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複合・新機能材料

環境配慮型CNT複合材とリサイクルペレット

富山県

株式会社富山環境整備

2022年1月28日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 ナノマルチ複合化による高機能性高分子部材の商品化
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 環境・エネルギー、自動車、樹脂部品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮
キーワード CNT、リサイクル
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバーなどのナノファイバー、および炭素繊維などを用いたセルレーション技術により、ナノサイズの立体構造を加工成形することによって革新的な特性を付与した工業部材を提供する。自動車を軽量化する軽量高強度樹脂を製品化し、現行品の10%軽量化を目指す。また、油田・ガス田に用いられる耐ガス性・耐薬品性に優れた高機能ゴムシールを製品化し、オイルフィールドに提供する。

開発した技術のポイント

セルレーション技術を活用して、資源採掘用シール材における従来の課題をいくつかクリアし、自動車用内装部品(PPF)の加工法やスケールアップ方法を確立した。

具体的な成果

・資源採掘用シール材の課題への対応
-ナノマルチ複合化技術によるゴム配合設計
*目標値である耐ガス性、耐化学薬品性(耐Mud)、耐摩耗性、耐疲労性、破壊エネルギーの主要5項目の内、耐Mud性、耐摩耗性、破壊エネルギーの3項目について目標値をクリアした材料開発に成功した。耐ガス性、耐疲労性については、目標値には届かないものの既存の高級グレードと同等の性能を有していることを確認した。
・自動車用内装部品(PPF)の開発
-基本試作評価
*物性を維持しながら4%の軽量化を達成する配合処方を開発した。
-PPF配合設計における廃棄プラスチックの応用展開
*コンパウンドの物理特性に悪影響のない添加量を確認した。リサイクルPP、リサイクルPEの各種グレード毎に比較検討を実施した。
-加工法開発
*CWSolid法のラボレベルのスケールアップを達成した。また、CWSolid法の発展型ともいえるCy法について製法を確立した。
*二軸混練押出装置を導入し、CNFおよびCNT複合材のコンパウンドの加工条件を概ね確立した。
*剛性を維持しながら伸びを向上させることが可能な加熱処理条件を確立した。

研究開発成果の利用シーン

今回開発した技術を使用して各種高分子中にナノマルチ構造を形成することで、自動車用の高強度軽量樹脂部材や石油・天然ガスの探査・採掘に用いられる高機能ゴム部材などの高機能な部材を製造することが可能である。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

各種追加研究を行い、事業化への検討を進める予定である。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

今回開発した技術は、ナノフィラー複合材料の実用化可能性を大きく向上させるものである。

今後の実用化・事業化の見通し

・資源採掘用シール材の課題への対応
-令和3年度~令和5年度にかけて、追加研究、ユーザーでのサンプル評価、具体的な製品の仕様の決定、量産化検討を行う。サポイン事業期間内からアドバイザーへサンプル評価を実施していただいており、今後も得られた情報をフィードバックしながら開発を推進し、事業化実現性を高めていく。また開発には改良する特性項目が複数あるため、特性毎に改良検討を行い、その後特性を複合化させ、バランスの取れた材料を検討する方法で進めていく。開発品は、平成21年に実用化されシュルンベルジェ株式会社にて販売された、CNTセルレーション技術によるシール材の耐Mud性改良グレードという位置づけでの販売を検討している。
・自動車用内装部品(PPF)の開発
-残っている課題について補完計画を実施し、より費用対効果のある材料を提案することが可能な複合材料について開発評価を進める。

実用化・事業化にあたっての課題

・資源採掘用シール材の課題への対応
-耐ガス性、耐疲労性のさらなる改良が求められているが、これまでの基礎研究やアドバイザー・関係機関との意見交換から得られた知見や情報をもとに改良検討を進める。耐ガス性については、ゴム硬度やモジュラスの調整、フィラー添加量の調整などで改良が見込めると考えている。耐疲労性については、モジュラスの調整を行うことで改善可能であると考えている。
・自動車用内装部品(PPF)の開発
-商品化に向けた課題としては、CNT複合材の成型条件がある。提供したCNT複合材を自社でテストピースに成型し評価した物性とアドバイザーにて作製評価した物性値とに乖離がみられた。よってCNT複合材のテストピース作製条件について相関関係を検証し、材料に適した成型条件を提示する必要がある。また、コスト面での課題も残っており、現在比較的安価なCNTを用いて開発を実施しているが、より安価なCNTを使用しなければコスト対効果が得られにくい。より安価で環境に配慮されたCNTについて現在入手し評価を継続している。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社富山環境整備 イノベーション事業部、リバース事業部
事業管理機関 公益財団法人富山県新世紀産業機構 イノベーション推進センター
研究等実施機関 国立大学法人信州大学 先鋭領域融合研究群 カーボン科学研究所 特任教授 野口 徹、研究支援推進員 福士 雅則
株式会社フコク 技術開発本部 中央研究所 ゴム材料研究課

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社富山環境整備(法人番号:6230001002090)
事業内容 廃棄物処理業
社員数 378 名
生産拠点 富山県富山市 本社工場、池多事業所
本社所在地 〒939-2638 富山県富山市婦中町吉谷3-3
ホームページ https://www.tks-co.jp/
連絡先窓口 イノベーション事業部 研究員 牧瀬
メールアドレス takahiko.makise@tks-co.jp
電話番号 076-436-3035