研究開発された技術紹介

組込みシステムの動作不良原因は、組込みソフトウェア不具合が半数以上を占める。不具合が起きる理由として、組込みソフトウェアの大規模化と複雑化に対して、十分な対策がとられなかったためである。本研究開発では、不具合の重大な原因の一つである性能問題に関連する設計工程を改善するために、性能設計評価ツールを開発する。このツールにより組込みソフトウェアの品質向上と後戻り工数削減による開発コストの抑制を実現する

組込みシステムにおける性能設計評価ツールを作成・実証実験を行い、組込みソフトウェア開発の課題を解決し、コスト抑制、生産性の向上、品質保証を実現することを目指す
(新技術)
組込みシステム内の構成要素において必要な性能のモデル化とこれを用いた性能評価を行う
(新技術の特徴)
ソフトウェア要求定義工程の時間は延びるものの、開発工数は短縮され、不具合も減少する

・性能設計モデルの研究開発
-性能要求の定義手法を確立し、性能要求定義の正確性、妥当性を検証するための手法として、実行振舞いシミュレータを用いて性能情報を可視化した
・性能設計評価ツールの開発
-グラフィカルユーザインターフェースをもった性能設計評価ツールを開発した
・実際の情報家電、携帯端末などの組込みソフトウェア開発に利用し評価の実証実験を実施

PCT出願し、現在は公開特許として広く公知をすすめている

組込みシステムにおける性能設計評価ツール

性能設計モデルおよび性能設計評価ツールの開発は完成し、特許出願を行った
補助事業終了後、補完研究を継続しており、研究終了にめどがつき、新たなサービスの事業化を進めている

組込みソフトウェア開発期間の2割の短縮が可能
・ソフトウェア要求定義工程の時間は現在の3倍ほどの時間を見込むが、後の工程での不具合抑制や、検証作業の実施しやすさを考慮することで、全体として組込みソフトウェアの開発期間は2割短縮することが可能である組込みソフトウェア開発において、性能要求に関わる不具合発生数を現在の10%未満に削減可能
・不具合の原因となる、性能要求の未履行が設計工程の事前検証で、未然に防ぐことができる組込みソフトウェア開発費の1割削減が可能
・開発工程の適切な運用により、開発期間の短縮が実現できる

・ソフトウェアの性能設計評価に新技術を提案できたので、今後より一層の発展を目指している
・2014年5月「組込みシステム開発技術展2014」にて、製品名「Presto」として一般販売を開始する
・一般顧客向けのサービスとして、ソフトウェアの性能解析を付加したサービスを展開している

補完研究でツールユーザビリティの課題を解決したため、現在は大きな課題は取り除かれている

研究完了にともなう広報が必要
2020年度以降の展示会等で研究成果の広報を予定している