情報処理
AIやセンサーを活用した状況認識技術を積雪環境に対応させ、積雪寒冷地域での自動運転技術を開発
愛知県
株式会社ヴィッツ
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 積雪寒冷地域の交通弱者移動支援のための雪道走行を可能とする自動運転技術の開発 |
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基盤技術分野 | 情報処理 |
対象となる産業分野 | 自動車 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加) |
キーワード | 自動運転、積雪寒冷地、自己位置推定、仮想シミュレータ、経路計画 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動運転車は、事故や渋滞等の交通問題を解決し、革新的な輸送・移動サービスを実現する手段として大きく注目されており、開発競争が激化している。しかしながら、寒冷地域での自動運転には、積雪により車両周囲の状況認識が困難になるという技術課題があり、実用化が遅れている。本事業では、状況認識技術を積雪環境に対応させることで、雪道走行可能な自動運転車の開発を加速させ、当該地域が抱える交通弱者課題の解消に資する。
開発した技術のポイント
■積雪環境で機能する自己位置推定技術の開発
・雪道対応SLAM技術開発
・雪道対応セマンティック・セグメンテーション技術の開発
・雪道対応センサ・フュージョン技術の開発
■積雪環境仮想シミュレータ開発
■グローバル経路計画との連携技術開発
具体的な成果
■積雪環境で機能する自己位置推定技術の開発
ダイナミックマップ方式を利用しない「Snow-SLAM」方式により自己位置推定技術を向上。下記の自動運転性能目標を達成。
・30km以上の連続距離自動走行を達成。
・設計速度40km/hで機能開発を完了。(冬季実証実験は安全上の理由で最高速度30km/hに制限したため積雪路で時速40km/hの実走行は検証できず。ただし、シミュレータ上は40km/hで走行検証実証済)
■積雪環境の仮想シミュレータ開発
検証可能な自動運転シミュレータを構築するため、下記の環境を模倣できるシミュレーション技術を開発。
【連続走行距離】目標50km以上 → 連続走行距離無制限を実現。
【最高車速】 目標時速50km → 時速50km/h以上を実現。
【路面】 目標積雪20cm圧雪路 → 積雪0cm、20cm、30cm、50cmを実現。
【障害物】 目標1kmあたり1個以上の障害物 → 障害物の設定個数無制限を実現
【天候】 晴れまたは曇り設定 → 晴れ、曇り、降雪に対応
■グローバル経路計画との連携技術開発
自車周囲の経路算出のみが可能である「Snow-SLAM」方式をグローバル経路計画との連携機能を開発し、一般道での自動運転を実現。waypoint(ウェイポイント)と呼ばれえる途中通過点を外部から設定するためのAPI開発の結果、一般公開することが可能となった。通過点の指定は独自のAndroidアプリ上で出発地と到着地を地図上でタップする方法で、これによりシステムが経路を検索し自動でwaypointを設定することが可能になった。これにより「Snow-SLAM」方式と連携し、一般道での自動走行を実現した。
研究開発成果の利用シーン
積雪寒冷地域においても自動車の自動運転技術を利用可能なものにする。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
【1.自動運転車の社会実験支援】
・社会実験用積雪路面自動運転車両の販売(リース)
本事業では、研究終了後の2年度目までに積雪寒冷地域の地方自治体に対してサンプル出荷および評価を行う計画となっている。評価結果にもとづき3年度目まで追加研究を実施して、様々な積雪状態および利用形態に対応できるよう改良し、その後販売を開始する。
【2.自動運転の技術力向上支援】
・積雪環境の自動運転仮想シミュレータ
事業化スケジュールは、本研究実施後1年度目までに国内の自動車メーカおよび自動車サプライヤに対してサンプル出荷を行う。並行して2年度目までに追加研究を実施して課題への対応を行う。その後、国内主要メーカに対して営業活動を行う計画である。
・積雪路自動運転制御ソフトウェア
事業化スケジュールは、本研究実施後1年度目までに国内自動車メーカに対して試作開発を受託、並行して3年度目までに追加研究を実施して課題への対応を実施、その後、国内主要メーカに対して受託開発を開始する計画である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
【1.自動運転車の社会実験支援】
自動車メーカおよびサプライヤにとって、自動運転技術はこれまでにない技術であり、法規や社会受容性などの面で未知な点も多い。そのため、本研究の成果が、自動運転車という製品および関連サービスとして事業化できるのは、やや先となる見込みである。当面は、その実現にむけて、積雪寒冷地向けの自動運転技術開発および冬季の交通弱者が課題となっている自治体などでの社会実験を支えることで事業化を進める。
【2.自動運転の技術力向上支援】
雪道の自動運転技術については、川下企業による取り組みが進んでいないのが現状である。本研究で開発する雪道での自動運転システム、および、積雪寒冷地の仮想シミュレータは、自動運転実現を目指す川下企業にとって不可欠な技術であり、雪道での自動運転の技術力向上支援の要望が大きい。本事業の成果を適用し、川下企業への技術支援を進める。
今後の実用化・事業化の見通し
【1.自動運転車の社会実験支援】
・社会実験用積雪路面自動運転車両の販売(リース)
本事業の参画機関であるヴィッツ社では、積雪寒冷地域である北海道内の自治体と相互に協力し、市街地における自動走行とMaasに関する研究を進めるために、自治体と覚書を締結した(https://www.city.kitahiroshima.hokkaido.jp/hotnews/detail/00136194.html)。今後、自治体と連携して自動運転やMaasに関する検討や研究を実施し社会実装に向けた評価を実施する予定である。
【2.自動運転の技術力向上支援】
・積雪環境の自動運転仮想シミュレータ
現在、移動車両を扱う国内メーカ4社へのサンプル出荷を実現している。並行して追加研究を実施し、随時、課題への対応を進めている。なお、サンプル出荷したメーカの評価は高く、機能追加等の要望に対応している段階となっている。
・積雪路自動運転制御ソフトウェア
現在、積雪路自動運転制御ソフトウェアに関連した試作開発として、除雪機械のセンサー部分の試作開発の受託開発等を実現している。並行して積雪路の画像認識技術の技術課題への対応を進めている。
実用化・事業化にあたっての課題
自動運転車の販売や関連サービスの事業化実現には、以下のような技術的課題以外の社会・制度上の課題も多く存在する
・自動運転自体の安全性を示し社会に受け入れられること
・道路交通法等の関連法規の整備が整い受け入れられること
・万が一の事故発生時の責任所在の考え方が社会に受け入れられること
・保険などの補償の制度が整うこと
そのために、上記課題解決をただ待つだけでなく、自動運転車の利便性や安全性を広く紹介し、社会が受け入れる環境が整うように働きかけていくことが重要となる。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ヴィッツ アーク・システム・ソリューションズ株式会社 |
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事業管理機関 | 株式会社ヴィッツ 国立大学法人北海道大学 |
研究等実施機関 | アーク・システム・ソリューションズ株式会社 株式会社ヴィッツ 株式会社アトリエ アイシン・コムクルーズ株式会社 ヤマハ発動機株式会社 株式会社エィ・ダブリュ・ソフトウェア 国立大学法人北海道大学 |
アドバイザー | トヨタ自動車株式会社 アイシン精機株式会社 日本自動車研究所 情報処理推進機構 北海道立総合研究機構 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ヴィッツ(法人番号:9180001045035) |
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事業内容 | ソフトウェア開発 |
社員数 | 151 名 |
本社所在地 | 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄二丁目13番1号 |
ホームページ | https://www.witz-inc.co.jp/ |
連絡先窓口 | アーク・システム・ソリューションズ株式会社 代表取締役 坂本謙治 北海道大学 大学院工学研究院 准教授 江丸 貴紀 |
メールアドレス | sakamoto_kenji@arcsys-sol.co.jp |
電話番号 | 011-207-6460、011-706-6409 |
備考 | 連絡先② 北海道大学 大学院工学研究院 准教授 江丸 貴紀 emaru@eng.hokudai.ac.jp 011-706-6409 |
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