立体造形
現在普及している砂型鋳造法の労働環境、製造コスト等の課題解決のためチル発生を抑制できる金型鋳造法を確立する。
広島県
ヨシワ工業株式会社
2021年2月15日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 鋳放し無チル化を可能にする金型球状黒鉛鋳鉄鋳物の大量生産技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 金型鋳造、無チル、フリー窒素、球状黒鉛鋳鉄 |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
球状黒鉛鋳鉄鋳物は砂型鋳造法が普及しているが、労働環境やコスト競争力に問題があり、金型鋳造の実現が待望されている。しかし、金型鋳造はチルの発生などの障壁のために実用化されていない。本研究共同体では、これまでにフリー窒素を制御する革新的な製造法を考案し、基礎的な金型鋳造技術を確立した。本研究開発では、金型鋳物の量産技術を実用化し鋳造産業の国際競争力を向上させ、鋳造職場の画期的な環境改善を実現させる。
開発した技術のポイント
・金型鋳造技術の確立
‐寸法精度、鋳造欠陥、機械的性質(強度、伸び)の目標値を達成する鋳造方案、鋳造条件の確立
・金型鋳造の低コスト化、生産性向上技術の開発
‐金型材質、肉厚設計データ、熱処理、表面処理の標準化、予熱、冷却の確立、表面性状、損傷部位の補修方法の確立
・鋳造自動制御技術の確立
‐溶解、精錬、鋳込み、冷却、取り出しの工程を自動制御対象項目とし、開発をする。
具体的な成果
・金型鋳造技術の確立
‐寸法公差等級CT7、鋳造欠陥無し、チル無し、引張強さ:759MPa、伸び:15.7%を達成した。
・長寿命低コスト金型技術の確立
‐ナックル金型の設計完了。低コスト金型試作検証完了。塗型膜厚管理値設定完了。金型の予想寿命1万回達成の可能性開発完了。
・鋳造自動制御技術の確立
‐自動鋳造の実現し、鋳造サイクルタイム目標330秒に対して、317秒を達成した。
研究開発成果の利用シーン
本研究で開発した、球状黒鉛鋳鉄鋳造の金型鋳造によって、従来の砂型鋳造に対して、長寿命化、低コスト化を実現できる。また、砂型の場合は、砂採掘時の自然破壊が懸念され、工程での有毒ガスと粉じんの懸念がある。しかし、金型鋳造を活用することで、低環境負荷、汚染物質の発生がなく、作業環境を大きく改善できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
当初もくろんでいた品質、コストを試作では達成できている。今後量産化に向けて開発をし、他社に先駆けることを目指している。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
従来の砂型鋳造に対して、本研究で開発した金型鋳造の利点は以下の通り。
・品質面
‐鋳造欠陥の発生極小化、鋳造不良率2%(砂型)→0.5%以下(金型)、鋳造公差等級:CT11~12(砂型)→CT8~9
・コスト面
‐20~30億/ライン(砂型)→5億/ライン(金型)
・生産性
‐大量生産に特化(砂型)→大量生産、多品種少量生産のいずれにも対応可能。自動化が容易(金型)
・環境
‐砂採掘による自然環境破壊、有毒ガス、粉じん発生(砂型)→砂使用なく低環境負荷、汚染物質発生無し(金型)
今後の実用化・事業化の見通し
金型鋳造技術については、品質の安定化が非常に 重要な問題となり、特に部品生産数の多い自動車部品に適用することは、相当にハードルが高いと懸念される。
そこで、まずはマンホールのヒンジ部品の量産を実現すべく、川下事業者との協議、製造プロセスや品質評価法の規格化に取り組む。ヒンジ部品の量産化を実現し、生産実績を積み重ねた上で、自動車部品の量産化を目指す。上記課題の解決の目処が着いた時点で、川下事業者へ採用提案が可能となるよう、規格化、標準化も併せて取り組む。
実用化・事業化にあたっての課題
コスト面では、品質安定化とコスト低減を両立させることが課題。
鋳物表面に湯ジワが発生した。発生条件を明確化し、発生抑制できる作りこみを行う。
金型の耐久性に関して、中長期での評価が未実施。
生産工程の各プロセスの管理値がそれぞれどのように機械的性質へ影響するかを明確化する。
そして、品質達成しつつ、コンパクトな設備で製造可能な工程設計を行う。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | ヨシワ工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人中国地域創造研究センター 産業創造部 |
研究等実施機関 | 公益財団法人中国地域創造研究センター 株式会社 I2C 技研 眞工金属株式会社 株式会社ツチヨシ産業 |
アドバイザー | 株式会社超高温材料研究センター 公益財団法人広島市産業振興センター 福森国際特許事務所 株式会社エヌ・シー・ロード 国立大学法人東北大学大 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | ヨシワ工業株式会社(法人番号:3240001036669) |
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事業内容 | 自動車向けの鋳鉄部品のほぼ全種類を製作できる。主力はブレーキのディスクプレート、ブレーキ部品、ナックル、ギアケース等の重要保安部品 |
社員数 | 465 名 |
生産拠点 | ヨシワ工業株式会社 海田工場 |
本社所在地 | 〒736-0056 広島県安芸郡海田町明神町1番48号 |
ホームページ | http://yoshiwa.co.jp |
連絡先窓口 | 公益財団法人中国地域創造研究センター 産業創造部 主幹 松原健之 |
メールアドレス | matsubara@crirc.jp |
電話番号 | 082-241-9904 |
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