表面処理
F研磨処理による伝熱効率の向上および洗浄性の向上
徳島県
ダイカテック株式会社
2021年2月13日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 表面テクスチャリングによる環境負荷低減型熱交換器用プレートの開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 食品、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(省エネ)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 熱交換器省エネ、伝熱効率の向上、汚れ付着の洗浄性、汚れ付着の抑制、F研磨処理 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
2010年に改正省エネ法が施工されて各企業には、最も身近にある熱交換器の性能向上に関してニーズがある。表面研磨加工技術「F研磨処理」をプレート面に応用することでプレート式熱交換器の伝熱性能を向上させるとともに汚れ層の洗浄時の剥離性を向上させ、現状よりも、伝熱性能の向上と洗浄作業性の効率化ができる新たな表面処理技術を開発する。
開発した技術のポイント
・汚れに対する付着抑制と洗浄性の向上について
-プレート式熱交換器における客先での実証実験によって、鋼板面へのF研磨処理が、汚れの付着抑制と付着した汚れの洗浄性向上に寄与することが確認できた。
-汚れの種類によってF研磨の効果が変わることも人工的な汚れ付着の室内試験で確認できた。
・伝熱性能の向上について
-F研磨処理した伝熱テストプレートによる気化条件下における伝熱特性の比較で、乾き度0.35における局所熱伝達係数が鏡面プレートよりも約6倍という高い伝熱性を確認し、その処理条件も絞り込むことができた。
-液相状態における伝熱特性は、F研磨処理有無によるプレート式熱交換器2台を使い、必要とする温水の流量で30%の省エネを確認できた。
・F研磨処理の自動処理装置について
-熱交換器のプレート面を自動処理加工することでF研磨処理の品質向上や加工のスピード化を目的として、自動処理装置を開発した。
具体的な成果
・鏡面仕上げと比較した伝熱性能の向上に効果的な処理条件の選定
-気化条件下における局所熱伝達係数で3~6倍の効果を確認。
-液相状態における伝熱特性向上の背景に鋼板表面の凹凸分布が伝熱面積で通常の1.4~1.7倍有することを解明。
・洗浄性向上に効果的なF研磨処理条件の選定
-人工的な汚れで析出物を除く、粉末状とフィルム状について優位性を確認。
-処理条件と触診式表面粗さ計による測定値をデータベース化し、その閲覧用ソフトウェアを開発。
・F研磨自動処理装置の試作
-従来の手加工から、加工精度と速度の改善を目的とした自動装置を開発。
-加工品のレーザー顕微鏡による凹凸データを離散フーリエ変換で波高/波長対波長のデータベース化を実施。また、手加工との整合性を確認。
・実証実験(F研磨処理の効果)
-汚れの付着抑制と流水圧による洗浄性の向上を協力工場で確認。
-温水→冷水への熱交換で省エネ30%を確認。
知財出願や広報活動等の状況
・「粉体取扱装置用鋼製部材及び粉体取扱装置」
特願2007-073841、特開2008-230665、特許第4064438号、2008 年1月11日、加藤 雅裕、米倉 大介、大西 賢治
・「熱交換器」
特願2014-266900、特開2016-125762、加藤 雅裕、米倉 大介、大西 賢治
研究開発成果の利用シーン
開発した表面テクスチャリング手法である「F研磨処理」を用いることで、プレート式熱交換器における伝熱性を30%向上させ、かつ汚れ層のはく離における洗浄性を50%向上させることができる。
実用化・事業化の状況
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
開発した表面テクスチャリング手法である「F研磨処理」を用いることで、プレート式熱交換器における伝熱性を30%向上させ、かつ汚れ層のはく離における洗浄性を50%向上させることができる。これは産業界で幅広く使用されているプレート式熱交換器の省エネ化につながるものである。
今後の実用化・事業化の見通し
・F研磨処理による洗浄性向上のメカニズムは明らかではない、F研磨処理効果の確約とその経済効果を前以て提示できないなどの課題はあるが、間違いなく客先ニーズは高いことから、有償による試験鋼板の提供によって実証実験の実績を重ね、客先の評判を高めることで事業化の流れを構築する。
・現在表面処理加工事業として行っているF研磨処理加工において、事業内容に定型のF研磨処理鋼板販売を加え、新しく市販鋼板サイズ(1×2m)の加工が行える大型自動処理装置の開発に今回の研究成果を生かす予定である。
実用化・事業化にあたっての課題
・汚れに対する付着抑制と洗浄性の向上について
-鋼板面へのF研磨処理が汚れの付着抑制と付着した汚れの洗浄性向上に寄与することが確認できた。しかし、その効果を裏付けるメカニズムが明らかにされていないため、汚れの種類に対するその効果を確約できず、その都度効果実証のための実験を伴う。
-F研磨処理による費用対効果が川下ユーザーによって異なり、現状より削減できる労力を経済効果の数値で表すことが非常に難しい。すなわち、F研磨処理効果の確約とその経済効果を前以て提示できない。
・伝熱性能の向上について
-プレート式メーカーの興味が低い。
*伝熱性能アップによる装置の小型化でコストメリットがでないことや、現状装置設計に関する不確定な部分(プレート面のデッドゾーンや枚数増大による効率低下)から、経験工学的な要素が強い。
-プレート面への汚れ付着による影響が伝熱性能に大きく影響する。
*汚れの付着抑制効果によって伝熱性が向上するという話の流れの方が事業化し易いと考えられる。
事業化に向けた提携や連携の希望
石油化学・食品業界に関係する熱交換器を製造している企業との連携を模索中
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | ダイカテック株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人とくしま産業振興機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人徳島大学 国立研究開発法人産業技術総合研究所 徳島県立工業技術センター |
アドバイザー | 三和澱粉工業株式会社 独立行政法人中小企業基盤整備機構四国本部 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | ダイカテック株式会社(法人番号:3480002012240) |
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社員数 | 12 名 |
本社所在地 | 〒771-0139 徳島県徳島市川内町米津9-1 |
ホームページ | http://www.e-daikatech.jp |
連絡先窓口 | ダイカテック株式会社 代表取締役社長 大西 賢治 |
メールアドレス | k_onishi@e-daika.co.jp |
電話番号 | 088-666-0011 |
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