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接合・実装

温度場制御技術によって、溶接時の歪み・変形を低減するレーザ溶接方法の開発

東京都

菊川工業株式会社

2020年4月24日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 温度場制御技術による薄板構造物の極低歪レーザ溶接方法の開発
基盤技術分野 接合・実装
対象となる産業分野 航空・宇宙、建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)
キーワード ファイバーレーザー、溶接
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成21年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

組立ステンレス建材や航空機用NI基耐熱合金等の高付加価値・低熱伝導度材の薄板溶接では、著しい溶接歪のために産業界の薄板化要求に応えることが難しく、溶接後歪取を余儀なくされている。その結果、基盤技術である溶接の利点が阻害されていた。本研究開発では高出力シングルモードファイバーレーザ技術確立と、加熱・吸熱複合熱源の温度場制御技術実用化により極低歪薄板レーザ溶接技術の開発・高度化を目指すものである

開発した技術のポイント

加熱・吸熱複数熱源による温度場制御技術を用いて、極低歪溶接技術を確立
・縦曲り変形→3.0mm/5.0M以下
・角変形→0.05rad以下
・Ni基耐熱合金製円筒変形歪→1.0mm以下
(新技術)
温度場制御技術を用いた極低歪溶接技術
特徴
・溶接変形量が極小となり、薄肉化可能
・歪み取工程が不要・簡単となるため、コスト低減

従来技術と新技術の概要
具体的な成果

・少ない熱量での板厚貫通溶接により、ひずみが低減することを確認
‐レーザを用いた溶接法および温度場制御技術を用いた溶接法による低ひずみ化の効果について検討
‐従来のアーク溶接と比較して1/20倍の熱量で板厚貫通溶接が可能となり、また低入熱化に伴ってひずみも1/10程度低減することを確認
・効率的な被溶接材固定方法の導入により、溶接歪と角変形量の目標を達成
‐シングルモードファイバーレーザ溶接機にて、ビルドH型鋼を実験的に作成し、縦曲り変形と角変形を測定
‐溶接時の被溶接材固定方法として両端固定方法を採用することにより、目標値である溶接歪3mm以下/5M、角変形量0.05rad以下の数値目標を達成
・シングルモードファイバーレーザ溶接実験で、溶接歪の小さい円筒形部材を作成
‐Ni基耐熱合金としてインコネル625材を用い、直径φ348mmの円筒形部材を作成してその性能を確認した結果、突合せ部の溶接変形量は0.4mmとなり、1.0mm以下の目標値を達成
‐溶接部の引張試験を行い、引張強さが規格値を満足していることを確認

アーク溶接法
シングルモードファイバーレーザ溶接
ステンレスH形鋼の溶接
Ni基耐熱合金円筒形部材の溶接
シミュレーション結果と実験結果の比較
設備一覧
知財出願や広報活動等の状況

・出展:接合技術研究会(H24.6)
・特許:「レーザ溶接方法」特願2012-114959、「レーザ溶接装置」特願2012-114958

研究開発成果の利用シーン

従来の溶接技術を、本事業で開発したファイバーレーザー溶接技術に置き換える事で、変形の極めて小さい溶接製品を提供可能となる。溶接変形が目立ちやすい建築用の薄板パネルや、特殊な金属の溶接製品である航空・宇宙分野への適用が期待できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H24年度に事業化に成功
・従来溶接方法と本案件方法との、変形量比較溶接サンプルあり(無償)
・非鉄金属溶接サンプル、製品モックアップあり(有償)

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・精度向上→シングルモードファイバーレーザ溶接技術により、従来の溶接法と比較して溶接変形量を90%低減
・低コスト化→溶接変形量の低減により、形の矯正にかかるコストを30%低減

今後の実用化・事業化の見通し

ステンレス鋼・アルミニウム合金製の建築用製品の事業化が進展中
・本事業の研究対象であったステンレス鋼・Ni基耐熱合金鋼以外の金属に対する本溶接技術の研究を行っており、アルミニウム合金に関しては同溶接技術を確立済
・ステンレス鋼・アルミニウム合金製の建築用製品の事業化を進めており、H24年11月時点で6物件の施工実績あり
・H25年度からの異分野連携新事業分野開拓計画の認定を得ており、複雑な形状の薄板溶接製品の事業化に向けて活動を継続中

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 菊川工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人千葉県産業振興センター
研究等実施機関 学校法人日本大学
愛知製鋼株式会社
株式会社最新レーザ技術研究センター
国立大学法人大阪大学
千葉県産業支援技術研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 菊川工業株式会社(法人番号:6010601010416)
事業内容 建築物の金属製内外装工事の設計、製造、施工
社員数 135 名
生産拠点 キクカワテクノプラザ(千葉県白井市)
本社所在地 〒130-0024 東京都墨田区菊川2-18-12
ホームページ http://www.kikukawa.com
連絡先窓口 製造部 製造4課 技術開発 高松良平
メールアドレス r.takamatsu@kikukawa.com
電話番号 047-492-0141