精密加工
枕木固定具生産ラインにおけるAIプログラムを用いた全体最適化システムの構築
群馬県
株式会社北斗
2025年1月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 鉄道向けインフラ用厚板金属製品の革新的生産プロセスの開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 鉄道 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | レベラー、せん断打ち抜きプレス、溶接、AI、三次元計測 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発は、コイル材から平坦に加工するレベラーを通して、打ち抜きプレス成形によって部品を加工し、それぞれの部品をロボット溶接して製品を量産する。それらの各工程は熟練作業者による手動での修正作業が必須であったことから目標とする製造コストを達成することは不可能であったため、各製造プロセスを効率化するために、各修正作業の入力に対する結果に基づく修正が行われてきた作業者による適応制御がなされる系を、AIによる強化学習により、系の入出力関係に対する適応制御を行う革新的な仕組みについて開発に取り組んだ。
開発した技術のポイント
1)熟練工が行う各修正作業の入力値の元となる要修正状態をセンサーデジタル化し、暗黙知の形式知化を行ったこと
2)結果に基づく修正が行われてきた作業者による適応制御がなされる系を、AIによる強化学習熟練作業者の感覚をセンサでデジタル化したこと
3)一連の工程をデジタルデータでつなぎ、各工程の因果関係から制御パラメータを連携させたこと
4)全工程が改善される全体最適化を3つのAIプログラムをつないで「AIによる複合工程の自動プロセス制御」によって実現できたこと
具体的な成果
1) レベラー工程は逆強化学習AIによって数回で合格範囲に誘導することができた
2) プレス工程は成形解析による原因を数値化し、AIパラメータを特定することで1ショットで適正範囲に誘導できるようになった
3) 溶接工程は最適な状態を選択的に選ぶことで寸法精度を保証することができるε-greedy法AIプログラムを適用し、不良がなくなった
4) 修正時間を削減できたことで全体製造時間が60%短縮でき、不良品での損失をほぼ0%とすることができた
知財出願や広報活動等の状況
本事業で開発した固定具に関する特許(第6689122号)を取得した。
本製造システムは型技術協会の型技術者会議にて発表し、加工システムに興味を持ってもらい、自動車メーカーなどから取り組みについてヒアリングを受け、見学などの紹介を行った。
研究開発成果の利用シーン
開発した固定具製品は、国内の鉄道事業者が保有する老朽化した橋梁のインフラ改修に使用される。
また、各製造プロセスのAI適応制御技術は、厚板金属の製造に広く適用可能であり、自動車部品や溶接製品などの高品質化や高精度化に寄与し、安定した価格設定が求められるシーンに提案できると考える。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
現在、開発した固定具は実用化の手前の実証段階にあり、実際の橋梁での施工実験にて性能評価が行われている。また、開発した各製造プロセスの技術は、金属部品製作における重要な要素技術として、一般的な量産製造の汎用技術への利用が可能である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
本研究成果により開発した固定具は、橋梁での枕木固定において、完全落下防止と施工の作業性を両立させた新たな固定方式である。また、AIを活用した製造プロセス技術により、高い品質と海外へ向けたコスト競争力を実現している。
現在は実験線への施工計画が始まっており、生産活動に移行する段階である。
今後の実用化・事業化の見通し
本事業の成果は、技術革新への波及を促し、さらなる製造技術開発を牽引することが期待される。
株式会社北斗は、本事業の成果を積極的に公開することにより、鉄道系事業者への水平展開により市場拡大への波及を図る。一方、鉄道事業に限定する必要はなく、本製造技術を確立できたことから、量産が求められる自動車・建築分野への波及が早いと見込んでいる。
実用化・事業化にあたっての課題
・レベラー工程の修正レス化のためのセンサ範囲を設定しているが、製品サイズによって測定範囲の不足による保証精度が低下する場合がある。
・材料の高強度化に対する金型強度不足、生産性低下、プレスシステム変形量増大により修正が多くなる場合がある。
・製品によって溶接ロボットによる組付け自動化が複雑化する場合が考えられ、自動化のための製品構造の標準化、熟練者の暗黙知の形式知化が必要となると考える。
事業化に向けた提携や連携の希望
研究体は現在も良好な関係を構築しているが、事業化までに期間が空いたことで川下事業者との連携を希望している。販路としての鉄道事業者と、AIプログラムを製造ラインに導入するコンピュータインフラ事業者との連携を希望する。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社北斗 |
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事業管理機関 | 公益財団法人群馬県産業支援機構 工業支援課 |
研究等実施機関 | 独立行政法人国立高等専門学校機構群馬工業高等専門学校 群馬県立産業技術センター 国立大学法人長岡技術科学大学 学校法人智香寺学園埼玉工業大学 |
アドバイザー | 東日本旅客鉄道株式会社 日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社 大阪大学 教授 高谷 裕浩 東京電機大学客員教授 精密工学会 会長 高増 潔 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社北斗(法人番号:5070001013948) |
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事業内容 | 機械製造業・金型設計製作/治工具製作/自動機設計製作/精密金属プレス/精密板金加工 |
社員数 | 50 名 |
生産拠点 | 群馬県伊勢崎市に4つの工場を保有(第5工場 建設中(2025年完成予定)) |
本社所在地 | 〒379-2215 群馬県伊勢崎市赤堀今井町2丁目1044-1 |
ホームページ | https://www.hokuto-g.co.jp/ |
連絡先窓口 | 営業部・金子篤史 |
メールアドレス | kaneko_atsushi@hokuto-g.co.jp |
電話番号 | 0270-63-0001 |
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