文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 廃棄物処理時の焼却熱から電力を生み、装置類消費電力の自給・省エネ化を可能とする、可搬・交換可能な小規模蒸気発電エンジユニットの開発

製造環境

廃棄物処理時の焼却熱から電力を生み、装置類消費電力の自給・省エネ化を可能とする、可搬・交換可能な小規模蒸気発電エンジユニットの開発

大阪府

村上精機株式会社

2023年2月4日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 小規模ごみ焼却発電技術を普及させる蒸気ロータリー発電エンジンの研究開発
基盤技術分野 製造環境
対象となる産業分野 環境・エネルギー
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(廃棄物処理時における熱回収と消費電力の自給化)、環境配慮、低コスト化
キーワード 熱回収、CO2削減、地産地消化、独立用電源、災害時対応
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

現在のごみ焼却処分場で発電機能のある施設は大規模処理場だけで、中小規模で発電できる機器はない。そこで新規の蒸気ロータリー発電エンジン技術を開発する。本開発技術は高出力化・高耐久化・軽量化・低コスト化することで、従来の回転型蒸気機関(タービン型、スクリュ型)では対応できなかった小~中規模の処理施設が発生する焼却熱(200kW程度~)に発電効率6%以上の機器として実用化し、廃棄物処理に係る省エネルギー化を促進できる。

10kW発電状態写真
開発した技術のポイント

・蒸気ロータリーエンジンの高出力高性能化に係る技術
-給気制御バルブの断熱膨張の最大化と急速給気技術
-蒸気シール低摩擦化の他、蒸気の偏流防止等の効果でバルブ・ローター安定性が向上し、静音化などの効果も確認
-給気開始直後から生じるオーバーラップを低減したハウジング改良
・水蒸気環境下の高耐久トライボロジー技術
- Ni-Al-V 系の Ni 基二重複相金属間化合物合金(Ni 基超々合金)と、Ni-Si-Ti 系の Ni3(Si,Ti)相をベースとする NST合金
-外観光沢、平滑性、めっき析出速度の高速化、および工業的に安定製造ができる条件を確立
・量産用共通設計エンジンと性能カスタム技術
-タービンと異なる原理のため熱源側が大きく変動しても 一定流量以上回転・出力できない給気制御バルブの出力リミッター機能を確認

エンジン内部ローター
新素材アペックスシール
具体的な成果

・蒸気ロータリーエンジンの高出力高性能化に係る技術
-超小型での耐熱給気バルブ技術の完成の目途付け
-180℃給気対応型の新型耐熱バルブ部品の設計・試作が完了
-軸受潤滑にオイルとグリスを使い分けることで、排気へのオイル漏洩量≒0 でも約 2500RPM の安定稼働に成功
・水蒸気環境下の高耐久トライボロジー技術
-蒸気稼働下での実機ロータリーエンジンでも使用可能なレベルのアペックスシールの開発(従来材(アシキュラー鋳鉄製)に比べて,5倍の長寿命化に成功)
-ハイブリッド型クロムめっきの形成条件を最適化することでキャス試験 32 時間以上の耐食性、アペックスシール材との摩擦係数0.2以下、220℃における耐熱性を達成
・量産用共通設計エンジンと性能カスタム技術
-高価な蒸気流量制御弁およびフィードバク制御等の安全装置不要化に成功

蒸気コントロールバルブユニット
知財出願や広報活動等の状況

特許取得 2018-202934 発明の名称 外燃式ロータリーエンジン 他1件。

研究開発成果の利用シーン

小規模分散型のロータリー型蒸気機関の高性能化、低コスト化を実現することで、経営にインパクトの大きい産業廃棄物処理に必要なコストの低減と、発生する環境負荷物質の低減を実現し、製造業および廃棄物処理業者における経営環境を改善する。

宿泊施設の非常用発電ユニット、水蒸気発電の他、小規模地熱発電にも応用ができる。
また、原理的に強靭な小型エンジンであるため、これまでの安定電源で動かす高速回転ポンプなどとは異なり、災害時の排水や汚水処理・汲みあげ等の工事機器の他小水力発電用の耐久部品(軸受・ベーン部)等の要素技術としても応用が期待できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

事業化に向けては設置環境に対しての(排水処理成分監視・排気音の騒音低減するなどの、環境技術開発に加え、法律的な扱いが不利な状況であり、改善が期待される。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・180℃以下1MPaG以下の低温低圧水蒸気を対象としたエンジンの高性能・高出力化
・消耗部品(アペックスシール等)の長寿命化
・エンジン本体部の低コスト化と軽量化

今後の実用化・事業化の見通し

当面の間は建築廃材対応のバイオマスボイラーや、減容化のための焼却炉の熱源に適した廃熱ボイラーのエンジニアリング業者らとタイアップし、ごみ焼却施設で実証試験などを行い、現地でのトラブルおよびニーズに対応した回収と附帯技術の開発とパッケージ化などを推進していく。一方で、規制面では小出力発電設備に分類され、出力10kW未満として規制を受ける。それでは本技術の特性を活かしきれないため、低振動・小型の蒸気エンジンとして 15kW なし 20kW 未満までで新規の区分を制定し、小型風力発電システムと同等の扱いを期待する。

実用化・事業化にあたっての課題

・エンジン性能を維持するアベックスシール寿命の潤滑の改善
・長期運用と静穏運用を可能とする排気蒸気液化・潤滑油高温回収システム
・排熱ボイラー部の新規中小製造業の参入の推進や低コスト化
・電気事業法のうち、小規模分散型汽力発電に関わる項目の規制緩和

事業化に向けた提携や連携の希望

産業廃棄物処理業界の省エネ化を希望する業者や、排ガスボイラーを製造している企業との連携を模索中、
補完研究のため200kW規模の空冷液化装置メーカーや、100℃付近の熱水中に含まれる潤滑油を分離・回収装置等の選定・検証を予定。
日本国内の避難所における災害時稼動を目指した熱電併給システムの実証や海外の無電化地帯・離島などでのODA事業等を希望。

配管接続状態
性能グラフ2021

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 オテック株式会社 製造部、技術開発部
事業管理機関 公立大学法人大阪(大阪府立大学) 研究推進課
研究等実施機関 村上精機株式会社 製造部・技術開発課
オテック株式会社 製造部、技術開発部 
公立大学法人大阪(大阪府立大学) 工学研究科 マテリアル工学分野/研究推進機構 ものづくりイノベーション研究所
アドバイザー 国立大学法人東北大学
地方独立行政法人大阪産業技術研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 村上精機株式会社(法人番号:8120101007346)
事業内容 宇宙・防衛用の金属加工部品の製造、精密機械の製造・組立
社員数 50 名
生産拠点 本社工場(大阪府・堺市)、奈良針町工場(奈良県奈良市)
本社所在地 〒590-0983 大阪府大阪府堺市堺区山本町5丁97番地の3
ホームページ http://www.murakamiseiki.co.jp/
連絡先窓口 村上精機株式会社 製造部技術開発課 仲 崇志
メールアドレス naka@murakamiseiki.co.jp
電話番号 072-232-5693