精密加工
レーザ光の光学的な高速走査により、ロール原反から自動で製品形状のシートを生産する加工機の開発
佐賀県
武井電機工業株式会社
2022年1月26日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | レーザ光高速走査・加工除去物の効率換気・搬送シートの連続加工によるエアバッグの生産コスト低減を目的としたエアバッグ用シートのレーザ裁断装置の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、産業機械、食品、建築物・構造物、電池、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(人件費削減) |
キーワード | レーザー加工、原反、不織布、フィルム、シート |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
従来のエアバッグの裁断工程は、製品形状に沿ってレーザ出射部を走査し加工する。ただし機械的な動作ではレーザ光の高速走査が困難で、処理能力を確保するために、シートを重ねて裁断する。そのため、前後にシートを重ねたり剥がしたりと人の作業を要し、オートメーション化できない。そこで、レーザ光の光学的な高速走査により搬送されるシートを裁断する技術を確立し、ロール状のシート原反から自動で製品形状のシートを連続的に生産する加工機を開発する。
開発した技術のポイント
・光学システムの開発
‐広範囲にレーザ光を高速走査
・気流制御技術の開発
‐加工で発生した除去物を効率的に回収
・裁断装置の開発
‐省人化、省スペース化、連続裁断
・連続計測システムの開発
‐連続した位置補正や自動で寸法計測
・保全システムの開発
‐IoTを活用した装置の状態診断
具体的な成果
・光学システムの開発
‐500mm×500mmの範囲でレーザ光を走査できる光学系を開発
‐高さ方向±5mm、加工エリア500mm×500mmにおいて、スポット径変動量を、±10%以内とする光学系を開発
・気流制御技術の開発
‐1500mm×1500mmの領域で均一な風速が得られる換気システムを開発
・裁断装置の開発
‐200mm/sの搬送状態で、加工精度が±0.5mm 以内の裁断装置を開発
‐加工処理能力10m/min以上を達成
・連続計測システムの開発
‐ラインスキャンカメラによる画素分解能0.05mm以内を達成
‐取得した画像による検出精度±0.5mm以内を達成
・保全システムの開発
‐状態監視項目90項目以上、運転異常の検知項目300項目以上、異常の特定率100%を達成
知財出願や広報活動等の状況
本事業を通して新たに考案された気流制御技術を中心に具体化した考案の特許(特願2021-013068)を2021年1月に佐賀大学と共願し、早い段階での事業化を行うことを目的として早期審査請求を行い、2021年7月に登録された。
特許第6918325号 レーザー加工装置及びレーザー加工方法
研究開発成果の利用シーン
・光学システムの開発
‐高速レーザ走査を用いた連続裁断による工程数の削減と処理能力の拡大
・気流制御技術の開発
‐除去物を気流制御で回収し加工室内を浄化、生産工場の作業環境を改善、また、安定した風速を得ることによって加工品質の均一化が可能
・裁断装置の開発
‐処理能力の向上により生産コスト及び工場の省スペース化に貢献
・連続計測システムの開発
‐裁断後の寸法測定も可能であるため、不良品の検出に有効
・保全システムの開発
‐インターネットを介してメンテナンスサポート、トラブルへの早期対応が可能、運用状況の履歴より状態変動を予測し、予兆保全が可能
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
従来の顧客に対して、開発した製品のPRを進めている。その上で必要となる営業ツール(営業資料や動画、評価用サンプル)を整備している。また、試作装置を用い、サンプル評価や処理能力の検証を進める。新たな顧客に対する今後の営業展開において、本製品については、当社のWebサイトでの公開や代理店へのリモートによる紹介等の手法により営業活動を行う予定である。既に、生産ラインへの適応を評価するための、検証機を受注し、現在、設計作業を行っている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、試験・分析・評価
製品・サービスのPRポイント
レーザ光の光学的な高速走査により搬送されるシートを裁断する技術を確立し、ロール状のシート原反から自動で製品形状のシートを連続的に生産する加工機の開発により、エアバッグ用シートの裁断工程の生産性向上・省人化・省スペース化の同時実現を可能にした。
今後の実用化・事業化の見通し
展示会の活用を検討する上でCOVID-19の影響が大きい。展示会自体の集客が低迷しており、出展しても効果が得られにくいことを懸念している。そこで、本製品については、当社のWebサイトでの公開や代理店へのリモートによる紹介等の手法により営業活動を行う予定である。自動車分野の顧客より本技術の応用用途についてもヒアリングを継続的に行いアプリケーションの拡大を図っていく。
実用化・事業化にあたっての課題
生産性向上、省人化、省スペース化の同時実現のため、搬送シートの連続加工を行うことができる装置を開発したが、光学システムを調整するためには、高精度な計測装置が必要になることがわかった。そのため、納入する現地でも使用できる計測装置の開発が、今後の課題となる。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 武井電機工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人佐賀県産業振興機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人佐賀大学 佐賀県工業技術センター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 武井電機工業株式会社(法人番号:8300001006891) |
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事業内容 | レーザ加工装置、FAメカトロ装置、システム制御(配電盤、制御盤) |
社員数 | 148 名 |
生産拠点 | 本社工場(佐賀県みやき町)、 久留米工場(福岡県久留米市) |
本社所在地 | 〒849-0112 佐賀県三養基郡みやき町江口2617 |
ホームページ | https://www.takei-ele.co.jp/ |
連絡先窓口 | 技術課 桑原 太郎 |
メールアドレス | t-kuwahara@takei-ele.co.jp |
電話番号 | 0942-89-4151 |
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