研究開発された技術紹介

耐熱性、および機械強度が要求される自動車のエンジン周りや駆動系部品に関して、金属からの代替可能な高耐熱性、高強度の軽量樹脂成形部品を開発する。高い耐熱性を有する熱硬化性樹脂をマトリックスとし、長繊維炭素繊維を複合することで、これまで樹脂化が困難であった金属部品の代替素材として実用レベルまで強度、および耐熱性を向上させる事を目指す。また、3次元の複雑形状部品が短時間で成形可能となる世界初の長繊維強化複合材料の熱硬化性樹脂射出成形技術を確立する。

(新技術)
熱硬化性樹脂をマトリックスとする長繊維複合材料を用いた射出成形技術

(新技術のポイント)
熱硬化性樹脂の射出成形は、短繊維含有樹脂では広く利用されているが、長繊維含有樹脂を用いた成形においては従来では圧縮成形が主体であった。射出成形を可能とするポイントとして、特殊スクリュー/シリンダを有する射出成形機の開発、材料を瞬時に加熱する高周波加熱器の開発、成形を可能とする専用材料の開発で、これら開発した技術を持ち合わせた結果、長繊維含有樹脂を用いた3次元複雑形状の軽量樹脂部品の製造が可能となった。

・フェノール樹脂の評価、分析

・誘導加熱法の技術開発
‐加熱実験‐加熱器の設計データ蓄積

・樹脂と繊維の混合技術確立、計量法の確立
‐最適熱硬化樹脂の選定‐含有繊維長の決定
‐樹脂と繊維の混合比の最適化と計量方法の確立

・熱硬化性樹脂用射出成形機の開発
‐実験用トランスファ成形機、および実験用単軸押し出し機を試作、実験
‐実験用射出成形機の試作仕様を決定と試作
‐射出条件の絞り込み
‐新スクリューの開発、射出成形機の改良

・自動車用射出成形部品の実用評価

特許出願状況
①トランスファ射出成形に関する内容
②射出成形に関する内容
③スクリュー形状に関する内容
④非磁性合金によるスクリュー加熱
⑤シリンダのホッパー口形状に関する内容
⑥非磁性材料によるシリンダ冷却

・高耐熱性、高強度を有する長繊維含有熱硬化性樹脂を使用することにより、従来の樹脂では対応できなかった金属部品の代替や新規開発を推進することができる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

開発した長繊維樹脂専用射出成形機を用い、ダンベル片等の形状においてサンプル品の成形を行った。その結果通常の熱硬化性に比べ3倍以上の衝撃強度を保有する樹脂成形品の成形が可能となった。ターゲットとしている車載部品への試作型を製作し評価を進めている。

・熱硬化性樹脂を用いた長繊維含有樹脂の開発や、その材料を用いてダンベル試験片等を成形し機械的物性の評価等、基礎研究を行うことができる
・開発した射出成形機を用い、長繊維含有樹脂を使用した製品開発等のサポートが可能となる。

・成形サイクルの更なる短縮と材料ロスの削減が課題である。汎用熱硬化性樹脂の射出成形と同じ程度の時間で連続成形を可能にする事、材料ロスを削減にすることが今後の目標である。
・自動車業界を中心とする川下企業からの問い合わせをいただいている。軽量化を目的とした分野では航空機、鉄道業界等にも裾野を広げていける可能性がある。
・将来的には、医療機器、防災機器などの民生事業に開発の裾野を広げる。

成形サイクルの短縮／材料ロスの削減

製品開発や性能試験に共同で取り組んでいただける企業様との連携を希望