複合・新機能材料
耐久性の高い低温固体酸化物可逆動作セルのスタック化と小型なエネルギー循環システムの開発
千葉県
特殊技研金属株式会社
2023年2月15日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 耐久性の高い低温固体酸化物可逆動作セルのスタック化と小型なエネルギー循環システムの開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、電池 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | SORC、水素発電、水蒸気電解、SORCスタックセル、エネルギー循環システム |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
近年、台風や地震等の自然災害時の電気・水等の確保と供給の必要性が高まっている。その社会的な課題を解決するために太陽光のみをエネルギー源に水を電解して水素を製造・貯蔵し、非常時に燃料電池で電力を供給できる小型なエネルギー循環システムを開発し、災害に強く環境にやさしい社会の構築に貢献する。また、その水素製造に用いる耐久性が高く、かつ高効率なスタック化された低温作動型固体酸化物可逆動作セルを開発する。
開発した技術のポイント
低温作動型SORCの性能と熱衝撃性の向上
低温作動型SORCのスタック化技術の確立
スタック化された低温作動型SORCの性能評価技術の確立
スタック化された低温作動型SORCを用いた水素製造装置
スタック化された低温作動型SORCを用いた小型なエネルギー循環システム
具体的な成果
・低温作動型SORCの性能と熱衝撃性の向上に対する課題への対応
SORCの性能向上させるために基体管、水素極層、バリア層の熱膨張係数の合った材料に変更し、粉の粉砕時間などを調整することで粒度の調整を行い、収縮率測定装置を用いて各構成材料の収縮率をNi-YSZ基体管の収縮率に合わせた。加えて、電気抵抗の低減を実現するために電解質を薄膜化し、電解効率80%をほぼ達成させ、熱衝撃性が高く性能目標を達成する低温作動型SORCを完成させた。
・低温作動型SORCのスタック化技術の確立に対する課題への対応
低温作動型SORCのスタック化製作プロセスを確立とスタック化された低温作動型SORCの性能評価方法を確立し、熱衝撃性が高く性能目標を達成するスタック化された低温作動型SORCを完成させ、小型スタックセルではあるが、ほぼ性能目標を達成した。現在のスタック化の規模が小さいので、本数を増やす試作・性能評価は継続している。
・スタック化された低温作動型SORCを用いた小型なエネルギー循環システムの試作-実証
小型なエネルギー循環システムを設計-開発した。開発したシステムを用いて今まで捨てられていた太陽光発電が無駄なく、効率的にかつ継続的に蓄積-利用できることを検証。試作したシステムは当初想定したコストより高価になったため、事業化に向けコストダウンを実施している。
知財出願や広報活動等の状況
九州大学と特殊技研金属株式会社は、平成28年に今回の開発に関連する3件の特許を共同で取得した。
・特許
第6042385:「太陽光を利用した自動車用水素燃料供給器と電気自動車用充電器を備えた独立型のエネルギー供給施設」(国際特許も出願中:PCT/JP2015/053048
・特許
第5989036:「太陽光の集光パネル」
・特許
第6042375:「太陽光エネルギーを利用した集光熱ボイラー装置」
国立研究開発法人産業技術総合研究所
・特許
第58545222:「接着剤構成物」(導電性シール材役割:災害時のライフラインを供給する小型なエネルギー循環システムの構築
また、今回得られた成果については、顧問弁理士と相談して、権利化が有効であると考えられる技術については届け出を行い、特許等が得られれば積極的にライセンス供与を行う方針である。
研究開発成果の利用シーン
開発する小型なエネルギー循環システムは、太陽エネルギーで蓄電・水素製造し、非常時に電力・水等のライフラインを供給できる防災用エネルギー供給装置である。また再生可能エネルギー+余剰電源及び深夜電力で蓄電し、非常時に電力を供給する小型防災用エネルギー循環システムにもなる。一方で低温作動型SORCは、その実用化により、水素発生あるいは燃料電池が応用可能な様々な機器でエネルギー効率を向上できる。
さらに非常用電源のみならず、水素ステーションやエネファーム、非常用医療機器(滅菌医療酸素)としても利用可能なエネルギー循環システムとして市場展開できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
現在も九州大学と共同で、小型エネルギー循環システムとスタック化された低温作動型SORCの製品化を目指している。2021年度から新技術の実証及び周囲を実施し、2023年度から2025年度にかけて防災ニーズが高い東北地方や千葉県を中心に市場を開拓する。また、水素ステーションや高機能エネファームとしての市場投入も段階的に開始を目指している。2025年度以降は導入実績を基に全国に売り込みを本格化する。まずは低温作動型SORCのスタックモジュールを優先的に事業化を目指す。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、素材・部品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・川下産業への貢献
建設業界に、自然エネルギーを利用した自立型のライフラインという新たな分野の市場を形成及びインフラ整備の付加価値向上ができる
・仕入・取引先への貢献
仕入先の部材メーカーやその他取引先とのつながりが強化され、利益還元できる。
・産学連携や先端技術への貢献
新たな研究開発の推進により水素関連技術の高度化に貢献できる。
・環境問題解決(地球温暖化防止)への貢献
高効率なエネルギー機器の開発が促進され、省エネを推進できる。
・余剰電力有効活用とエネルギー備蓄への貢献
水素製造は長期安定した蓄電能力であり、無効となっている電力(余剰電力)を活用したエネルギー備蓄ができる。
・自然エネルギーの課題解決への貢献
自然エネルギーの難点である発電量の変動を平準化できる。
・国際経済への貢献
現地企業による設置工事やライセンス生産により、現地経済を活性化できる。
・社会への貢献
防災機能の強化とともに、エネルギー需給が安定化する。
・その他
独立型であるためインフラ未整備地域でも構築可能であり、国内外問わず、海外でも多くの地域に導入できる。
今後の実用化・事業化の見通し
2021年度に新技術の実証及び周囲を実施し、2023年度から2025年度にかけて防災ニーズが高い東北地方や千葉県を中心に市場を開拓する。また水素ステーションや高機能エネファームとしての市場投入も段階敵に開始を目指している。2025年度以降は導入実績を基に全国に売り込みを本格化する。まずは低温作動型SORCのスタックモジュールを優先的に事業化を目指す。
実用化・事業化にあたっての課題
低温作動型SORCのスタック化技術を確立したものの規模の拡大とコストダウンが課題である。また、事業化するためには装置自身の更なる小型化や機能のシンプル化を実施しコストダウンを図る。
事業化に向けた提携や連携の希望
燃料電池など製造できる連携先を模索中
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 特殊技研金属株式会社 研究開発室 平田昌久 |
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事業管理機関 | 公益財団法人千葉県産業振興センター 新事業支援部産学連携推進室 渡部由美子 |
研究等実施機関 | 国立大学法人九州大学 研究責任者 教授 石原達己 国立研究開発法人産業技術総合研究所 省エネルギー研究部門 電機システムグループ総括研究主幹 嘉藤徹 |
アドバイザー | 千葉県商工労働部産業振興課 産業・新エネルギー企画室 室長 曽田哲也 千葉県旭市 副市長 飯島茂 株式会社Eプラン 代表取締役社長 松澤民男 千葉セラミック工業株式会社 営業部営業副部長 蒲田聡士 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 特殊技研金属株式会社(法人番号:1040001061755) |
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事業内容 | 建設業であり、建築基準に基づいた排煙窓・換気窓・天窓の設計・製造・販売を行っております。 |
社員数 | 42 名 |
生産拠点 | 本社・第一工場(千葉県)・第二工場(千葉県)旭市に2つの工場を保有 |
本社所在地 | 〒289-2505 千葉県旭市鎌数9163-38 |
ホームページ | http://www.tokteck.co.jp |
連絡先窓口 | 特殊技研金属株式会社 研究開発室 平田昌久 |
メールアドレス | hirata@tokteck.co.jp |
電話番号 | 0479-64-2070 |
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