立体造形
次世代映像技術「空中映像・空中ディスプレイ」
京都府
株式会社パリティ・イノベーションズ
2021年2月18日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 空中映像を結像する光学素子の性能改善と生産性向上に関する研究開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、自動車、コンテンツビジネス、産業機械、スマート家電、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | 空中映像、空中ディスプレイ、空中タッチ、非接触、光学素子 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
空中映像を表示する方法として、樹脂製光学素子「DCRA(2面コーナーリフレクタアレイ)」に対する市場の期待は非常に大きい。しかし、現状では照明下で使えないという大きな課題がある。また、歩留まりが悪い、金型寿命が短い、金型を非破壊計測できない、などの課題もある。本計画ではそれらを解決する遮光マスク成形・精密貼り合わせ技術、金型設計技術、計測技術を開発し、世界で初の空中映像製品の事業化を目指す
開発した技術のポイント
・遮光マスク成形・精密貼り合わせ技術
‐溝部分で発生する乱反射を抑える遮光マスクの印刷技術、および精密貼り合わせ技術により空中映像のコントラストと輝度を向上。
・スタンパー設計・成形技術
‐離型のタイミング工夫等により、垂直壁に抜き勾配を設けることなく離型を容易にし、成形面積を向上させる。
・計測
‐カメラで取得した干渉縞を計算機により解析する“コンピュテーショナルイメージング”によりスタンパー微細構造の側面を計測できる新たな手法を開発。
具体的な成果
・コントラストと透過率を向上させた DCRA
‐スクリーン印刷技術とカメラによる精密位置合わせ技術をベースとした新たな製造技術を開発した。これにより乱反射を防ぐ遮光マスクを作製することで空中映像のコントラスト比を30:1に向上させ、最大透過率45%を達成した。
・200mm 角サイズ DCRA
-新規設計したスタンパーを用いた熱転写成形により、200mm角サイズのDCRA製造技術を確立した。また、量産性の向上を目的とした射出成形による試作を行った。
・DCRA 用スタンパーの非破壊計測
-干渉計測光学系の設計開発とコンピュテーショナルイメージングにより、金型を非破壊計測できる技術を開発した。
知財出願や広報活動等の状況
・国内特許出願3件
出願特許1 特願2018-17636
出願特許2 特願2018-17642
出願特許3 特願2018-21364
・第18回「ニュービジネス助成金」 地域創生賞受賞
・新価値創造展 2018 新価値創造賞特別賞 受賞
・国内外展示会での成果発表(CES2020 出展など)
・講演実績(技術情報協会セミナーなど)
・関連技術のメディア掲載(日刊工業新聞など)
研究開発成果の利用シーン
開発したDCRAにより、従来技術の不満点を改善した空中映像を実現できる。
従来の眼鏡を用いた3Dディスプレイに比べ、メガネや大規模装置の必要なくなる。
専用のデータを作る必要なく、既存のデータが使える。映像に歪みが発生せず鮮明。
また、DCRAと非接触センサーを組み合わせることで、衛生性・防汚性に優れた空中映像インターフェースを実現できる。これにより、非接触スイッチを実現できる可能性があり、新型コロナウィルス感染防止のための製品を提供できる可能性がある。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
川下事業者との直接協議や、数多くの展示会・講演会により得られた市場ニーズを反映しつつ、目標達成後の新たな自主目標を見定めて開発を進めてきた。DCRAを用いた空中映像技術の事業化において市場から求められた光学性能や成形サイズを満たすことができ、DCRAスタンパーの非破壊計測技術も開発することができた。これにより市場へのサンプル供給体制を確立できた。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、素材・部品製造、製品製造、共同研究・共同開発、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
開発したDCRAおよび製造技術を用いて、空中映像のコントラスト比向上が可能。
また、事業終了後に自己資金による追加開発を行い最大300㎜角サイズまで成形可能となり、量産を見据えた射出成型による試作も実施中である。
重要パラメータであるDCRAスタンパーの角度精度の測定技術も開発した。
適用事例として、従来技術の不満点を改善した空中映像を実現できるデバイスを提供できる。
従来の眼鏡を用いた3Dディスプレイに比べ、メガネや大規模装置の必要なくなり、鮮明な映像を実現できる。
また、DCRAと非接触センサーを組み合わせることで、衛生性・防汚性に優れた空中映像インターフェースを実現できる。これにより、非接触スイッチを実現できる可能性があり、新型コロナウィルス感染防止のための製品を提供できる可能性がある。このようなモジュールの開発につなげることができる。
今後の実用化・事業化の見通し
製造体制を強化することにより、生産数の向上とコストの低下を達成し、空中映像表示のための光学性能を満たしつつ、多くの市場で受け入れられる価格帯の製品化を目指す。
また、本格的な事業化展開のためには DCRAを用いた空中映像の応用製品を開発することにより、更に付加価値を向上させていくことが求められると考えている。例えば、DCRAと非接触センサーを組み合わせることで、衛生性・防汚性に優れた空中映像インターフェースを実現できる。これは昨今、国内外ともに喫緊の課題である新型コロナによる接触感染を防ぐ非接触スイッチの手段として大いに有効であると考えられる。このような応用製品を、早期に製品に組み込めるモジュールの形で開発するなど、具体的な製品化を見据えた研究開発を推進し、本格的な事業化展開に繋げていきたい。
実用化・事業化にあたっての課題
昨今、市場ニーズの高い大型サイズへの対応が可能で数量の大きいロットへの対応も求められる中、当社はファブレス企業であるため、量産化に関して対応可能な製造企業との連携が必要である。。
試作した成形品には反りが残る・未充填箇所がある等、まだ製品レベルまでは到達していない。射出成形による製造技術確立に向けて有用なデータを取得することができたが、本製造手法については引き続き研究開発を推進させていく必要がある。
また、空中映像として表示するコンテンツが重要となるため、商品の企画・開発においてコンテンツホルダーとの連携が必要となる。
事業化に向けた提携や連携の希望
1.製造連携に関して、以下の技術を持ち量産対応可能な製造企業との連携を模索中。
・特殊環境スクリーン印刷
・μmオーダーの精密貼合
2.製品開発に関して、以下の企業との連携を模索中。
・キャラクター等を空中映像として表示する企画に興味があるコンテンツホルダー、映像制作会社
・空中映像表示や空中タッチ操作機能を取り入れた商品開発に興味がある会社
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社パリティ・イノベーションズ 研究所 |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 |
研究等実施機関 | 学校法人近畿大学 理工学部 機械工学科 教授 西籔 和明 国立大学法人神戸大学 大学院システム情報学研究科 システム科学専攻 准教授 仁田功一 |
アドバイザー | 日本特殊光学樹脂株式会社 パナソニック株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社パリティ・イノベーションズ(法人番号:2130001046416) |
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事業内容 | 業務用機械器具製造業 |
社員数 | 9 名 |
生産拠点 | 大阪府東大阪市荒本北一丁目4番1号 クリエイション・コア東大阪 南館1F 2113号 |
本社所在地 | 〒619-0289 京都府相楽郡精華町光台3丁目5番 NICTビル |
ホームページ | http://www.piq.co.jp |
連絡先窓口 | 株式会社パリティ・イノベーションズ 研究所 取締役研究開発部長 前田 有希 |
メールアドレス | maeda@piq.co.jp |
電話番号 | 06-6753-8244 |
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