立体造形
グラフェン直接成膜技術を用いて全固体電池の電極大容量化
愛知県
シーズテクノ株式会社
2025年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | グラフェン電極を用いた大容量全固体リチウムイオン電池の研究開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、自動車、情報通信、電池 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | グラフェン,全固体電池,リチウムイオン電池,LIB,カーボンナノウォール |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究では、シーズテクノ株式会社のグラフェン成膜技術を用い、全固体リチウムイオン電池の負極にグラフェンウォール(カーボンナノウォール)を使用することで、負極容量の増加を図った。グラフェンウォールは従来の黒鉛に比べて表面積が広く、リチウムとの反応面積を拡大できるため、負極容量が向上した。さらに、液体電解質を使用しない固体電解質を採用することで、漏れや発火のリスクを低減し、安全性も向上した全固体電池を作製した。
開発した技術のポイント
グラフェンウォール負極の開発
・シーズテクノ株式会社独自のマイクロ波プラズマCVD技術を用い、金属基板上にグラフェンウォールの直接成膜に成功した。
・成膜条件を変えることにより、グラフェンウォールの高さや間隔、傾斜角度を制御できる技術を構築した。
・グラフェンウォールの基板として銅とステンレスを比較した場合、グラフェンウォールと基板との密着性が異なったが、この原因が金属とグラフェンウォールとの間に形成される炭化物層であることを明らかにした。
全固体電池の開発
・負極であるグラフェンウォール成膜をマイクロ波プラズマCVD法、固体電解質、正極及び金属電極までをスパッタ法で連続成膜が行える装置と工程を構築した。
・ラミネート型全固体電池の試作工程が完成した。
・充放電中に全固体電池部材の結晶性評価がリアルタイムで可能となる測定方法を構築した。
具体的な成果
全固体電池の開発
・グラフェンウォール負極を用いた全固体電池を試作し、負極の重量当たりの容量が黒鉛より190%増加(1070mAh/g)を達成した。
・80℃で充放電を繰り返す際の安定性が確認され、長時間使用に耐える性能を実現した。
・ラミネート型全固体電池を開発し、実用的な形状での試作に成功した。
知財出願や広報活動等の状況
・特許出願: カーボンナノウォール電極及びその製造方法(特願2022-181742)
・シーズテクノ株式会社は、国内外の展示会や学会にて本技術を広報し、産業界からの注目を集めた。また、研究成果に基づき複数の企業と共同開発の可能性を模索している。
研究開発成果の利用シーン
グラフェンウォールを活用した全固体リチウムイオン電池は、特にウェアラブルデバイスやドローン、環境モニタリング機器など、電源配線が困難な場所での使用が期待される。これにより、IoT機器の省エネルギー化と効率化が図られる。また、長寿命化により、メンテナンスフリーの電源供給が可能となり、様々な産業分野での応用が見込まれる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本研究開発による全固体電池に対して、電池の大容量化と特性安定化の開発を進めており、製品化に向けた電池の改善を行っている。特に、小型大容量全固体電池として、複数の企業から期待されており、モバイル用途や住宅・産業用途の蓄電池の製品化に向けた検討を進めている。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
本研究で開発された全固体電池は、グラフェンウォールを使用したことにより、従来の黒鉛負極に比べて190%の容量増加を実現。さらに、固体電解質を使用することで、漏れや発火のリスクが低減され、安全性が向上している。また、薄型で軽量な設計が可能となり、さまざまなデバイスに適した電池として注目されている。
今後の実用化・事業化の見通し
全固体電池は、2026年内に実用化される予定であり、今後はより大規模な量産体制の確立が必要となる。加えて、電池の長寿命化に伴い、特定の産業分野に限定されず、広範な分野への応用が期待されている。ウェアラブルデバイスやIoT機器だけでなく、電力供給の安定性が求められる航空宇宙産業や医療分野にも展開可能である。
実用化・事業化にあたっての課題
・全固体電池の耐久性を向上させるため、さらなるサイクル試験の実施が求められる。
・特許取得による技術的な優位性の確保が重要であり、知財戦略を強化する必要がある。
・量産化製造プロセスの構築
事業化に向けた提携や連携の希望
グラフェンウォール電極またはこの電極を用いた全固体電池の両者が事業化が可能と考える。このため、電池業界で電池または電池部品を製造している企業との連携を模索中。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | シーズテクノ株式会社 研究開発部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人名古屋産業振興公社 研究推進部 |
研究等実施機関 | 名古屋市工業研究所 システム技術部 学校法人中部大学 工学部 電気電子システム工学科 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | シーズテクノ株式会社(法人番号:9180001109137) |
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事業内容 | ・ナノカーボン等の電子光材料の研究、開発、製造及び販売 ・グラフェンを活用した燃料電池、蓄電池及び太陽電池等のグリーンデバイスの研究開発・製造・販売 |
社員数 | 10 名 |
生産拠点 | 研究拠点:愛知県名古屋市守山区桜坂四丁目206番地先端技術連携リサーチセンター122号室 |
本社所在地 | 〒465-0084 愛知県名古屋市名東区西里町2-43-2 |
ホームページ | https://c-stechno.co.jp |
連絡先窓口 | 代表取締役 CTO 梅野 正義 |
メールアドレス | umeno@c-stechno.co.jp |
電話番号 | 052-736-4382 |
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