光源の特性に合わせた感度調整を行うことで、低エネルギー光を利用した部品の製造が可能となった。また、レジンの特性評価システムを開発し、各光源に最適なプロセスを確立することに成功した。

開発した技術のポイント

・新型モノマー開発
‐異なる反応基を持つモノマーを使用し、強靭なレジンを実現
・重合開始剤の合成による感度調整
-エントリーモデルの液槽光重合装置に搭載される光源でエポキシ基を含むハイブリッドレジンを重合、固化
・レジン特性評価システムの構築
‐様々な光源に対応したレジンの特性評価とプロセスの最適化

具体的な成果

・385、405nmの光で重合可能な高機能レジンの開発
-上記長波長の光でエポキシ樹脂の重合が可能な開始系を開発。
-モノマーの混合により高強度、高靭性な部品の造形が可能なレジンを開発。
・感度およびプロセスの最適化による高機能部品の造形
-少量のレジンで実施可能な特性評価システムを構築。開発レジンの光学、固化特性の把握により、装置が変わっても造形条件の予測が可能。
-高強度、高靭性かつ量産向けの異なる基を持つレジンもしくは強固な構造を模したレジンを開発(引張強度60MPa以上、衝撃強度50 J/m以上、臨界露光量10 mJ/cm2以下)

知財出願や広報活動等の状況

[学会発表]
・ビスフェノール骨格を有するアクリルモノマーを用いた3Dプリンター用光硬化性樹脂の開発
第71回高分子討論会(2022年9月6日、札幌)
・長波長領域で使用可能な3Dプリンター用光カチオン開始剤の機能化
日本化学会第103春季年会(2023年3月22日、野田)
[特許]
出願番号: 特願2024-027629
出願日: 2024年2月27日
発明の名称: カチオン重合開始剤およびそれを用いた光学的立体造形用組成物
出願人: 岡本化学工業株式会社、国立大学法人千葉大学、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター

研究開発成果の利用シーン

3Dプリンターを活用した部品製造において、特に医療機器や自動車部品の製造における高精度かつ高耐熱な部品の製造に利用されることが期待されている。また、ベンチャー企業や歯科技工所などを含む中小規模の事業者が、開発現場や遠隔地等でもその場で部品製造を行うことができる造形システムの構築に大きく寄与する。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

アクリル系レジンは量産化し上市を目指す。すでにサンプル出荷をした。問題なく使えており、今後いくつかの業界に絞り販売する予定である。少量だが、商社を通じて自動車業界にも出荷できた。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、製品製造

製品・サービスのPRポイント

エントリーモデルの液槽重合型3Dプリンターを使用し、かつ実用感度の領域で、物性の高い部品が造形できるハイブリッドのレジンを開発することができた。これにより、工場などの特定場所に縛られずに部品を自由に製造できる環境の提供が可能となる。

今後の実用化・事業化の見通し

・アクリル系レジン
-サンプルを数社に出荷し評価をしてもらったところ、最終製品として使用可能との評価だった。そこで初期段階はこのレジンで量産化し上市を目指す。
・ハイブリッドレジン
-先行して物性の良いアクリル系レジンを上市し、その後、ハイブリッドレジンの量産化を見据えた方法を引き続き検討する。

実用化・事業化にあたっての課題

・現状ラボスケールであり量を確保することが難しい。今後は、スケールアップに関する取り組みを進めていく必要がある。
・量産化に適した開発レジンについては、耐熱性を付与するためには熱処理が必要であるが、その条件次第で硬く脆くなってしまうことがあり、その最適化が必要である。

事業化に向けた提携や連携の希望

・3Dプリンターメーカーとの連携 メーカー、機種が違うと条件パラメーター合わせがその都度必要になるのでマシンの設計段階から擦り合わせをしたい
・大規模サービスビューロー(造形サービスの企業)と提携し販路拡大と同時に造形のノウハウをためる。
・事務機、家電、自動車メーカーと提携してプラスチックの設計段階から擦り合わせをする。(従来のプラスチックパーツと形状が異なる可能性が大きい)

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 岡本化学工業株式会社
事業管理機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
研究等実施機関 国立大学法人千葉大学
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
アドバイザー 株式会社メルティンMMI
武藤工業株式会社
株式会社NSS
株式会社みんなのモデリングサービス
株式会社マシンツール中央
リコージャパン株式会社
ハシダ技研工業株式会社
株式会社エンプラス
株式会社オリィ研究所
テクノツール株式会社

参考情報

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 岡本化学工業株式会社(法人番号:4030001020924)
事業内容 化学工業
社員数 5 名
生産拠点 埼玉県蕨市中央2-6-4
本社所在地 〒135-0064 東京都江東区青海2丁目4番10号
連絡先窓口 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター企画部 開発企画室
メールアドレス Kyoso@iri-tokyo.jp
電話番号 03-5530-2528