バイオ
「複合発酵を利用した効率的なプラスチック分解処理技術の開発:プラスチック分解菌を活用した分解プロセスの最適化」
新潟県
株式会社バイオテックジャパン
2026年1月30日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 複合発酵を利用した効率的なプラスチックの分解処理技術の開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | バイオ |
| 対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、リサイクル・廃棄物処理 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(エネルギーコスト削減)、環境配慮、低コスト化 |
| キーワード | プラスチック分解菌、プラスチック分解、リサイクル |
| 事業化状況 | 研究実施中 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業は、従来の単一菌による処理では活性維持が極めて困難であったプラスチック分解能力を、共生菌と組み合わせる独自の「複合発酵」技術により飛躍的に安定化させ、微生物学的に競合的な環境下においても機能する効率的な分解処理システムを確立したものである。
具体的な研究開発においては、まず実験室レベルでのスクリーニングを行い、30日以上の長期安定培養が可能で、かつプラスチックの引張強度を20%以上低下させる優良な菌株の組み合わせを選抜することに成功した。あわせて、共生状態をモニタリングするための指標となる特異的な代謝物を特定し、制御技術の基盤を構築した。
さらに、実用化を見据えたスケールアップ試験も実施した。最終処分を想定した1㎥規模の土壌埋立試験では、圧縮強度を20〜30%低下させることで減容化目標を達成し、埋立地の延命化への可能性を示した。また、サーマルリサイクル向け前処理には50〜100L規模の実証を行い、燃焼効率の向上に資する最適な前処理条件(温度・攪拌速度等)を確立した。
開発した技術のポイント
複合発酵を利用した効率的なプラスチックの分解処理技術の開発
■技術の目的と効果 プラスチックを一次分解し「物性の脆弱化」と「燃焼性の向上」を図る。これにより、減容化による運搬性向上や燃焼効率の改善を実現し、エネルギーコストおよびCO2排出量の削減を目指す。
■解決すべき4つの研究課題 目標とする物性・燃焼性基準(表2)をクリアし、実用化するために以下の課題の解決に取り組んだ。
①分解の長期安定化 プラスチック分解菌と他微生物の共生環境を構築し、7~30日間以上の長期間、菌叢と分解能力を安定維持させる。
②複合発酵の効率化 競合微生物が存在する環境下でも効率を向上させる要素を特定し、目標基準を達成する。
➂プレ分解処理技術の確立(サーマルリサイクル向け) コスト許容範囲内である「7日間以内」に処理を完了させるため、短期間で最大限分解可能な条件を確立する。
④スケールアップ 実用化に向け、川下産業のニーズを満たす装置やシステムを用いたパイロットプラントを開発する。
具体的な成果
1.分解の長期安定化と指標特定 複合発酵による菌の共生条件を確立し、30日後も菌数を維持できる有望な組み合わせを選抜しました。また、プラスチックの引張強度を20%以上低下させる25組を特定し、分解能向上に寄与する代謝物(アミノ酸等)の指標化を行った。
2.技術の効率化とスケールアップ 他菌と競合する環境下でも、PE・PP分解において目標値を達成する菌株を選抜しました。さらに、実環境に近い擬似フィールド(10L規模)へ拡大しても正常な発酵と分解性能が維持されることを確認し、4組を選定した。
3.サーマルリサイクル向け処理技術 焼却前処理としての短期間分解を検討し、強度低下の目標は達成しました。燃焼性については目標未達でしたが、酸素指数の低下など一定の知見が得られたため、スケールアップ工程へ移行して継続検討することとした。
4.プラスチック処理の実用化に向け2つの試験を完了した。土壌中での減容化試験では、分解菌を用いた複合発酵法を開発し目標を達成。サーマルリサイクル向け試験では、専門企業と連携しプレ分解処理の基本技術を確立した。
知財出願や広報活動等の状況
先行研究の成果として「難分解プラスチック及び含有添加剤の分解処理方法」(特願2020-128789)を特許出願済みである。本事業の成果として得られたサーマルリサイクルのプレ分解処理技術についても特許を出願しており(特願2025-026353)、権利化を行う予定である。菌株の添加比率や培地の組成等の実際の運用における秘匿可能な項目については権利化を行わず、ノウハウ化によるブラックボックスとしてクローズド戦略を採用している。広報活動については、国内外の各学会や「資源循環EXPO」等の展示会への出展により、プラスチック廃棄物処理における技術動向やニーズの調査を行う計画である。
研究開発成果の利用シーン
・サーマルリサイクル施設でのプレ分解処理
-プラスチックの燃焼効率を向上させる方法や減容化により輸送エネルギーコストを減少させる前処理として利用
・最終処分場の機能回復
-埋め立てられたプラスチックを掘り返さないで原位置にて分解する一次分解処理を行い、プラスチックが脆くなって高度な圧縮処理を行わず容積の確保を実現
・食品リサイクル工場での利用
-生産される肥料に混入するプラスチックの分解除去に応用
・RPF品質改善
-プラスチックからの脱塩素等によるRPF(廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料)の品質改善
-塩化ビニル製のプラスチックを分解対象とした処理への応用
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
株式会社バイオテックジャパンがプラスチック分解菌及び複合発酵菌のフリーズドライ粉末の混合である「プラスチック処理微生物製剤」の販売を準備中である。追加研究として、メタン発酵発電施設の実機仕様に合わせた廃棄物中プラスチック分解処理システムの開発を行い、実機での燃焼試験を通じて実用的な分解処理システムの構築を目指す。このための設備投資として、プラスチック処理微生物製剤の生産量を月間500kg確保できるよう、培養設備およびフリーズドライ等の加工設備への投資を行う。
販売計画については、当初サーマルリサイクル前処理向けを想定していたが、J&T環境株式会社との再評価の結果、販路開拓に時間を要するため方針を変更した。現在は需要が見込まれるメタン発酵残渣中のプラスチック片分解に適した製剤(単価5千円/kg、排液1tに対し1kg使用)の開発・販売を優先する。この計画見直しに伴い、令和10年度は年間排出量1,000t規模の施設を対象に売上1,000万円、令和11年度は5,000t規模の施設を対象に売上5,000万円を見込む計画としている。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・低エネルギー、低コストでの分解処理が可能
-複合発酵による共生環境の構築により、厳しい環境下でも安定したプラスチック分解を実現
・微生物学的に競合的な環境下でもプラスチック分解処理が可能
-雑菌の多い排液や活性汚泥中でもプラスチック分解処理が可能
・焼却処理との組み合わせで低コスト化を実現
-サーマルリサイクルでの燃焼効率向上によりCO2総排出量を5%以上削減
・原位置処理によるプラスチック分解処理
-埋め立て土壌中のプラスチックを掘り返さずに分解し、容積の30%以上回復を可能
・多種類のプラスチック対応
-PE及びPPの同時分解が可能で、様々な種類のプラスチック及び添加剤の分解に対応
・簡易システムでの処理
-バンカーサイロ等の一時保管場所での複合発酵処理を可能とし、大規模な処理システムの導入を不要
今後の実用化・事業化の見通し
複合発酵によるプラスチック分解技術の実用化に向け、J&T環境株式会社と連携し、分解菌と発酵菌を配合した粉末状微生物製剤を開発・販売する。用途はメタン発酵施設や最終処分場など多岐にわたるが、当面はメタン発酵残渣処理向けに注力する。価格は1kgあたり5,000円とし、売上目標は令和10年度に1,000万円、11年度に5,000万円を掲げる。
販売戦略として、J&T環境や伊藤忠プランテック等のプラント企業と連携し、前処理システム導入企業への販路を確保するほか、ライセンス展開による収益拡大も図る。さらに長期的には海外展開を見据え、JICA等の活用や展示会出展により現地のニーズを把握。地域に合わせたシステム開発を行い、プラント事業者を通じた技術指導や機器販売によりグローバルな普及を目指す。
実用化・事業化にあたっての課題
より川下企業のニーズに合った技術開発が必要であり、強度の高いプラスチック塊の効率的な分解や導入コスト及びランニングコストの低減が課題である。
本事業では、これらの課題解決に向けて川下製造事業者であるJ&T環境株式会社と共同研究契約を締結し、補助金を活用した追加研究を推進している。特に、メタン発酵発電施設の廃棄物に含まれるプラスチックを分解する微生物製剤の開発に注力し、実務ニーズを反映した技術の実証と最適化を行っている。
事業終了後もこの共同研究体制を維持し、需要に基づくテーマ設定と評価・フィードバックを繰り返すことで、製品仕様の確立と量産プロセスの検討を段階的に進める。現時点で具体的な量産体制は未整備だが、共同研究を通じて実用化に向けた基盤構築は着実に行われている。
事業化に向けた提携や連携の希望
本事業で確立した技術の社会実装を加速させるためには、研究レベルから量産化への橋渡しとなる「プレ製造ライン」の設置が必要となります。この重要なフェーズを乗り越えるための資金調達戦略として、現在は「補助金の活用」や「ジョイントベンチャー(JV)の設立」というアプローチを主軸に検討を進めております。
つきましては、実用化に向けた大規模な設備投資に対して適用可能な、最新の補助金制度や助成事業についてご教示いただきたく存じます。特に、環境技術やバイオものづくり分野に特化した大型の支援策があれば、優先的に情報を頂戴したく存じます。
あわせて、当社の技術シーズを高く評価し、JV設立等の形態でリスクマネーを供給しうるベンチャーキャピタル(VC)や、事業シナジーが見込める提携候補先のご紹介をお願い申し上げます。技術的優位性を維持したまま迅速な市場参入を実現するため、資金調達およびアライアンス構築の両面において、具体的なご支援・マッチングを賜れば幸いです。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 株式会社バイオテックジャパン |
|---|---|
| 事業管理機関 | 公益財団法人にいがた産業創造機構 |
| 研究等実施機関 | 株式会社バイオテックジャパン 国立大学法人長岡技術科学大学 |
| アドバイザー | J&T 環境株式会社 神座興産株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 株式会社バイオテックジャパン(法人番号:8110001011507) |
|---|---|
| 事業内容 | 食品製造業 |
| 社員数 | 45 名 |
| 生産拠点 | バイオテックジャパン本社工場(新潟県) |
| 本社所在地 | 〒959-1923 新潟県阿賀野市勝屋字横道下918-112 |
| ホームページ | https://www.biotechjapan.co.jp/ |
| 連絡先窓口 | 株式会社バイオテックジャパン テクニカルセンター 山田 和典 |
| メールアドレス | yamada@biotechjapan.co.jp |
| 電話番号 | 0250-63-1555 |
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