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立体造形

手術室におけるナースの負担軽減につながる「一人で着用可能なガウン」

大阪府

大衛株式会社

2020年5月12日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 一人で着用可能な高機能滅菌ディスポーザブル手術ガウンの研究開発
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 少人化、効率化、災害時、救急時、備蓄
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成26年度~平成27年度

プロジェクトの詳細

事業概要

我々は、医療現場の貴重な人的資源であるナースを付随的な業務から解放し、本来の業務である患者の安全管理に注力させるべく、新しい非医療機器の開発に取り組んでいる。本計画ではその一環として、ものづくり中小企業の設計・縫製技術を高度化し「一人で着用できるガウン」を開発する。当ガウンの実用化により、時間やコストの削減だけでなく、緊急時や大規模災害時等、人的資源が限られる状況での良質な医療の提供が期待できる

開発した技術のポイント
リングバネ画像

不織布の立体造形技術(設計、縫製、裁断)を高度化、「一人で着用するためのメカニズム」を付与し、強度、耐水性、耐熱性等の機能および着用時の装用感が担保される高度な製造技術の確立
(新技術)
外科医が一人で清潔に着用できる手術ガウンを開発し、間接介助ナースの着用介助の負担を軽減する
(新技術の特徴)
首周りリングバネの設計開発。腰ヒモへの仮止め機構とパーフォレーション加工の確立が重要なポイントである

具体的な成果

・ガウン首まわりに編み込むポリプロピレン製リングバネのスペックを確定、マスク上縁部の立体設計技術を確立した
・操作性向上のため、形状を極細ワイヤから平線ワイヤ、素材もステンレスからポリプロピレン製リングバネに変更したため、編み込む際の不織布生地に与える負荷も少なくなった
・弊社工場の滅菌方法に準じて3年間の滅菌保証が担保することができ、耐水圧試験機での検証は、27年度に3回行った結果、滅菌ガウンに要求されるレベルⅢの耐水性に問題がないことで確立できた
・着用途中で上半身がはだけることなく、「ヒモ部分からの離断」が解消され、仮止め機構は良好な結果となった
・引張強度の目標値10Nから5Nでスムーズに離断できた
・大阪大学における臨床試験においても途中で腰まわり部分がはだけてしまうトラブルは経験されなかった
・設計と現物の誤差は3%以内に抑えることができ、「一人で着用可能な高機能滅菌ディスポーザブル手術ガウンの研究開発」をほぼ計画通り達成することができた

知財出願や広報活動等の状況

【知財出願】
特許:第6261009号 滅菌ガウン
中国意匠:ZL 2015 3 0362941.5 医療用ガウン首回り
     ZL 2015 3 0362715.7 医療用ガウンマスク部
商標:第5874011 第10類 セルフガウン

【メディア掲載】
日経新聞:2017年3月14日
産経ニュースWEB版:2017年3月13日版

セルフガウン日経_2017年3月14日
産経ニュースWEB版_2017年3月13日
研究開発成果の利用シーン

介護分野や医療分野およびそれ以外の様々な分野(塵芥処理、放射性物質除染作業など)で使用される着衣

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

マスクなしタイプは27病院で継続的に販売している。2018年度の販売数量は1万枚を超え、売上も280万円に迫っている。3年後の2021年度には3万枚を販売したい。マスク付きタイプについては、補完研究中で2年後には製品化したい。
2017年度の厚労省「WHO事前認証取得等推進事業」に採択され、「2016-2017年版WHO compendium of innovative health technologies for low-resource settings」に本ガウンが掲載された。(別添WHO Compendium daiei_pdf)また、JICAに緊急援助物資としてアプローチ中。

WHO Compendium daiei1
WHO Compendium daiei2
セルフガウンパンフレット1
セルフガウンパンフレット2
提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント
セルフガウンの着脱手順_英文版

・ナースの労働負担を可及的に軽減し、患者への更なる安全、安心な医療の提供の実現
・一人で安全に脱げるため、手袋に付着した血液・体液の環境への飛沫を防止でき、感染対策にも非常に有用
・手術時間の短縮等により、効率的な手術室運営の実現
・救急現場や大規模災害現場での迅速な救護の実現

今後の実用化・事業化の見通し

2017年4月にマスクなしタイプのセルフガウンを上市し、初年度の販売実績は5,225枚、2018年度10,025枚、2019年度は11月までで8,100枚である。既存の顧客である医療機関、医師に早い段階から周知し、かつ開発に携わる大学研究者のアカデミック・セールス活動を通じて広く外科医、ナース等の手術部スタッフ、病院経営者側にメッセージ発信を行っており、さらに、国内展開を拡大していく。

実用化・事業化にあたっての課題

今後の解決すべき課題は、2021年度までに現行価格より15%のコストダウンとマスク付きセルフガウンの上市である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 大衛株式会社 企画開発本部
事業管理機関 国立大学法人大阪大学 次世代内視鏡治療学共同研究講座
研究等実施機関 国立大学法人大阪大学 次世代内視鏡治療学共同研究講座
トクセン工業株式会社 ライフサイエンス事業室

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 大衛株式会社(法人番号:8120001007891)
事業内容 医療衛生材料の製造および販売
社員数 220 名
生産拠点 国内は津工場(三重県)、他、海外にベトナム工場を保有し、中国、カンボジアに協力工場
本社所在地 〒534-0021 大阪府大阪市都島区都島本通2-3-3
ホームページ http://www.amethyst.co.jp
連絡先窓口 企画開発本部 安井隆幸
メールアドレス tyasui@amethyst.co.jp
電話番号 06-6924-0454