文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. レーザ水素アニール処理によるシリコン微細構造の原子レベルでの平滑化と丸め制御新技術の研究開発

表面処理

レーザ水素アニール処理によるシリコン微細構造の原子レベルでの平滑化と丸め制御新技術の研究開発

東京都

坂口電熱株式会社

2022年1月25日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 ミニマルレーザ水素アニール装置と原子レベルアンチエイリアス(AAA)技術の研究開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、ロボット、半導体、エレクトロニクス、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、環境配慮、低コスト化
キーワード 平滑化処理、丸め処理、水素アニール、レーザ加熱、ミニマルファブ
事業化状況 実用化に成功し事業化間近
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

MEMSデバイスでは、ドライエッチング時に発生する表面荒れに起因した性能劣化が大きな課題であり、有効な表面平滑化技術が無い。そこで、革新的な表面平滑化処理を実現する水素アニールとレーザ加熱技術を融合したミニマルレーザ水素アニール装置を開発し、更にスキャロップの極めて小さいミニマル高速Boschプロセス技術と融合させることで、原子レベル超平滑化技術を開発し、高品質MEMSデバイス製造基盤を確立する。

開発した技術のポイント

本事業では、「革新的な表面平滑化処理を実現する水素アニールとレーザ加熱技術を融合したミニマルレーザ水素アニール装置の開発」、「構造体の原子レベルでの超平滑化と角部を変形させて滑らかに丸める、原子レベルアンチエイリアス(AAA)技術の基盤開発」、「AAA技術のデバイスプロセスへの応用」を実施し、実用化への有効性を検証した。

具体的な成果

・ミニマル規格のレーザ水素アニール装置の開発
-ミニマル筐体内に全てのパーツを収納したモデル機を開発した。【成果1】
-モデル機において、プロセスチャンバーとその周辺部材の超クリーン化技術と処理ウエハの精密制御技術を検討し、チャンバー到達圧力5×10-5Pa以下を実現、1,100℃までの昇温2.5秒、温度制御安定性±0.5%を達成。
・AAA技術の基盤開発
-水素アニール条件による平滑化と丸めの相反関係を定量的に把握し、原子レベルの平滑化(表面粗さ6Å未満)を維持しながら、曲率半径1.0~1.6μmの範囲で制御する条件を得、装置レシピに反映。【成果2】
・AAA技術のデバイスプロセスへの応用開発
-MEMSデバイスとしてカンチレバー構造を試作し、水素アニール処理による梁の付け根の角部の丸まり増と強度増を確認した。【成果3】

知財出願や広報活動等の状況

・知財出願
-特願2020-141541「レーザ加熱処理装置」(出願日:令和2年8月25日)
-特願2020-141542「アニール処理方法、微細立体構造形成方法及び微細立体構造」(出願日:令和2年8月25日)
・その他PR活動
-平成30~令和2年度に展示会(SEMICON、センサシンポジウム)(実機展示またはオンライン展示)にて、ミニマルレーザ水素アニール装置を出展して、好評を得た。
-平成31、令和2年度に電子デバイス産業新聞にてミニマルレーザ水素アニール装置の開発状況を紹介、PRを行った。
-平成31、令和2年度に応用物理学会 学術講演会にてミニマルレーザ水素アニール装置を用いた研究成果を発表し、多くの関心が寄せられた。

研究開発成果の利用シーン

本計画で開発するAAA技術をMEMS光スキャナに応用すれば、超短焦点レーザプロジェクタや超広角で死角の少ない自動運転用小型LiDAR(Light Detection and Ranging:光を用いたリモートセンシング)を提供でき、快適な環境空間や安心・安全な社会を実現できる。
また、MEMS光導波路に応用すれば、情報通信機器の低消費電力を実現する光集積回路の実用化に寄与できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

アドバイザーを含む川下ユーザーから、適宜、レーザ水素アニールのニーズに関する情報を収集しつつ、サポイン事業で開発した試作装置3台に反映し、これらを活用しながら事業化を促進している。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造

製品・サービスのPRポイント

原子レベルアンチエイリアス(AAA)技術を用いたレーザ水素アニールを適用することで、シリコンのアニール危険温度域800℃帯を瞬時に通過し、シリコン微細構造の加工面の平滑化と角部の丸め処理を原子レベルで制御できるようになり、機械的強度が向上し、半導体・MEMS・光学部品など様々な製造で、より高性能・高信頼性のデバイスを川下ユーザへ提供することができる。

今後の実用化・事業化の見通し

学会発表やセミコンなどの展示会出展、広告等を通して、レーザ水素アニール装置を川下製造事業者等へ周知し、広くユーザーニーズを収集していく。
並行して、ミニマル装置販売企業の横河ソリューションサービス株式会社、産業技術総合研究所や東北大学の研究機関で、装置評価とデバイスの製造実績を積み上げる。更に、開発したレーザ水素アニール装置を川下製造事業者等に試用して頂き、ニーズを的確に反映した製品化(試作)を行う。
また、ミニマルファブ推進機構に参画の川下製造業者を含む、光学系・MEMS・光学部品製造企業へ販売促進を行う。海外ニーズに対しては、輸出も検討する。

実用化・事業化にあたっての課題

世界的な、半導体や樹脂など材料不足で、装置構成部品の長納期化や価格高騰が懸念される。

事業化に向けた提携や連携の希望

川下製造事業者(半導体・MEMS・光学部品製造企業)との連携を希望する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 坂口電熱株式会社 R&Dセンター
事業管理機関 一般社団法人ミニマルファブ推進機構
国立大学法人東北大学
研究等実施機関 国立大学法人東北大学 東北大学大学院 工学研究科ロボティクス専攻 金森義明教授
国立研究開発法人産業技術総合研究所 つくば中央第2事業所
一般社団法人ミニマルファブ推進機構
アドバイザー オムロン株式会社
横河ソリューションサービス株式会社
株式会社共和電業
SPPテクノロジーズ株式会社
国立大学法人豊橋技術科学大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 坂口電熱株式会社(法人番号:9010001017356)
事業内容 国内外のあらゆる分野のモノづくりにおける加熱工程(熱を加え加工する)に必要な産業用ヒーター・センサー・コントローラーの開発・設計・製造・販売
社員数 150 名
本社所在地 〒101-0021 東京都千代田区外神田1-12-2
ホームページ http://sakaguchi.com
連絡先窓口 技術部 MKT製・商品開発課 千葉貴史
メールアドレス t_chiba@sakaguchi-d.jp
電話番号 043-498-2100