立体造形
生体の感触・形状を再現でき、優れた成形性をもつ新材料「疑似生体ゲル」
愛知県
株式会社タナック
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 生体組織の多層構造及び感触を再現した医療用模擬臓器とロボットハンドを実現する疑似生体ゲルとその多層成形技術の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、ロボット |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成25年度~平成27年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
医療教育機関において注射や外科手術の訓練に使われる模擬臓器を、臓器の形状だけでなく施術時の感覚をも再現可能な物とするため、人体に近い柔らかさを持つ疑似生体ゲルとその多層成形手法を開発し患部の位置・性状も再現した模擬臓器を完成させることで、一般医療からロボット手術などの高度医療にいたるまで教育・訓練、手術手法の開発に貢献する。さらにその技術を筋電義手に応用し、人体の性能に近い義手の開発に貢献する
開発した技術のポイント
熱可塑性エラストマーゲルをベースに生体の感触・形状を再現、優れた成形性をもつ「疑似生体ゲル」を開発
(新技術)
可塑性エラストマーゲルをベースに生体の感触・形状を再現
(新技術の特徴)
伸縮性や肉厚・硬度分布、肉厚粘弾性の制御が可能となった
具体的な成果
・生体と類似の感触を持つ熱可塑性エラストマーゲルを開発し、模擬臓器を作成したもので、刃物・電気メスでも切断可能な点がウレタンや他のエラストマーに対する差別点である
・生産性も試作段階で数分から数十分で可能となり、事業化可能であり、今後の課題として、縫合性、出血の再現、脈動、個々の患者の正確な再現があげられた
・インライン射出成型機による二層構造に成功し、高精細臓器成形用金型を開発し、浸漬成形も併用して三層構造も成功した
・筋電義手表皮に用いる装飾用グローブの設計法は、コスメティック(外観)・物体把持性能(粘弾性)・耐久性・質感・柔軟性の5項目の要求を満足する試作品と製造方法が明らかとなった
・筋電義手のシリコ-ン製では、導電性の付与に成功し、筋電センサ電極・全方位感圧センサ・関節角度センサなどの機能を備えたグローブの開発に成功しており、グローブ装着時間の比較実験・筋電義手動作に必要な電流値の比較実験・Pick-and-Place実験の4項目を達成した
研究開発成果の利用シーン
・熱可塑性エラストマーゲルをベースとした疑似生体ゲル
・医療用多層模擬臓器
・筋電義手・ロボットハンド用表皮
実用化・事業化の状況
製品・サービスのPRポイント
感触を実際の臓器に近く、通常のメスでも電気メスでも施術でき、実際の手術で使用する切断手段がそのまま利用可能な点が、形状のみのリアルさ、精緻さ、あるいは柔らかさを追求した他の製品に対する強みである
<腫瘍付きモデル>
左:電気メス切断可右:刃物でのみ切断可、透明
今後の実用化・事業化の見通し
・サポイン事業開始時からHOSPEXやMEDTEC等の大型医療展示会に出展、医療機器メーカーからの引き合いが増えている
・2016年7月には岐阜県各務原テクノプラザ内で新工場を竣工、本事業で得た成果品及びそのノウハウを生かした製品を量産化し、5年後には売上2億円を計画する
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社タナック テクニカルセンター |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター |
研究等実施機関 | 名古屋市工業研究所 国立大学法人電気通信大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社タナック |
---|---|
本社所在地 | 愛知県豊川市大崎町下金居場109番地 |
研究開発された技術を探す