研究開発された技術紹介

自動車産業からは、実用化レベルでの薄肉化(軽量化)の実現と継続的な低コスト化が要求されている。本研究開発において耐熱鋳鋼製品(ターボチャージャーハウジング)を従来法より安価で、かつより低エネルギーの薄肉鋳造が可能となる斬新な機構を有する鋳造装置を開発し、川上製造業者のニーズである、薄肉化(軽量化)・低コスト化にしするものとする

耐熱鋳鋼製品(ターボチャージャータービンハウジング)を、従来法より安価で、かつより低エネルギーでの薄肉化鋳造が可能となる環境に優しい耐熱鋳鋼鋳造装置を開発する
(新技術)
薄肉化耐熱鋳鋼鋳造装置の開発によって、溶湯の流動性が良くなり、湯回り不良等の欠陥が少ない製品を開発する
(新技術の特徴)
・製品全体に対してほぼ均一な薄肉化が可能になる
・部品の軽量化が可能になる

従来製法に比較した性能向上を達成
(1)注湯歩留りが16%向上した
(2)産業廃棄物となる取鍋の耐火物を無くした
(3)取鍋のガス加熱エネルギー(LPG)を不要にした
(4)溶解炉の電気熱エネルギーの損失を減少させた
(5)製造作業の安全性が向上し、作業負荷が軽減した

(1)20%の低コスト化目標に対して、38.8%の低コスト化を実現した
(2)10%の軽量化目標(薄肉化目標として3.5mm以下)に対して、
10.4%の軽量化(肉厚3.45mm)を可能にした

主に自動車搭載用のガソリンエンジンの過給器に向けたタービンハウジング

・平成24年に川下ユーザーから受注を果たし、本開発装置により生産した試作品を納入した
・サポイン事業終了時点で既に引合いがあり、個別の生産方法の検討と事業化に向けての課題及びその対処の準備を進めている段階である

・鋳造装置の開発によって、製品の軽量化へと貢献
‐従来、タービンハウジングは薄肉化が難しく、軽量化の実現は困難だった
‐薄肉化鋳造装置を開発したことで、従来よりも安価に軽量化した部品を提供することができるようになり、顧客に提供する製品の軽量化と、軽量化に伴う最終製品の低燃費化に貢献する
・歩留まりの改善による薄肉化鋳造製品の安定供給が可能
‐鋳造の自動化による鋳造欠陥の低減、及び最適注湯量の制御技術による歩留まり向上などにより、製品の安定供給とコストの削減が可能になった
・製造プロセスのコストダウンに寄与
‐鋳造工程の省略により、取鍋の加熱と溶解炉内の溶湯温度の高設定を不要化することが可能になった
‐不要化によって、使用済み耐火物(産業廃棄物)の処分量も削減し、環境負荷の低減を実現するとともに、処分に伴う処理コストの低減へと繋げることが可能になった

・世界市場においての耐熱鋳鋼製ターボは2015年に約1,800万台/年を越えると予測されている
・市場要求のある具体的な小型ガソリン車(1,000cc程度のコンパクトカー)に搭載する「小型・薄肉軽量・低コスト」の耐熱鋳鋼製タービンハウジングやエキゾーストマニホールド一体型のタービンハウジングの鋳造技術を高度化することで、早期の事業化を目指す