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表面処理

環境負荷を低減し、作業者の安全も確保するエッチング処理代替技術

愛知県

小川工業株式会社

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 トリアジンチオールを用いたクロム不要樹脂装飾めっき技術の開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 産業機械、情報通信、スマート家電
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成20年度~平成22年度

プロジェクトの詳細

事業概要

現在の樹脂装飾めっき製造におけるクロム酸エッチング工程を経た無電解めっき工程の代替として、今後積極的な活用が期待されるトリアジンチオールに係る分子接着技術を樹脂の装飾めっき製造に応用して、国際的に要請されている有害物質フリーの課題に応えるより環境に配慮した六価クロムを用いない無電解めっき技術を開発する

開発した技術のポイント

現行のめっき製品について要求される技術的数値を、技術目標値に設定
・めっき密着力(剥離強度):実製品にて0.8kN/m以上
・冷熱繰り返し試験:4サイクル以上
・キャス試験:60時間後、RN9.0以上
・コロードコート試験:48時間以上
・無電解ニッケルめっきまでの所要時間:60分未満
・不良品発生率:現行平均不良発生率8%から、6%に低減
(新技術)
<コロナ放電等で表面処理後、TES処理を実施>
(新技術の特徴)
・六価クロムを用いないことにより、水洗工程による排水・廃液を削減できる
・密着強度が高い
・六価クロムが残留するリスクがなくなる
・安全な労働環境を確保できる

具体的な成果

・樹脂表面のOH基等の親水基生成方法の検討
‐ABS樹脂に対する処理について、UV照射条件などの最適化・レイアウトの決定ができ、目標値を達成することができた
・TES処理方法・条件の検討
‐TES処理方法としてUV照射法を導入し、前処理条件の確立および触媒吸着量とめっき密着性との関係を明らかにし、TES処理条件の確定ができた
・クロム不要めっきシステムの開発
‐TESを用いたクロム不要樹脂装飾めっき試作品を、めっきラインで製作した
‐現行流動品の小物品から大物品までめっき処理することができた。また冷熱サイクル試験の結果、川下ユーザーの指示性能基準を満たし、現行品と同等の性能であることが確認できた
・ABS樹脂以外へのめっき処理
‐PET樹脂繊維などについてもTES処理法でめっきを実施。繊維を折り曲げてもめっき剥離が生じないことを確認した
・本研究で開発した技術によるめっき処理
~TES処理法を用いてめっきを施し、評価試験を実施。密着性など、性能が現行品とほぼ同等であることを確認した~

知財出願や広報活動等の状況

出展:モノづくり基盤技術展(H23.1)、とうほく自動車関連技術展示商談会(H20.11)等

研究開発成果の利用シーン

自動車内外装、水栓器機、アミューズメント関係などの樹脂性装飾品、電気配線や電磁波シールド(EMIシールド)などの機能部品を、前処理に有害な六価クロムを使わないめっき工程によって生産

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H24年度の実用化を目指し、補完研究を展開中
・支給された素材もしくは既存の製品へのめっき処理の試作が可能

製品・サービスのPRポイント

・環境負荷低減:樹脂めっき前処理工程から六価クロムを完全に廃止できる
・低コスト化:めっき用グレード樹脂を用いずに、安価な汎用グレード樹脂などへのめっきが可能となるため、樹脂めっき品のコストを低減できる
・新製法の実現:従来は対応できなかった、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックへのめっき手法確立のための基盤的知見が得られた

今後の実用化・事業化の見通し

川下企業に評価を受けつつ、広範囲に適用可能なめっき処理条件確立を目指す
・引き続き事業化に向け研究開発を推進している。また、川下企業のニーズを取り込み、作品を提供し評価してもらっている
・現在工法の安定化を図るとともに、より広範囲な素材へのめっき処理の条件確立に向けて補完研究を実施中
・H24年度中には実用化を目指し、まずは既存取引先に対して展開し、その後より広範囲な市場を開拓していく

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 小川工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人中部科学技術センター
研究等実施機関 東洋理工株式会社
国立大学法人岩手大学
名古屋市工業研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 小川工業株式会社
本社所在地 愛知県名古屋市港区十一屋1-48