研究開発された技術紹介

CFRPやチタン合金、またはそれらの複合型材料など難削材の切削加工において、硬度と耐久性を兼ね備えた刀具が、航空機機体材料開発、高精度自動車部品開発の現場で強く求められている。さらに高速・高精度加工を実現するため、高靱性を有する新しい炭化珪素(SIC)単結晶チップを刃先部分に搭載させ、超硬刀具やDLCコーティング刀具と比べ5倍以上の製品寿命を持ち、且つ、サブミクロンオーダーの仕上げ面を創成する切削工具を開発する

CFRPなどの難削材の高能率切削加工による加工時間の大幅な短縮と高精度切削加工が可能な長寿命の切削工具を開発
・加工精度(穴公差≦0.04in):CFRP+CFRP:0.02in、CFRP+Al:0.03in、CFRP+Ti:0.03in
・加工穴数(複合型材厚み1in):CFRP+CFRP:5,000個、CFRP+Al:3,000個、CFRP+Ti:2,000個→目標穴加工数の大幅な増量と高精度化
・加工精度(寸法誤差≦10μm):6μm(チタン合金)
・切削量:1,500cc/min→チタン合金切削量の増量と高精度化
(新技術)
＜SiC単結晶ドリル＞
(新技術の特徴)
・シャープな切れ刃の実現により、バリと切削時の熱の発生を抑制
・従来の2倍以上の高速加工を実現
・加工コストを10分の1に低減
・穴制度を5μmに高精度化

・従来の切削条件で発生していた加工歪みや金属疲労を発性させる切削応力を最小限に
‐実用的SiCドリル2010－001型及び2010－002型によるCFRPとチタン・アルミの複合型材料の穿孔試験により製品の髙品位性(安全性)を実証した
・髙品位な製品精度を維持した高能率加工を可能に
‐CFRP材料のトリム加工において、SiC単結晶エンドミルを使用し、従来の切削において多く発生したバリ、切削面の変質を大幅に抑制
・SiC単結晶チップを使用したチタンの旋削加工において、無歪みに近い表面層を発現させた
‐切削した切り屑にも変質はなく、切り屑表面に安定した二酸化チタン(TiO2)を発現させることに成功。また切削速度を従来の6倍以上にできることを証明
‐さらに、SiC単結晶チップを使用したアルミ製品の切削加工試験では、従来のアルミ切削条件の5倍以上の高能率加工においても、従来のアルミ部品の品質以上の精度を実現した
・CMP研磨加工技術の開発により、SiC単結晶仕上げ加工の量産化に成功
‐曲面CMP加工機を開発。SiCドリル2010－001型及び2010－002型及び、SiCエンドミル、SiC旋削チップに搭載するSiC単結晶のCMP研磨加工を可能にした。さらに量産CMPシステムを考案し、SiC単結晶仕上げ加工の量産化に成功した
・2010‐001型及び2010‐002型ドリルの外観
～穿孔実験により、CFRP＋チタン＋アルミ材の穿孔加工では2010－002型のドリル形状が有効と判明～

・論文:「SiC単結晶チップ搭載工具によるCFRPの高精度加工」(H22.6)
・出展:基盤技術展(H23.12)、TECHBiZEXPO2011(H23.10)
・新聞:日刊工業新聞(H23.3.11)
・特許:「炭化珪素単結晶からなる切削工具」(特願2008－28354)

航空機の機体構造部品に多く使用される、CFRPやチタン合金の加工変質を抑制した切削加工を実現

・H24年度の実用化を予定
・旋削用SiCチップのサンプルあり(有償)

・強度・剛性向上:従来工具を使用した切削加工に対し、CFPRやチタン合金の加工変質を1/100以下に改善し部品強度を10倍以上にした
・精度向上:従来工具を使用した切削加工に対し、チタン合金の加工表面精度を1/1,000以下にした
・環境負荷低減:CFRP材の加工時に発生する有害粉塵量を1/100以下に抑制した。
･H30年6月　CMP固定砥粒を開発した。
・SiC単結晶のCMP加工法を使用し超硬工具の鋭利化に成功した。

川下企業とも連携し、実用化に向けた補完研究を実施
・SiC単結晶製造工程におけるCMP加工の定量化を実現するため、補完研究を継続中。同時に川下企業へSiC旋削用チップを提供。実用化に向けて加工方法を考案中
・SiC単結晶工具による切削加工実験において様々な新機能材料を開発。新機能性を利用した研究開発を実施中
・H24年4月、チタン、各種樹脂加工用のSiC単結晶チップを日本に製造拠点を持つ切削ユーザーに販売開始予定
・H30年8月　光学機器製造業にサンプル出荷
・空調機等製造業にサンプル荷

SiC単結晶の製造価格が高額であること。