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精密加工

切削加工現場の環境負荷を低減する技術

静岡県

イノベーティブ・デザイン&テクノロジー株式会社

2026年2月3日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 電解技術を応用した環境負荷の低い切削液生成装置の研究開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 工作機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮
キーワード 電気分解、切削液、腐敗防止
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

現状の水溶性切削液に近い加工性能を有しながら、作業環境負担および廃液処理負担のない切削液生成システムの開発を行った。電解技術を応用し、環境負荷の高い成分を含む切削油を使用しないことで、使用済みの切削用電解アルカリ水を電解槽の陽極側で殺菌、中和して排水することが可能となる。同時に電解槽の陰極側では、従来技術に近い加工性能を有する電解切削液を生成する。従来技術で解決できなかった有害物質の低減および廃棄処理時負担の低減を実現する新システムである。金属加工工程において既存技術に近い加工性能を有しながら、高い防錆効果と殺菌効果を持つ切削液を生成すると同時に排水時に無害化が可能な電解装置を開発した。

開発した技術のポイント

・電解アルカリ水生成技術
-pH12±0.5の電解アルカリ水を安定して生成可能な電解槽構造を開発
-消費電解電力を最大20%削減できるイオン交換膜の最適化を実現

・殺菌・中和処理技術
-陽極反応により使用済電解切削液のpH値を5.8以上8.6以下に処理
-大腸菌群を3,000個/cm3以下、BODを160mg/L以下に殺菌・浄化

・切削性能の向上
-熱伝導率が既存水溶性切削液より高く優れた冷却性能を実現
-粘度の温度依存性が小さく安定した潤滑性を確保
-SUS304等の発熱材料において工具摩耗量を既存切削液と同等レベルに抑制

・全体システムの統合
-陰極での電解アルカリ水生成と陽極での殺菌中和を同時実行可能な統合システムを構築

具体的な成果

・電解アルカリ水の物性評価において熱伝導率0.6011W/m・Kを達成し、既存水溶性切削液(0.2323~0.4586W/m・K)を上回る冷却性能を確認
・切削力測定において電解アルカリ水と既存水溶性切削液で差異がなく、切り屑カール半径が小さく切り屑厚さが薄いことで切削時の負荷が小さいことを実証
・殺菌効果試験で大腸菌および一般生菌をほぼ0に低下させ、pH12.5の水溶液をpH8付近まで中和可能であることを確認
・実証試験において2種の加工材料(S50C、SUS304)でドリル加工500穴の切削性能評価を実施し、穴径誤差が15%以内、SUS304では工具刃先摩耗量が既存水溶性切削液とほぼ同等であることを実証
・鉄系、ステンレス材料に対しては水溶性切削液と腐食・防錆効果に差異がないことを確認

電気分解による殺菌効果
切削加工評価結果
研究開発成果の利用シーン

・金属加工業における切削液として特にSUS304等の発熱が大きい材料の加工において優れた冷却性能を発揮
・作業環境の改善を求める製造現場での悪臭抑制と労働環境向上
・環境負荷低減を重視する企業でのESG・SDGs推進活動への貢献
・廃液処理負担を削減したい加工企業での排水管理システムとして活用
・切削液の交換頻度を延長することで管理コストを削減したい製造現場
・人体への安全性を重視する作業環境での代替切削液として導入
・特別な廃棄処理が不要な環境配慮型切削システムとして中小企業での活用が期待される

実用化・事業化の状況

提携可能な製品・サービス内容

製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

・作業環境の改善: 殺菌効果により悪臭の原因となる細菌を抑制し労働環境を向上
・管理負担の軽減: pH調整や希釈作業が不要で切削液の交換期間を1.5倍以上延長可能
・人体への安全性: 有害物質を含まず作業者の健康リスクを大幅に低減
・ESG・SDGs貢献: 環境問題解決、ワークライフバランス実現、法令遵守・リスク管理徹底を同時達成
・コスト削減効果: 繰り返し使用による腐敗がなく、特別な管理が不要でコストを大幅削減

今後の実用化・事業化の見通し

技術開発および実証試験を完了し、当初の開発目標値を全て達成している状況である。協力企業での実証評価により、鉄系・ステンレス材料での切削性能が既存切削液と同等であることを確認済みで、実用化に向けた技術的課題は概ね解決している。アドバイザーからの助言を受け、環境負荷低減システムとして事業化を推進する方針を固めた。今後は「作業環境の悪化や管理面負担低減を目的とした切削液殺菌技術」に焦点を絞り、製造業界でのニーズが高い分野での市場投入を計画している。システムの実用性は実証済みであり、事業化に向けた具体的な展開が期待される段階に到達している。

実用化・事業化にあたっての課題

・材料適用範囲の限定: 銅、アルミ材料については腐食発生が大きく電解アルカリ水のみでの使用に適さない
・加工機本体への影響: アルミなど電解アルカリ水による腐食が大きい材料への対策および加工機本体への影響の検討が必要
・装置価格とランニングコスト: 従来方式との詳細なコスト比較データの提示が求められている
・ユーザーの意識変革: 製造現場の「4M」変更への抵抗があり、従来切削液からの切り替えに対するユーザーマインドの変更が必要
・立証データの充実: 事業化推進のためにさらなる立証データが必要で、チタンやインコネル等の難削材への適用評価も求められている
・市場受け入れ性: 環境負荷低減効果は確認されているが、既存切削液よりも優位となる明確な差別化要因の確立が課題

事業化に向けた提携や連携の希望

公的機関の大手企業とのマッチング支援等の利用により、技術PRを行っていきたいと考えている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 イノベーティブ・デザイン&テクノロジー株式会社
事業管理機関 公益財団法人浜松地域イノベーション推進機構
研究等実施機関 イノベーティブ・デザイン&テクノロジー株式会社
国立大学法人静岡大学
アドバイザー 株式会社はせがわ工業
日揮商事株式会社
ユアサ商事株式会社
碌々スマートテクノロジー株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 イノベーティブ・デザイン&テクノロジー株式会社(法人番号:1080401010928)
事業内容 電気分解技術を応用した製品の研究開発、製造、販売
社員数 8 名
生産拠点 本社
本社所在地 〒434-0043 静岡県浜松市浜名区中条1123-8
ホームページ http://www.innovative-dt.com
連絡先窓口 イノベーティブ・デザイン&テクノロジー株式会社 技術・R&D部門 酒井文香
メールアドレス sakai@innovative-dt.com
電話番号 053-584-3636