精密加工
加工歪みを低減する超精密切削加工技術を確立し高精細3Dモニタ用の高速可変焦点レンズを実現する
京都府
有限会社オプトセラミックス
2020年3月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高精細な3Dモニタ用高速可変焦点レンズを実現するための電気光学材料の超精密切削加工技術の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | スマート家電、光学機器 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
医療分野等で高精細な3Dモニタのニーズが高まっていることから、3Dモニタ製造者からは高精細化のキーとなる高速可変焦点レンズが求められている。材料の応答が速い電気光学材料の適用は高速化への有効な手段となるが、一方で加工歪みにより性能劣化を引き起こすという課題がある。加工歪みの低減や残留歪み分布を抑制するため、切削治具の開発や電気光学材料の複合化により加工歪みを低減した超精密切削加工技術を開発する
開発した技術のポイント
切削治具の開発、電気光学材料の複合化により、加工歪みを低減する超精密切削加工技術を確立する
・従来比10倍の情報量表示→焦点可変速度:従来比10倍の数kHz以上へ
・焦点可変応答速度焦点可変速度:500マイクロ秒以下(2.4kHz)
(新技術)
(特徴)
時間的に切り替えて表示させることにより、画素数を粗くせずに視点を増加
具体的な成果
・電気光学材料と熱膨張率が等しい材料からなる加工吸着テーブルの開発
-切削加工中の周囲温度の変化で生じる反りや位置ズレを防止するため、電気光学材料と熱膨張が等しい加工吸着テーブルを設計・製作。併せて電気光学材料に対する加工条件を最適化
-上記を適用し、電気光学材料の溝加工の加工形状精度を向上。電気光学材料のアレイ状配置を可能に
最適な温度係数を有するガラス基板材料の開発
-電気光学材料の板厚を薄くしつつ、強度と透過率を維持するため、最適なガラス組成の合成・調達等により、熱膨張率が電気光学材料と等しく、透明かつ均質なガラス基板を開発
・ガラス基板と電気光学材料の接合技術の開発
-開発したガラス基板と電気光学材料の複合化に向け、接合界面で光の吸収や散乱が生じない接合技術を開発
-UV硬化性樹脂を用いて、ガラス基板と電気光学材料を接合し、透過光の損失が少ない複合基板を開発
・加工歪みが発生しにくい電気光学材料の研究
-種々の結晶粒径からなる電気光学材料を作製。透明性と加工歪みの伝搬を評価し結晶粒径を最適化
-透明性が高く、加工歪みが生じにくいセラミックスの最適製造条件が5~6µm径と判明。その実現のためのプロセス条件を決定
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化に向け、補完研究と用途開拓を進める
・本研究成果を用いた高速時分割対応可能なパララックスバリア方式のサンプルを提供
製品・サービスのPRポイント
・精度向上→砥石を用いてPLZTセラミックスに研削加工し、透過光量バラツキ3%以下、コントラスト1:450以上の高精度で加工歪みを残留させない研削加工条件を開発
・耐久性向上→PLZTセラミックスと強靱な透明ガラス基板を接合し複合基板化することにより、デバイスの作業性、耐久性を改善した
・新方式の実現→PLZTセラミックスと透明ガラスから成る複合基板に、研削加工により立体電極構造を形成し、10kHz以上の可変焦点レンズの高速応答速度を確認
今後の実用化・事業化の見通し
補完研究を継続しつつ、さまざまな用途への展開を検討中
・レンズ加工精度(1素子内のR面平面度およびエッジ部のチッピング)が不十分で、満足できる可変焦点レンズのサンプルができていない。また、タイリング精度向上のための補完研究を継続中
・川下産業である薄型パネル製造業の景況は厳しく、3D関連の新規開発案件への投資が難しくなっている。レンチキュラレンズ方式に比べて集積化のハードルが低く早期の製品化が可能なバリア方式でサンプル品を提供し、性能評価を実施してもらっている
・裸眼3Dモニタの光学系として高速可変焦点レンズの開発を進めてきたが、光通信分野、測定計測分野への販路開拓を狙う。またさらに微細化して印刷・露光等の装置メーカーへの新規事業展開を目指す
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 有限会社オプトセラミックス 京都第一工場 |
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事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
研究等実施機関 | 国立大学法人京都大学 学校法人龍谷大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 有限会社オプトセラミックス |
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事業内容 | 光学部品、センサー、アクチュエーターの考案設計・製造販売 |
本社所在地 | 〒601-8213 京都府京都市南区久世中久世町5-35 |
連絡先窓口 | 代表取締役 大西康司 |
メールアドレス | onishi@optceramics.name |
電話番号 | 075-922-0756 |
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