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複合・新機能材料

パルミチン酸からの高効率のバイオマスパラフィン生成、ホルムアルデヒドフリーのマイクロカプセル製造

岡山県

中国精油株式会社

2022年1月28日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 大幅なCO2低減を実現する世界初バイオマス由来の蓄熱材の開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 環境・エネルギー、自動車、建築物・構造物、物流・流通
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)
キーワード バイオマス原料、マイクロカプセル、蓄熱材、省エネ
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

エコ住宅、自動車省エネを実現する蓄熱材市場は成長を続けているが、室温蓄熱が可能な「パラフィン」は原油から極僅かしか生成できず、高コスト・供給不足が課題である。中国精油では、大量生産されている安価なパーム油を材料とする世界初の「バイオマスパラフィン」生成技術をベースに、パラフィン化触媒の耐久性向上と、住宅建材用で重要なホルムアルデヒドを含まないカプセル化技術により、需要増・低コストのニーズに応える。

開発した技術のポイント

・バイオマスパラフィンの量産性を見据え、触媒の耐久性向上、高効率プロセスを開発
・ホルムアルデヒドフリーのマイクロカプセルを開発
・マイクロ流路をナンバリングアップしたカプセル製造プロセス開発
・核化剤の適用による過冷却の抑制
・既存石油由来パラフィンと同等の蓄熱量を確認

バイオマスパラフィン外観
蓄熱カプセル外観
具体的な成果

・水素化・脱炭酸触媒については、担体の選定、Pd-Niの共担持、焼成タイミングの最適化等の検討を推進することにより、繰り返し使用によるパラフィン生成率低下の抑制を実現した。
・フロー式装置でのパラフィン生成については、触媒のペレット化行い装置内に固定した。また、反応温度等の装置パラメータ調整を行い、ワンスルーで高いパラフィン収率を実現した。今後は原料の繰り返し反応プロセスを確立することで目標値である収率80%を達成できる見込みである。
・フロー式装置で使用した触媒を、本検討で最適化したタイミングにより焼成を行うことで、触媒が再生可能であることを確認した。
・蒸留シミュレーションでは、蒸留塔からの熱の漏れ等のパラメータを新たに入力、調整することでラボスケールの蒸留塔及びプラントスケールの蒸留塔の双方で目標値であった一致度90%以上を達成した。
・精製したバイオマスパラフィンは現行の石油由来のペンタデカンおよびヘキサデカンの純度、密度の規格を満足することを確認した。蓄熱量も石油由来品と同等であることも確認した。
・精製したバイオマスパラフィンは冷熱衝撃試験(1,000回)によって凝固と融解の相変化を繰り返しても劣化は見られず、潜熱量も減少しないことを確認した。
・マイクロリアクターを用いた溶媒拡散法によるホルムアルデヒドフリーの蓄熱カプセルの製造プロセスを確立した。また、流量、原料濃度の調整を行うことにより、粒径や殻厚の制御を可能とした。
・作製したカプセルは膜の多孔質化と過冷却に関する課題が存在したが、材料や製造工程の検討を行うことで大きく状態を改善し、蓄熱性能と強度の向上に成功した。
・マイクロリアクター以外でのカプセル生産方法として、撹拌によって液をせん断するバッチ式でのカプセル作製方法を確立した。
・作製したマイクロカプセルに冷熱衝撃試験(1,000回)を実施し、試験後も蓄熱性能を保つカプセルの作製に成功した。
・建材化に際する性能評価のため、日本建材試験センター規格に基づく測定条件を策定し、マイクロカプセルの蓄熱性能評価方法を確立した。

フロー式反応装置
蓄熱カプセル拡大図
カプセル蓄熱量
研究開発成果の利用シーン

蓄熱建材、自動車の蓄冷エバポレーター、輸血用血液の恒温輸送用保冷剤等。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

技術的な課題のほか、コスト面も課題。継続研究を実施予定。

提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

大量生産されている安価なパーム油を材料とする世界初の「バイオマスパラフィン」生成技術をベースに、パラフィン化触媒の耐久性向上と、住宅建材用で重要なホルムアルデヒドを含まないカプセル化技術により、需要増・低コストのニーズに応えられる蓄熱材である。

今後の実用化・事業化の見通し

蓄熱建材向けにバイオマスパラフィン内包マイクロカプセルを活用するには、壁材、天井材など、使用する場所によって加工の方法が異なる為、弊社が加盟している日本潜熱蓄熱建材協会の会員企業と加工方法を加味した具体的な検討を推進していく予定である。

実用化・事業化にあたっての課題

・事業化するにあたり、フロー式装置での反応をさらに長時間行い、触媒の使用期間を明確にすることが必要。
・マイクロリアクターをナンバリングアップした際に、作製したカプセルの粒径のバラツキが大きくなることを確認。単分散性の高いカプセル作成が必要。
・蓄熱量の劣化を防ぐため、よりパラフィン保持力の強いカプセル作成が必要。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 中国精油株式会社 水島工場
事業管理機関 公益財団法人岡山県産業振興財団
研究等実施機関 国立大学法人岡山大学
アドバイザー JXTGエネルギー株式会社(現ENEOS株式会社)
国立大学法人 岡山大学堀部教授

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 中国精油株式会社(法人番号:1260001004262)
事業内容 石油製品や石油化学製品の製造販売、化学品の蒸留精製、環境保全の受託。
社員数 170 名
生産拠点 倉敷市、福山市、北九州市
本社所在地 〒700-0821 岡山県岡山市北区中山下二丁目1番77号
ホームページ http://www.chusei-oil.com/
連絡先窓口 中国精油株式会社 水島工場 門前雅之
メールアドレス monzen@chusei-oil.co.jp
電話番号 086-526-1106