研究開発された技術紹介

今回のスクロール型電動カーコンプレッサー部品にマグネシウム合金を適用することで得られる効果は、軽量化効果20%低減、また比強度の面から考えると薄肉化の可能性が高くなります。薄肉化することで小型化も実現できるので小型化10%もはかれます。しかしマグネシウムダイカストでは機械的強度や耐熱性などに大きな課題が残ります。その課題に対して、当社が有する真空ダイカスト法やスクイズキャスト法を高度化した高真空ダイカスト法や最適化スクイズキャスト法を開発する

大衆車を主なターゲットとした、アルミニウムを用いた部品や他の金属部品について、マグネシウム合金を用いた部品への置き換えを推進することにより、10%程度の重量軽減を実現する
(新技術)
真空度5kPaの高真空条件下で、金型内の温度、圧力、真空度を計測しながらマグネシウム合金でダイカスト鋳造する
(新技術の特徴)
・金属部品の薄肉化及び計量化が可能になる
・試作開発期間を短縮化し、不良率を改善する

・マグネシウム合金給湯装置の開発
・高真空ダイカスト法の開発
・金型内計測システムの開発
‐溶湯圧力、金型表面温度、ダイカストマシンの射出力を計測するシステムを開発し、鋳造現象を数値化した
‐ノイズ対策を金型内計測用プログラムに組込み、計測値の精度をあげた
・鋳造解析シミュレーションの開発
・耐圧強度試験の開発による強度評価
‐製品形状の試作品で実体耐圧強度を得た

ダイカスト法によるマグネシウム合金製耐圧部品

・川下メーカーより提示されている要求特性をクリアするサンプルを鋳造することができた
・試作金型による鋳造で数値的解析ができ、耐圧部品を鋳造する方案の確認ができたが、まだ内部欠陥は僅かながら存在している
・現在も実用化に向けて川下メーカーと共同で開発を継続している

高真空ダイカスト技術を用いたマグネシウム合金の鋳造により、金属部品の10%程度の重量軽減を実現し、自動車の燃費改善に寄与
・マグネシウム合金は資源的には恵まれているが、コスト面や機械的強度、耐熱性の課題等から限定的な採用となっている
・鋳造解析システムを用いた高真空ダイカスト法により、経験と勘に多くを依存していたダイカスト技術の高度化・安定化を実現する
・アルミニウムを用いた部品や他の金属部品を、マグネシウム合金を用いた部品への置き換えを推進することにより、10%程度の重量軽減を実現し、自動車の燃費改善に寄与する部品が提供可能となる

・さらなる内部欠陥改善の手段として、金型ごとに鋳造方式を可変とする等の対策を進めている
・マグネシウム品の規格は、川下メーカーでも確定されていないので、協力して完成を目指す
・現行のマグネシウム合金では不十分な点は材料メーカーとも協力関係を保ちながら、材料改善にも留意する
・ダイカストマシンの仕様についても改善を図っている

ﾏｸﾞﾈｼｳﾑ合金の耐食性、特に異種金属と接合した時の耐電食性を得る表面処理が実用化に向けた課題となっている