材料製造プロセス
染色難素材の染色や繊維の機能化を可能にする、水を用いない糸染めの技術!
京都府
株式会社フジックス
2026年2月3日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 軽量及び吸水速乾性に優れた糸への無水染色化技術とその実用化プロセス技術の開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
| 対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、環境・エネルギー、自動車、衣料・産業資材 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(染色難素材の染色、繊維へのめっき)、環境配慮、デザイン性・意匠性の向上 |
| キーワード | CO2、環境、染色、めっき、繊維 |
| 事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業では、水を使用しないscCO2流体染色技術を実用化し、軽量性・吸水速乾性を保持した糸を実現することを目的とした。対象はポリプロピレン糸および極細の再生ポリエステル糸であり、染色堅ろう性の確保、油汚れ耐性の向上を課題とし、均染性確保のため糸の熱履歴やチーズ巻密度の最適化、糸洗浄技術や調色技術の確立を進めた。
開発した技術のポイント
本事業では、軽量で吸水速乾性を持ち、汗のべたつきを抑えるアスリート用ウェアを実現するため、scCO2を用いて極細ポリエステル編み糸やポリプロピレン糸を染色する技術を確立した。ラボスケールと実装装置での色相互換性を確保し、その鍵となるsP(特殊粉体)を用いた染料担持法を見出した。また、染色後のCO2を回収・リサイクルする仕組みも構築した。さらに、改質PPの染色に取り組み、ブリードを防ぐ染料選定や耐光堅ろう性向上を目指した糸開発を進め、材料選定を完了し試験紡糸段階へ移行している。
具体的な成果
ポリプロピレン用染料として3原色を確定し、耐光性や蛍光染色の可能性を実証した。改質ポリプロピレン用分散染料についても評価し、油汚れによる移染問題の改善に目途を得た。均染性は5.6Lおよび120L装置で目標値を達成し、糸洗浄技術も確立した。調色技術においてはラボ装置とチーズ型との色差ΔE1.0以内を確認し、実装用染色試験機でも12チーズ充填でΔE<1.2を達成した。染料担持方法を確立し、染料利用効率79%以上を実現した。アスリート用ウェアでの実証では品質に問題なく、刺しゅう糸展開の実現にも繋がった。さらに二酸化炭素回収率90%以上のシステムを構築し、水を使用しない染色工程を確立した。
知財出願や広報活動等の状況
ポリプロピレンに係る油汚れに伴う色抜け対策については、滋賀県東北部工業技術センターでの混練・紡糸を通じて、改質ポリプロピレンの実用化を完成することを見込んでおり、この際の特許申請を見込む。
・読売新聞(R6年12月24日)
「水のいらない糸染色術 ~滋賀県東北部工技センターなど 世界初実用化~」
・日本経済新聞(R7年3月3日電子版、3月5日紙面)
「糸の染色、CO2で節水 滋賀県・フジックスの溶媒技術 色ムラなく、五輪選手ウエアに採用」
研究開発成果の利用シーン
開発したscCO2流体染色技術により、ポリプロピレンや中空ポリエステル糸を均一かつ高堅ろう性で染色することが可能となった。これにより、軽量で吸水速乾性を保持した糸素材が得られ、アスリート仕様のスポーツウェアや一般衣料に展開できる。蛍光色も含めた多彩なカラーバリエーションを水を使わず実現でき、デザイン性とサステナブル性を両立した製品提供が可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
開発成果は既に国内大手スポーツアパレル向けユニフォームとして実証検証され、scCO2染色製品の納品実績を有している。また、オレフィン系の染色を可能にしたことから、それに類する糸染めの要望が各社からきており、現在、事業化に向け取り組み途上にある。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
開発したscCO2染色糸は、従来の水系染色に比べて大幅な水資源削減と二酸化炭素回収・循環利用を可能とし、環境負荷低減を強みとしている。さらに、ポリエステル糸や改質ポリプロピレン糸に対して均一な染色性と高い染色堅ろう度を実現し、スポーツアパレルに求められる軽量性・吸水速乾性を保持した製品化に成功した点が大きな特徴である。
今後の実用化・事業化の見通し
今後は、国内大手スポーツアパレルメーカー向けにサンプル提供と評価を進め、実用化への展開を加速する。さらに、面ファスナー用途、刺しゅう糸や難燃加工、釣り糸(ポリエチレン製)への応用も進展しており、適用分野の拡大が見込まれる。海外市場においても、水を用いない染色技術は環境規制やサステナビリティ志向の高まりに適合しており、販路拡大の大きな契機となる。2025年度以降、追加研究や設備投資を進めつつ、2029年度には生産量約49.6t、売上高62億円規模を計画している。
実用化・事業化にあたっての課題
事業化に向けた課題として、まずポリプロピレンの染色技術は依然として原理的課題が残っており、耐光性や色抜け対策など技術的改良が必要である。また、色合わせに関する調整も一部残されており、量産体制における品質安定化が求められる。
事業化に向けた提携や連携の希望
本事業については、現状取組んできた顧客への製造販売に当面注力していく。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 株式会社フジックス 生産部 研究開発室 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 公益財団法人滋賀県産業支援プラザ 連携推進部プロジェクト管理室 |
| 研究等実施機関 | 滋賀県東北部工業技術センター |
| アドバイザー | 国立大学法人福井大学 他 |
参考情報
- 環境に対する取り組み(フジックス)
- https://www.fjx.co.jp/company/quality.html
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 株式会社フジックス(法人番号:5130001005385) |
|---|---|
| 事業内容 | 各種繊維による縫い糸の製造及び販売 編み糸、刺しゅう糸など各種繊維製品の製造及び販売 生糸、撚糸その他各種繊維及び中間製品の販売 服飾雑貨製品の製造及び販売 太陽光発電等による電気の供給・販売 前各号に付帯する業務 |
| 社員数 | 105 名 |
| 生産拠点 | 滋賀事業所、上海富士克制線有限公司 |
| 本社所在地 | 〒603-8322 京都府京都市北区平野宮本町5番地 |
| ホームページ | https://www.fjx.co.jp/ |
| 連絡先窓口 | 株式会社フジックス 生産部 研究開発室 室長 伴野 統哉 |
| メールアドレス | banno.to@fjx.jp |
| 電話番号 | 0748-36-3356 |
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