精密加工
医療機器精密部品加工に対する技術力・体制強化
三重県
松井機工有限会社
2026年1月29日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | ガンドリル・超音波クーラント援用システムによる低侵襲医療小径キーパーツの高精度微細加工技術の開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 精密加工 |
| 対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、情報通信、食品、建築物・構造物、半導体、光学機器 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(使用機器削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
| キーワード | ガンドリル加工、細穴加工、深穴加工、チタン加工、バリレス加工 |
| 事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究では、超音波クーラント援用ミーリングの加工条件を最適化するとともに、それを支える専用治具の設計を進めた。加えて、直径φ0.3、4枚刃のcBNマイクロ回転工具を試作し、切削性能の最適化を検証した。さらに、複合自動旋盤には標準配管と30MPa高圧配管の二重システムを実装し、ガンドリルによる深穴加工の適用範囲を拡大した。量産化に向けては、工具破損の早期検知や摩耗識別の仕組みを組み込み、CAD/CAM最適化、X線CT評価までを一気通貫で構築することにより、実用化へ直結する技術基盤を確立した。
開発した技術のポイント
・超音波クーラント:0.5MHz/50W、低動粘度域で浸透・潤滑・剝離効果を確認
・支持治具:溝加工時の撓みを解析設計で抑制
・cBN工具:銀ろう接合+ダイヤ砥削で微細刃先形成
・ガンドリル:すくい角13°最適化、円形オイルホール、段付き+オリフィスで流速向上
・監視:モータ電流の周波数・特異スペクトル解析と撮像AIで破損・摩耗を識別
具体的な成果
・超音波クーラント援用ミーリング加工技術の開発
-超音波クーラント援用ミーリング加工とサポート治具の併用および専用のバリ取り工具の開発により高アスペクト比の深穴加工の加工時間を短縮できた。(専用バリ取り工具は特許申請中)
・cBNマイクロ回転工具の開発
-cBN製ミーリング工具を新たに開発しチタンやステンレス鋼に対する工具回転速度および送りと切込み条件の最適化をはかった。
・複合自動旋盤によるガンドリル深穴加工システムの開発
-複合自動旋盤でガンドリルを用いた深穴加工システムの開発に取り組み、真直性の高い高アスペクト比の深穴加工を実現できた。
・量産加工技術の開発と生産性向上及び加工精度の向上
-深穴加工時の小径ドリルの破損検知技術や工具摩耗識別技術の開発およびCAD/CAMを用いたシミュレーション技術により量産加工技術の高度化及び生産効率の向上を図った
知財出願や広報活動等の状況
専用のバリ取り工具の開発について特許出願を完了し、加工ノウハウの保護体制を整備した。成果の社会的認知度向上を目的として展示会出展や講習会参加などの広報活動も実施し、医療機器メーカーへの技術提示で高評価を獲得している。新たな事業化展開としては、自動車産業や半導体産業、さらには航空宇宙産業の各分野への展開をするため展示会出展および講習会などに積極的参加を心掛けている。
・特許 バリ取り工具およびバリ取り方法 特願2025-013875
・論文 鈴木浩文・古木辰也・藤井一二・森里恵
砥粒加工学会2025年度学術講演会論文集C03「cBNミリング工具による純チタンの微細切削 -超音波振動援用クーラントの効果-」
・論文 鈴木浩文・古木辰也 ・畠中謙奨・坂井田未来・藤井一二・伊藤洋介・森里恵・ 森本和邦
アジア精密工学会2025(aspen2025)論文集「Precision machining of pure Ti-assisted ultrasonic vibration coolant using cBN milling tool– Effects of coolant kinematic viscosity on milling performance –」
・論文 鈴木浩文・古木辰也・森里恵・森本和邦
日本機械学会LEM21論文集「Micro Milling of Pure Ti using cBN Milling Tool - Effects of Ultrasonic Vibration-Assisted Coolant -」
研究開発成果の利用シーン
・カテーテル先端、腹腔鏡用薄肉小径パイプ
-高アスペクト深穴+先端微細溝の高精度一貫加工
・工程集約による量産ライン
-複合自動旋盤上で旋削/溝/深穴を統合
・他分野展開
-ディスペンサーノズルや半導体装置向け難削材部品の微細・長尺深穴加工
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
標準配管と高圧30MPa配管の二重構成を実機に実装し、試運転により所期の機能が確実に発揮されることを確認した。さらに、ガンドリルの形状、切削油の粘度範囲(12~17平方ミリメートル/s)、下穴条件といった主要パラメータを系統的に最適化し、安定した深穴加工の条件を導出した。加工後の品質評価としては、X線CTによる断面観察を実施し、穴の真直性および欠陥の有無を確認した。量産段階に向けては、曲がり発生の再発防止策を講じるとともに、直径0.7mm工具の安定供給体制を整備し続けることで、実用化に直結する量産技術基盤の構築を進めている。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、素材・部品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・ワンパス高精度
-超音波クーラント×支持治具×cBN×高圧ガンドリルを一体化
・高アスペクト対応
-微径・長深さでも真直性と表面性状を両立
・止めない量産
-破損検知・摩耗識別・CAD/CAM最適化で段取りと停止ロスを圧縮
今後の実用化・事業化の見通し
川下企業である大手医療機器企業とは定期的な打合せを行っており、製品の評価や助言などをいただいている。さらに研究開発を進めた部品に対しても協議を進めており、一定の評価をいただいている。サンプル出荷はさらに詳細な使用を協議の上決定し、提示する手順で進める予定である。
医療機器分野以外にも航空宇宙、半導体、一般作業用などの分野からの引き合いも増加しつつある。作業員の雇用計画更には、機器設備の更なる充実、検査装置の効率化など量産に必要な体制を計画している。
実用化・事業化にあたっての課題
研究開発後の課題は、製作実績が少量に留まったため、量産加工に移行した際の安定した品質保証体制と工程最適化の確立である。量産時のばらつき要因の抽出と管理指標の設定、検査規格・トレーサビリティの整備を進める計画である。事業化展開は、医療機器メーカーから高評価を得て図面提供の目途が立ち、適用検討へ進む。加えて、自動車・半導体・航空宇宙分野へ展示会・講習会を通じて販路拡大を図る。
事業化に向けた提携や連携の希望
現在顧客と事業化に向けて協議中であり、今後必要に応じて検討する。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 松井機工有限会社 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 公益財団法人三重県産業支援センター |
| 研究等実施機関 | 松井機工有限会社 学校法人中部大学 三重県工業研究所 |
| アドバイザー | INPIT三重県知財総合支援窓口 シチズンマシナリー株式会社 日進工具株式会社 本多電子株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 松井機工有限会社(法人番号:9190002009707) |
|---|---|
| 事業内容 | CNC自動旋盤・カム式自動旋盤による細物小物精密金属切削 |
| 社員数 | 8 名 |
| 本社所在地 | 〒519-0416 三重県度会郡玉城町下田辺890番地 |
| ホームページ | https://matsui-kikou.jimdofree.com/ |
| 連絡先窓口 | 製造部 森 幸葉 |
| メールアドレス | y.mori@mtikk.co.jp |
| 電話番号 | 0596-58-3264 |
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