文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 木質流動成形によるイス座面大の成形品の成形

立体造形

木質流動成形によるイス座面大の成形品の成形

三重県

三惠工業株式会社

2022年1月25日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 3次元立体・複雑形状と傾斜機能を具備する木質複合部材の開発とイス座面への適用
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 医療・健康・介護、自動車、建築物・構造物、その他
産業分野でのニーズ対応 環境配慮、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上
キーワード 地域未利用材・間伐材国産針葉樹による成形、環境負荷低減、樹脂成型代替・脱プラ、デザイン性の向上
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究では、木質材料流動成形技術を基に、座面が複雑な三次元形状のイス部材でありながら、表面層は木の手触り感を醸し出し、中間層を挟んで裏面層はイス脚と固定する堅牢複雑三次元構造とする世界初の構造体を一体で成形するための新製法を開発する。

開発した技術のポイント

木材立体造形技術について、データに基づく座面形状・材質物性値の導出と、高感性化を実現する木質流動成形の高度化を行い、形状と機能性に優れ、かつ中量生産によりコストを抑えた木質座面金属製イス座面の製作に成功した。

具体的な成果

・快適座面の意匠・形状デザインの開発と評価方法の検討
-座面の試作品を用い、圧力分散効果の分析を進め、快適な座面形状を追求するために、座りごごちをはじめとする快適性の実証試験を実施した。
-量産時に使われることを想定した木材とウレタンの混合物の板のサンプルを作成し、木質感を評価した。また、木材表面の視覚的な心地よさを、木材やプラスチックの表面のテクスチャーから算出される1/fゆらぎで評価できる可能性を見出した。

・傾斜機能を具備する部材の調製方法の開発
-密度・空隙率を調節することによって、得られる複合材の密度・弾性率を変化させることに成功した。
-プレスの圧力などの条件を検討することで木材の熱浸透率に近づける可能性を見出した
-表層意匠面に木材や樹脂類を使うことで、3次元形状を有する一体部材の成形が可能になった。

・木質流動成形を用いた実代座面の成形プロセスの開発
-ウレタン樹脂を木材中で生成させるための溶液の含浸条件ならびに養生条件を見出した。また含浸処理による溶液の品質も確認した。
-意匠面における木材・ウレタン樹脂複合材の破断防止のためには、シボなどで摩擦を積極的に利用する必要があることが分かった。
-実大座面寸法400mm×400mm×5mmを満足させる寸法の金型が完成した。
-金型温度130°Cまで冷やし電源オフ状態から成形可能温度150°Cまでの昇温時間を6分53秒で実現した。

・木質座面金属製イスの性能総合評価
-フェノール含浸材のみ「JIS S 1032 オフィス家具-椅子」におけるF☆☆☆☆基準をクリアした。
-製作したイスの熱浸透率値は木材より大きく、同等の値には至らなかった。

イス全体
知財出願や広報活動等の状況

今年度の結果を踏まえて、ウレタン樹脂木質複合材ならびにそれを利用した積層構造材について、特許出願準備(2件)を行っている。結果がまとまり次第出願するとともに、論文化も検討する。

研究開発成果の利用シーン

商業ビルなどの木質意匠空間において、木質感があり、低価格かつ機能性・快適性に優れたイスとして会議用イスに利用される。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

従来製品のプラスチック座面を順次木質る有働成形品へ入れ替えていき、現在のプラスチック座面や背もたれ等を使用している機種のうち、約50%を本開発品へ順次入れ替えていく計画である。また業界20%のシェアを活かし、他の製販企業への普及も目指す。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

本研究結果により製作されるイスは、データに基づく座面形状の導出による快適なデザイン性や、積層工法により柔らかさ、温かさ、サラサラ感など機能性に優れ、塑性加工により生産性(成形6分)が向上する結果、中量生産によって製品の価格も低く抑えられている。
国際的にも他に類を見ない技術であるため、国内のみならず海外からの引き合いも期待される。

今後の実用化・事業化の見通し

令和4年に事業化を行う見込みであり、事業化1年度は、販売実績のある会議用イスで、背もたれ座面共に PP 座面のCM380シリーズ及び類似商品へ木製座面を採用しサンプル出荷をする。サンプル評価を受けてOEM向け商品への展開を行う。本事業では量産性を上げた工業製品として木製座面金属イスとなり狙う市場も数量が見込める会議用イスを狙うため、競合品の約50%の定価ベース30,000円を設定し、工場出荷単価8,000円として2年目10,000脚で80,000千円を売り上げることを目標とする。

実用化・事業化にあたっての課題

触れたときの温かみを評価するため、試作座面の熱浸透率を算出したが、木材の熱浸透率値より大きく同等の値には至らなかった。積層構造材にすることで熱伝導率を低下させることができるため、官能試験などの結果と合わせて温かみを向上させる検討を行う。

事業化に向けた提携や連携の希望

国産木材や地域木材の有効利用にプラスチックの代替材として商品化を検討していただける企業を希望                           SDGsに取り組む企業と共同開発を希望

国産針葉樹材

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 三惠工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人三重県産業支援センター
研究等実施機関 国立研究開発法人産業技術総合研究所
国立大学法人京都大学
三重県工業研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 三惠工業株式会社(法人番号:7190001005031)
事業内容 金属家具製造業 オフィス用 折りたたみイス、会議イスの設計、フレーム加工、熔接、塗装、組立
社員数 104 名
生産拠点 本社工場・石薬師工場
本社所在地 〒513-0017 三重県鈴鹿市上野町字助町48番地
ホームページ https://www.isu-sankei.co.jp/
連絡先窓口 新技術開発担当 安田 府佐雄
メールアドレス yasu@isu-sankei.co.jp
電話番号 059-378-1243