立体造形
差圧鋳造技術と崩壊性鋳型・中子により、高品質の航空機用中空複雑形状鋳物部品が製造可能に!
石川県
谷田合金株式会社
2020年4月10日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 航空機中空複雑形状鋳物用、砂型差圧鋳造技術の開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、半導体 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、高効率化(工程短縮) |
キーワード | 差圧鋳造技術、崩壊性鋳型、航空機部品、中空複雑形状鋳物、一体成形化技術 |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成24年度~平成26年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
航空機部品のように高い品質レベルが要求される金属部品は、NC工作機械による欠陥の少ない展伸ブロック素材からの削りだし品による。しかし、加工工具の届かない中空部を有する複雑形状部品は、砂型鋳造法に依存せざるを得ない。本研究では、砂型鋳物の強度と靱性に悪影響を及ぼす鋳巣欠陥の極小化を達成する差圧鋳造技術と、中空化には不可欠な崩壊性鋳型の開発により、航空機用中空複雑形状鋳物の一体成形化技術を高度化する
開発した技術のポイント
砂型鋳物の強度と靱性に悪影響を及ぼす鋳巣欠陥の極小化を達成する差圧鋳造技術と、中空化には不可欠な崩壊性鋳型・中子の開発により、高品質な航空機用中空複雑形状鋳物の製造技術を確立する
(新技術)
差圧鋳造技術と崩壊性鋳型を利用して、中空複雑形状部品を製造する
(新技術の特徴)
・鋳造欠陥の減少・極小化が実現する
・崩壊性中子の自己崩壊により作業効率が向上する
具体的な成果
・複雑形状中空鋳物への対応
‐崩壊性に優れた多糖類バインダ中子を適用し、従来の自硬性鋳型・シェル中子に比べて十分な除去時間の短縮を達成した
・鋳造欠陥への対応
‐ガスピンホールを発生させない差圧充填・凝固条件の確立等を通じ、差圧鋳造による効率的な製造を可能とした
・実製品での航空機用複雑鋳物部品の試作と評価
‐±0.3mm以内で実製品の要求形状精度を満足し、航空機部品鋳物の国際検査基準(AMS2175)でGradBを達成した
・高活性・難鋳造性鋳物への対応
‐不活性雰囲気ガス置換装置を利用した雰囲気置換の達成で、マグネシウム合金等の活性金属の差圧鋳造を実現した
研究開発成果の利用シーン
・航空機や二輪、四輪車に用いられる複雑かつ多くの流路(中空部)を有する鋳物(例:エンジンヘッドシリンダー、ギアボックスなど)
・マグネシウム合金等の高活性・難鋳造性素材を利用した鋳物
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・サポイン事業で開発した研究成果について数社から問い合わせがあった
・Nadcap(NonDestructiveTesting(PT)、ChemicalProcess(PPE))を2015年1月に取得した
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造
製品・サービスのPRポイント
差圧鋳造技術と崩壊性中子の利用により、高品質な複雑形状部品の製造に貢献
・TANIDA独自の差圧鋳造プロセスは、加圧環境下で差圧充填と凝固を実施するため、右図に示すとおり中空鋳物断面(配管部)は、従来鋳造技術に比べて、鋳造欠陥を減少・極小化できる
・更に、崩壊性中子(多糖類系バインダ中子)の適用により、中子除去が簡単になる
・差圧鋳造装置内を不活性雰囲気に置換できるため、マグネシウム合金等の高活性・難鋳造材の鋳造が可能になる
今後の実用化・事業化の見通し
・研究開発面においては、多糖類系バインダ中子の量産対応、及びマグネシウム合金の鋳造欠陥への対応について力を入れて取り組む
・研究開発成果を活用した事業化の体制を引き続き整える
実用化・事業化にあたっての課題
補完研究をする中、年々ターゲットとする製品の形状複雑化、高品質化が顧客から要求されてきた。現在の砂型成型方法では形状の自由度が制限されてしまうためにそれに対応することが困難になり、本方法を採用した量産製造まで到達することができなかった。対応可能な製品形状、ならびに熱的安定がしやすい中子造形での活用を検討するアイテムは使用上のメリットが見出すことができなかった。事業化の見込みがみえないが、本事業の技術開発をベースに(課題を引き継ぎながら)橋渡し事業への取り組みが開始できていることは大きな進展と考えている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 谷田合金株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人石川県産業創出支援機構 |
研究等実施機関 | 石川県工業試験場 北陸鋳材株式会社 国立研究開発法人産業技術総合研究所 中部センター 国立大学法人富山大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 谷田合金株式会社(法人番号:9220001004184) |
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事業内容 | 非鉄金属製造業 |
社員数 | 128 名 |
本社所在地 | 〒920-0209 石川県金沢市東蚊爪町ラ28番地2 |
ホームページ | http://www.tanida.co.jp/ |
連絡先窓口 | 鋳造課 砂山 昇 |
メールアドレス | sunayama@tanida.co.jp |
電話番号 | 076-237-9400 |
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