製造環境
食材の成分、風味劣化の少ない低温殺菌装置の開発
静岡県
株式会社クメタ製作所
2023年2月12日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 大容積大気圧プラズマ技術を活用した低温食材殺菌機の開発 |
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基盤技術分野 | 製造環境 |
対象となる産業分野 | 農業、食品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮 |
キーワード | 殺菌、プラズマ、大気圧、低温 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
従来の食材向け殺菌機は、過熱蒸気やマイクロ波を用いた加熱殺菌、次亜塩素酸などの殺菌水を用いた殺菌が主流で、加熱により食品の「色合い」や「風味」の劣化や、洗浄、廃液処理などのコスト・環境面での問題が当該分野における共通の課題であった。それらの課題を克服するため、高速殺菌処理が低温で可能であり、環境にも優しい、省電力型大容積大気圧プラズマを用いた先進的・革新的な“世界初“低温殺菌機の研究開発を行う。
開発した技術のポイント
・均一な大容積平行平板型誘電体バリア放電プラズマ生成の実証
-平行平板型誘電体バリア放電電極を設計-製作
-目標である電極間隔20mm以上25mmでの電極全面に広がるフィラメント状誘電体バリア放電
-電極間隔を自由に調整可能な平行平板型誘電体バリア放電電極
・環境に優しく無害な大気圧プラズマ低温殺菌技術の実現
-主放電時のオゾン生成抑制手法
・実用化に必要とされる高速殺菌特性および処理能力の達成
-放電条件パラメータの最適化
-電極掃引制御装置の導入によるプラズマ照射の均一化
・省電力化を実現する大気圧プラズマ殺菌装置の開発
-予備電離電極の材料最適化による放電の高密度化
-パルス電圧波形の最適化による放電特性の改善
具体的な成果
・均一な大容積平行平板型誘電体バリア放電プラズマ生成の実証
-ガス吹付型平行平板型誘電体バリア放電装置を試作し、均一な大気圧放電プラズマ(長さ40cm、幅10cm、高さ25mm)の生成に成功。
・環境に優しく無害な大気圧プラズマ低温殺菌技術の実現
-放電時のオゾン濃度が0.1ppm以下、品温が50℃程度の低温処理を確認。
-食材の品質劣化および有害物質の生成が無視できることを確認。
・実用化に必要とされる高速殺菌特性および処理能力の達成
-プロトタイプ機を用いた抹茶、ターメリック、甘草の30秒間処理により、大腸菌群を陽性から陰性に、一般生菌数を2桁以上殺菌できることを確認。
・省電力化を実現する大気圧プラズマ殺菌装置の開発
-誘電体バリア材料の最適化により、放電プラズマの高密度化を確認。
-上記の高速殺菌性能を有する殺菌機を消費電力1kW以下で実現。
知財出願や広報活動等の状況
・【特許登録】
-特許番号 第6782952号 プラズマ生成装置
-特許番号 第7058032号 プラズマ生成装置
・【特許出願】
-(発明の名称)プラズマ生成装置・特願2020-110338(出願日2020年6月26日)
-(発明の名称)プラズマ生成装置・特願2020-183366(出願日2020年10月31日)
-(発明の名称)プラズマ生成装置・特願2021-526046(出願日2020年6月3日)
-(発明の名称)プラズマ生成装置・特願2021-548419(出願日2022年3月15日)
研究開発成果の利用シーン
殺菌不良品を回収して再生品を販売する新たなビジネスモデルやSDGsの取組み拡大してることからバイプロ品活用で食品ロスを低減できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
販売開始当初は川下事業者に協力体制を構築して販売し、データ収集を共同で行う。2022年度は川下企業A社への販売を行う。販売のステップとしては、2024年度から「再生ビジネス、高付加価値商品をターゲット」とした一般販売を開始する。2027年度からは高付加価値商品以外で差別化を図れる業界へ進出しターゲットを拡大・シェアを高める。また、設備導入のための評価試験だけではなく新商品開発にも携わり「商品化」までのサポートも実施する予定である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
殺菌不良品を回収して再生品を販売する新たなビジネスモデルやSDGsの取組みが拡大してることからバイプロ品活用で食品ロスを低減できる。性能面ではプラズマ殺菌機は従来の殺菌機より高価となるが、素材本来の色・香り・風味を活かした殺菌方法が既存にはなく殺菌効果も高いので、性能的な優位性がある。商品の観点では、添加物に頼らない自然由来の食品の開発ニーズや品質を保持したままの殺菌技術のニーズが高まっている。新商品開発による差別化・ブランド化や番ニーズが大きいのは「殺菌前後で色・香り・風味が変化していないこと」の実現に本装置は寄与できる。
今後の実用化・事業化の見通し
「大容積大気圧プラズマ技術を活用したプラズマ殺菌機」の売上計画は2023年度2台、2024年度5台、2025年度7台、2026年度10台、2027年度15台である。また本装置を活用した商品開発サポートも実施予定。設備導入のための評価試験だけでなく新商品開発に携わり、評価試験や成分分析を行い「商品化まで」のサポートを行う。
実用化・事業化にあたっての課題
販売面においては、技術面以外の販売条件として「清掃の簡便化、機械・操作のシンプル化、ランニングコストの低減、機械のコンパクト化」が課題である。実働面に関しては、負荷をかけて想定生産稼働時間5~8時間の生産稼働時間を想定した評価・検証が必須である。また、装置の経年劣化のデータ蓄積も求められる。さらに「少量多品種」に移行している中で、洗浄の切替えに1日以上を要している。殺菌特性とは別に、時代のニーズを実現する「洗浄の切替えの簡便化」を求められている。製造面では生産余力がなければ様々な市場への販売が実現しないので、生産能力の向上(生産委託契約や外注先の開拓)も重要である。事業戦略の課題は、川下事業者からあがっている課題は「廃棄品回収ネットワークの構築、出荷までの全工程での2次汚染リスクの検証」である。原価計算上では高収益となるが、ラインとして稼働させるだけの廃棄品を収集できるかも事業化のポイントとなっている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社クメタ製作所 技術営業部 河村尚寿 |
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事業管理機関 | 公益財団法人静岡県産業振興財団 革新企業支援チーム |
研究等実施機関 | 国立大学法人静岡大学 電子工学研究所 特任教授 永津雅章 京都グレインシステム株式会社 経営企画室 岡本彩 |
アドバイザー | ヤスマ株式会社 株式会社ハイデン研究所 株式会社セイトー社 株式会社東京シオノヤ 有限会社サンキ 稲守コンサルティング事務所 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社クメタ製作所(法人番号:2080001013941) |
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事業内容 | 乾燥機、殺菌機の設計、製造、販売、修理 |
社員数 | 25 名 |
本社所在地 | 〒421-0301 静岡県榛原郡吉田町住吉5436-230 |
ホームページ | https://www.kumeta-mnf.co.jp |
連絡先窓口 | 開発課 八木稔貴 |
メールアドレス | yagi-t@kumeta-mnf.co.jp |
電話番号 | 0548-32-5788 |
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