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精密加工

幅広い産業に冷間鍛造品を普及させることを目的とした、CAE解析に基づく総合的なパッケージ技術開発

神奈川県

株式会社三陽製作所

2026年2月9日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 高機能・高精度・低コスト・短納期・環境配慮を実現する、DXによる試作レス冷間鍛造品開発技術の確立
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 ロボット、農業、産業機械、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、環境配慮、低コスト化
キーワード 冷間鍛造、CAE解析、ベベルギヤ、3Dデジタイザ、5軸加工
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究開発では、生産設備の小型化、CAE解析技術の高度化による金型試作レスの実現、CAE解析結果を基にした金型設計技術開発、高精度かつ低コストな金型製作技術開発の四つを柱とした総合的なパッケージ技術開発を行った。具体的には、多軸制御油圧機構を追加したサーボプレスの開発、CAE解析技術の高度化、金型設計技術および金型製作技術の課題に対応した。研究体制は株式会社三陽製作所を総括研究代表者とし、横浜国立大学、神奈川県立産業技術総合研究所、よこはまティーエルオー株式会社が参画し、複数のアドバイザー企業による技術支援を受けて実施した。対象製品として専用機械による歯切り加工から冷間鍛造への工法転換が検討されているスパイラルギヤを選定した。

鍛造スパイラルギヤ
開発した技術のポイント

・多軸制御油圧機構を追加したサーボプレス開発
‐汎用サーボプレスに組み込める油圧ユニットを開発し、上下のノックアウトと型締めを実現
‐金型の小型化とプレス機の小型化の両立を図り、生産設備の導入コストを半減

・CAE解析技術の高度化
‐材料試験で取得した実際の材料物性データと摩擦モデルを活用し、解析精度を大幅向上
‐リング圧縮試験による高精度摩擦モデル構築

・金型設計技術の革新
‐リバースエンジニアリングソフトを使用した定量的な金型設計データ補正手法確立

・金型製作技術の高度化
‐5軸マシニングセンタによるワンチャックでの直彫り切削1工程での高精度実現
‐手作業による磨き工程を不要とする加工面性状の実現

・分流鍛造工法の導入
‐製品品質を満たす充填率80%時において、成型荷重約30%低減および金型最大主応力で約50%の低減実現

4軸ハイブリッドサーボプレス
既存工法と新工法の比較図
リング圧縮試験
CAE解析概略図
CAE解析結果
リバースエンジニアリング
金型5軸加工
具体的な成果

・多軸制御油圧機構追加サーボプレス完成: 上部油圧シリンダ最大加圧能力269.4kN、型締め用422.2kN、ノックアウト用148.9kNの仕様を達成
・CAE解析と測定結果の定量的比較評価方法確立: 部品全体の3次元モデル形状を0.01mm レンジで色分けカラーマップ表示システム構築
・材料物性データ取得: 金型材質(粉末ハイス鋼、冷間ダイス鋼)、製品材質(SCM415、C1020、SUS304)について温度依存性、ひずみ速度依存性を含む材料データ取得
・高精度CAE解析: スパイラルギヤモデルによる検証で解析結果と鍛造品との差異を歯面部分で±0.02mm以下達成(目標±0.04mm以下)
・高精度金型製作: 設計3次元データと金型測定データとの差異±0.01mm以下達成(目標±0.02mm以下)
・分流鍛造工法導入効果: 充填率80%時に成型荷重約30%低減、金型弾性変形量大幅縮小実現

3Dデジタイザによる評価
分流鍛造
知財出願や広報活動等の状況

アマダプレスシステム株式会社と共同で開発した4軸ハイブリッドサーボプレスによる新工法について、日本塑性加工学会の「技術開発賞」および日本鍛圧機械工業会の「MF技術大賞」を受賞した。
また、次の論文発表を行った。
論文名:「Measuring Transient Friction Coefficient Affected by Plastic Heat Generation Using a Warm Ring Compression Test with an In Situ Measurement System Measuring Ring Expansion Velocity,DOI: 10.3390/jmmp9060190. 」
著者:SOLEYMANIPOOR ALIREZA

研究開発成果の利用シーン

研究開発成果は、従来切削加工や鋳造で製作されていた高精度複雑形状の金属部品を冷間鍛造で製作する際に利用される。具体的にはスパイラルギヤのような歯車部品において、専用機械による歯切り加工から冷間鍛造への工法転換が可能となる。動力が小型エンジンからモーターに変わり静音化が進む中で、ギヤボックスの静音化要求に対応できる。また中~小ロット生産の幅広い産業分野での冷間鍛造技術普及が期待される。開発した多軸制御油圧機構を追加したサーボプレス技術により、従来の大型専用プレス機を必要としない汎用設備での高精度冷間鍛造が実現可能となり、設備投資コストの大幅削減と共に高機能、高精度、低コスト、短納期、環境配慮を同時に実現する製造技術として活用される。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

研究開発成果として技術開発は完了しており、目標値を上回る成果を達成している状況である。アドバイザーからの講評において、追浜工業株式会社からは「研究成果として想定以上の成果が出た」「今後はコスト、品質管理などの条件でも優位性を示して量産化できることを期待する」との評価を得ている。東京都立大学名誉教授からは「目標を全て達成したことは素晴らしい」「今回開発したサーボプレスは世界初であり、波及効果として板の成形にも使える」との評価を受けている。技術的な成果は確立されているが、実際の商用化や量産化に向けた具体的な事業展開については今後の課題として位置づけられている。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、素材・部品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・世界初の4軸ハイブリッドサーボプレス技術: 汎用サーボプレスに多軸制御油圧機構を追加し、従来の大型専用プレス機(1億円以上)に対して設備投資コストを半減
・試作レス冷間鍛造技術: CAE解析技術の高度化により、従来数回必要だった試作工程を不要とし、開発期間の大幅短縮を実現
・高精度直彫り金型製作: 5軸マシニングセンタによる直彫り1工程で従来の手磨き工程を廃止し、±0.01mm以下の高精度実現
・分流鍛造工法による加工力低減: 製品品質を維持しながら成型荷重約30%削減、金型寿命向上効果
・環境配慮型製造技術: 材料歩留まり向上、工程数削減、エネルギー消費量削減を同時実現
・中~小ロット生産対応: 従来大量生産前提だった冷間鍛造を中~小ロット生産に適用可能とする技術パッケージ

今後の実用化・事業化の見通し

事業化に向けた課題として、工程内全数検査による品質保証体制の構築、自動化による製造コストの低減、金型寿命の向上の3点が挙げられている。工程内全数検査と自動化については、今後も研究機関で連携しながら2年以内に全数検査装置の開発やロボット導入による工程の自動化を遂行する計画である。金型寿命向上については、工具メーカーと共同で超硬金型の直彫り加工の研究に着手しており、継続して推進していく予定である。技術的な基盤は確立されており、アドバイザーからも高い評価を得ているため、これらの課題解決により実用化・事業化の実現が期待される。産学連携による研究開発の成果として、日本の製造業における工法転換によるコストダウンの模索に対する有効な解決策として位置づけられている。

実用化・事業化にあたっての課題

事業化に向けた課題として以下の3点が明確に示されている。
・工程内全数検査による品質保証体制の構築: 製品品質の安定化と信頼性確保のための検査システム開発が必要
・自動化による製造コストの低減: 人的作業の削減とロボット導入による生産効率向上が求められる
・金型寿命の向上: 超硬金型の直彫り加工技術開発により金型の耐久性向上が必要

また、アドバイザーからの指摘として、生産性(コスト)、型寿命(コスト)、歩留まり(コスト)の改善が今後の課題として挙げられている。実際に事業化になると金型の耐久性向上が課題となることも指摘されており、金型への表面処理技術の適用も検討されている。これらの課題に対して、研究機関との連携継続や工具メーカーとの共同研究により解決を図る計画が示されている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社三陽製作所
事業管理機関 よこはまティーエルオー株式会社
研究等実施機関 株式会社三陽製作所
よこはまティーエルオー株式会社
国立大学法人横浜国立大学
地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所
アドバイザー 追浜工業株式会社 野口 健一
東京都立大学名誉教授 西村 尚
株式会社アマダプレスシステム 吉田 武志
エムエスシーフトウェア株式会社 川口 竜太/山口 和樹
ゼノーテック株式会社 河野 正宏
東京貿易テクノシステム株式会社 池田 大悟
日本工作油株式会社 松浦 佑弥/北山 樹
日本アイティエフ株式会社 堀井 章伸
株式会社浜銀総合研究所 吉田 和朗

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社三陽製作所(法人番号:9220001003120)
事業内容 ○主要事業:金属加工全般、プレス金型設計製作 ○主要製品:・オフィス・公共施設・家庭向けのチェア及びテーブル、車両 用シート等のフレーム類・農業用機械の小型エンジン部品、各種鍛造部品 ・電力設備用の銅端子など
社員数 49 名
本社所在地 〒236-0034 神奈川県横浜市金沢区朝比奈町138番地
ホームページ https://www.sanyoseisakusho.co.jp/
連絡先窓口 株式会社三陽製作所 取締役 開発営業部長 角道将人
メールアドレス m-kakudo@sanyoseisakusho.co.jp
電話番号 045-781-5873