精密加工
鍛造工程のハイサイクル化・装置の小型化を可能とする、鍛造用油性潤滑油の開発
東京都
株式会社青木科学研究所
2020年4月10日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | アルミ鍛造の生産工程削減を可能とする潤滑油の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 自動車、産業機械、工作機械 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車のアルミ鍛造工程では、従来は水溶性潤滑剤の塗付により素材は冷却後硬化し、再加熱・二段目圧縮の両工程が必要となり、装置が大型化している。ものづくり日本大賞を受賞した潤滑剤技術を活用し、油性化による潤滑膜生成温度の上昇、1/10の少量塗布によるアルミ素材の冷却低減、鍛造に初の静電塗布を組合せた油性潤滑油の開発を通し、生産工程のダウンサイジング化・サイクルタイム短縮により、大幅なコスト削減を実現する
開発した技術のポイント
油性潤滑剤の開発により、高い金型温度、塗布量減を実現
・金型温度300℃でも潤滑膜形成
・金型への潤滑剤の塗布量→1/10
・金型の冷却性低減
(新技術)
<油性潤滑剤>
(特徴)
・突沸が起こらないため、高温金型上で潤滑膜が形成する。その結果、高温圧縮が可能となり、再加熱が不要となる。
→ハイサイクル化
・塗布量低減により、金型冷却低減。アルミ素材への圧縮圧力を減少。
→装置の小型化
具体的な成果
・金型温度300℃、塗布量を10分の1でも金型表面に潤滑膜を良好に形成
‐金型の温度が高い状態でも、金型表面に良好な潤滑膜を形成できるよう、付着効率を高める塗布条件を検討
‐従来の水溶性潤滑剤には配合不可能な添加剤を配合し、潤滑性の高い油性潤滑剤を作製
‐金型温度が300℃でも金型上の良好な油膜形成が可能となり、かつ従来の10分の1の少量塗布でも潤滑が可能に
‐塗布方法として静電塗布を実施することにより、従来の付着効率が約30%上昇潤滑剤と溶媒の研究を通じ、金型の冷却を低減できることを確認
‐潤滑剤の溶媒を水から石油系溶剤に変更することにより、気化による冷却性が従来の6分の1に抑えられることを確認
‐付着効率上昇により塗布量を従来の10分の1に抑えられたことと、石油系溶剤使用による冷却性抑制効果を合わせて、金型の冷却性を従来の60分の1以下に抑制できる可能性を見出した
知財出願や広報活動等の状況
・新聞:化学工業日報(H24.10.23)、日刊工業新聞(H24.10.25、H24.11.7)など
・受賞:埼玉県産業振興公社「優秀賞:アルミ鍛造の生産工程削減を可能とする潤滑油の開発」(H24.3.2)、埼玉産業人クラブ、「特別賞:“アルミ鍛造の生産工程削減を可能とする潤滑油の開発”を含むチャレンジ」(H24.4.26)
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化に成功、H25年度早い段階での事業化を目指す
・サンプルあり(無償、すでに4社に提供済み)
製品・サービスのPRポイント
・省エネルギー化→二段圧縮の場合、本潤滑油を使用すると冷却度合が小さいため、再度加熱する工程が不要となり、20%のサイクルタイム短縮に貢献
・小型化→潤滑油の油膜形成能力により金型縮が可能となり、圧縮圧力40%低減、プレス機の小型化が可能に
・ロス削減→水溶性潤滑剤と比べ、本潤滑油は付着効率が3倍ほど高いため油膜形成に優れており、焼きつきによるロスを低減可能
今後の実用化・事業化の見通し
5種類の潤滑油を販売予定であり、顧客2社へはH25年早い段階での納入を目指す
・事業ではA-2000系アルミ素材で良い結果が出たが、更に適用範囲をA-4000系、A-6000系へ拡大するため自費研究を実施
・川下企業の実機評価もほぼ完了し、現在、5種類の潤滑油を販売予定、顧客2社へはH25年早い段階での製品納入を目指している
・外部のコンサルタント会社に市場調査、潜在顧客等の調査を依頼し、大変良い報告を受けたほか、同社が弊社の販売代理店を希望している
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社青木科学研究所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人埼玉県産業振興公社 |
研究等実施機関 | 国立大学法人静岡大学 独立行政法人国立高等専門学校機構小山工業高等専門学校 埼玉県産業技術総合センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社青木科学研究所 |
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事業内容 | 潤滑油の製造・販売(潤滑油は金属加工油剤とエンジンオイルであり、金属加工油剤の中ではダイカスト用離型剤、プランジャー油の製造・販売が主体) |
本社所在地 | 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー18階 |
ホームページ | http://www.lubrolene.co.jp |
連絡先窓口 | プロジェクト本部本部長付 大平博文 |
メールアドレス | hohira@lubrolene.co.jp |
電話番号 | 03-3403-4301 |
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