製造環境
独自のサブミクロンファイバーカートリッジによるRO膜のファウリング抑制技術
長崎県
協和機電工業株式会社
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 排水リサイクル時の逆浸透膜のファウリングを防止することで造水コストを削減することができるサブミクロンファイバーを使った水処理装置の開発 |
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基盤技術分野 | 製造環境 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、産業機械、半導体、エレクトロニクス、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | ファウリング防止、吸着技術、ナノファイバー、サブミクロンファイバー、ランニングコスト削減 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成27年度~平成29年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
下水や排水を再利用する排水リサイクルを行っているユーザーには再生の要である逆浸透膜(RO膜)の汚染を抑制し運用コストを削減したいニーズがある。本事業はRO膜の汚染防止のために、熱過疎性樹脂を用いたサブミクロンファイバーを充填したカートリッジにより、RO膜汚染物質を高効率に吸着除去する安価で高機能な汚染防止前処理装置(ユニット)を新規開発し、ユーザーニーズに応じた形で国内外での販売を目指す
開発した技術のポイント
排水リサイクルコスト30%削減、造水コストを40円/m3未満にするたの開発目標
(新技術)
・独自のサブミクロンファイバーカートリッジ
(新技術のポイント)
・コストの高いUF膜を使用しないことでの低コスト化
・低圧力損失により低い消費エネルギー
・微量の有機物を除去し、RO膜のファウリングを抑制
(スペック)
・ファウリング原因物質90%除去(多糖類やフミン酸を吸着除去)
・長さ125~500mmのカートリッジを作成、一つのハウジングに多数装着することで様々な水量に対応
・250mmカートリッジ1本で100m3程度の処理が可能
具体的な成果
・直径500nmのポリアミド系およびポリプロピレンのサブミクロンファイバーをメルトブロー法によって製造できた
・ポリアミド、ポリプロピレンのサブミクロンファイバーを使った通水抵抗0.05MPaのカートリッジを完成した
・サブミクロンファイバーカートリッジの性能を発揮してコスト削減するための濁質除去装置として、独自の繊維ろ過装置を開発した
・下水処理水での実証試験においてポリプロピレンのサブミクロンファイバーカートリッジが優れた効果を発揮したUF膜処理に比べて10倍以上のRO膜ファウリング抑制効果が得られた
知財出願や広報活動等の状況
特許
吸着体、および吸着体の製造方法 【特許第6439084号】
濾過装置 【特許第6325746号】
研究開発成果の利用シーン
独自のサブミクロンファイバーカートリッジおよび水処理装置により、
・民間工場における排水リサイクル設備
・下水処理水の高度処理のためのRO膜設備等
・微量の石油系色素やの油分などの疎水性物質を含む排水の処理
・リサイクル設備を提供し、従来よりもRO膜等の交換コストを低減した形での水処理が可能となる。
例えば、半導体工場や電子部品工場等での大型の排水リサイクル設備で、毎年交換しているRO膜のコストを半減するというような効果を期待できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
下水処理水の再利用工程においてUF膜処理よりも優れたRO膜のファウリング抑制効果が確認できている。
サブミクロンファイバーカートリッジの長寿命化と再生洗浄方法の確立を行っており、これによってランニングコストの低減を果たす。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
メルトブローによる微細なファイバーを用いて、高密度でかつ低圧力損失の吸着カートリッジを製造することが可能。
これによって水中の微量有機物を吸着除去し、RO膜のファウリングを抑制。
下水処理水を再利用するケースでの実証試験を行い、連続的なRO膜のファウリング抑制効果やコスト削減効果を検証中。
様々な水での実用データを収集しており、要望に応じて実証試験等を無料で実施
今後の実用化・事業化の見通し
ランニングコストを抑えるため、繊維の微細化やカートリッジ形状の見直しの補完研究を実施中。
更なるコスト低減のため、カートリッジの再生利用が可能となるシステムの開発も行っており、これが完成すれば従来の微量有機物除去手法よりも大幅に低コストで高性能な前処理技術として事業展開する。
また、排水に含まれる油分を吸着除去する性能を活用した含油排水処理事業への用途展開を進めている。
実用化・事業化にあたっての課題
課題克服のための技術員の強化
事業化に向けた提携や連携の希望
吸着性能を向上可能な樹脂材料を提供可能なメーカーとの協力体制を構築したい
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 協和機電工業株式会社 事業開発部 |
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事業管理機関 | 協和機電工業株式会社 事業開発部 (H27年度) 公益財団法人長崎県産業振興財団 研究開発促進Gr (H28年度、29年度) |
研究等実施機関 | 協和機電工業株式会社 事業開発部 上山哲郎、松山慧、川原優紀、眞壁良、末吉麟、入江守弘、古川雄勢 国立大学法人長崎大学 大学院工学研究科 (教授)板山朋聡、(教授)田邉秀二、(准教授)村上裕人、(准教授)藤岡貴浩 |
アドバイザー | 東京工業大学 (名誉教授)谷岡明彦 東京工業大学 物質理工学院 材料系(准教授)松本英俊 山口大学 大学院創生科学研究科(教授)比嘉充 山口大学 大学院創生科学研究科(助教)安川政宏 北海道教育大学 教育学部 函館校 国際地域学科(教授)松浦俊彦 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 協和機電工業株式会社(法人番号:7310001000473) |
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事業内容 | 海水淡水化設備や浄水場、下水処理場等のプラント建設システム設計、機械および電気関連工事、電力関連保修 |
社員数 | 490 名 |
生産拠点 | 長崎県西彼杵郡時津町久留里郷376-5 |
本社所在地 | 〒852-8108 長崎県長崎市川口町10-2 |
ホームページ | http://www.kyowa-kk.co.jp/ |
連絡先窓口 | 協和機電工業株式会社 事業開発部 上山 |
メールアドレス | ueyama@kyowa-kk.co.jp |
電話番号 | 095-881-2597 |
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