材料製造プロセス
HVPE法による窒化アルミニウム基板成長装置開発
大阪府
株式会社水上電機製作所
2026年2月5日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | ポスト5G高周波デバイス実現に向けた低コスト高品質の窒化アルミニウム基板成長装置開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
| 対象となる産業分野 | 半導体、エレクトロニクス |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、低コスト化 |
| キーワード | 窒化物半導体、HVPE法、窒化アルミニウム、基板、成長装置 |
| 事業化状況 | 研究実施中 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業では、ポスト5G高周波デバイス実現に向けた低コスト高品質の窒化アルミニウム基板成長装置開発を行った。具体的には、HVPE成長技術を用いて4インチサイズの窒化アルミニウム基板製造装置を開発し、製造装置として販売・事業化することを目指した。研究体制は一般財団法人金属系材料研究開発センターが事業管理機関となり、株式会社水上電機製作所が国立大学法人三重大学と共同で実施した。開発装置の特徴として、サファイアを基板に用いて窒化アルミニウムの厚膜成長を行うため、窒化アルミニウム基板の4インチ大型化及びそれに伴う低コスト化が可能である。本開発装置で製造した4インチの窒化アルミニウム単結晶ウェハの販売価格は100,000円/枚前後と見積もられ、4インチSiCウェハ単価の2倍強程度までコストダウンできる。
開発した技術のポイント
・超耐熱ガスシャワーの開発
-難加工性耐熱材料を用いたガスシャワー製造技術
-厚み均一性を確保するガスシャワー構造の設計
・縦型・高品質厚膜製造装置化
-高い温度均一性を有する基板ホルダ開発
-フェイスダウン式縦型成長装置の完成
・表面欠陥の低減技術
-低密度表面異物を実現するプロセスの最適化
-フェイスダウン配置による表面異物数の低減
特に重要な技術として、1,500℃以上の高温で安定運用可能なタングステン製シャワーヘッドを開発し、窒化タングステンを形成することで反応物の付着防止と塩化水素に対する耐性を実現した。また、シミュレーションを活用した4インチ領域での均一な成長速度を実現するシャワーヘッド設計を行った。
具体的な成果
・4インチ領域で均一成膜が見込めるタングステン製ガスシャワーヘッドを完成させた
・原料ガス流量を中心部と外周部で独立に制御できる構造を実現した
・設計を進めたフェイスダウン型縦型成長装置を完成させた
・1,500℃以上まで昇温可能で、2インチ基板での周辺部と中心との温度差は10℃以下を実現した
・4インチサファイア基板上の窒化アルミニウムテンプレートにおける表面異物数は1,000個/cm2以下を達成した
・HVPE成長後に表面欠陥となる凸型の欠陥は100個/cm2以下まで低減した
・4インチの窒化アルミニウムテンプレートの膜厚の面内均一性は3%程度の非常に良好な結果を得た
・スパッタ堆積した窒化アルミニウムの高温アニールで作製したテンプレートの(0002)回折ピークの半値幅は20arcsec以下を達成した
知財出願や広報活動等の状況
窒化アルミニウム基板製造装置のコア技術については特許取得済み(国内3件、海外4件登録済)である。本事業にて開発された成長技術に関しては、検討の上で国内、そして随時米国、韓国、中国等への外国出願を検討している。装置上で最も重要なコア技術となる内部使用材料、装置構造については特許化を行う方針である。一方で、製造の詳細レシピについてはデータを開示したくないためあえて特許化せず内部ノウハウとして情報管理する。生産数の増加ならびに海外販売のために、パートナー企業による装置製造実施が必要になった場合には装置構造に関するライセンス付与を行う計画である。適宜特許調査を行い、競合特許が出てきた場合は都度対応する体制を整えている。
研究開発成果の利用シーン
・ポスト5G世代に必要な高速電子デバイスの特性を向上できる窒化アルミニウム基板を従来よりも大きな4インチサイズで製造する装置としての利用
・深紫外発光ダイオード基板への展開による殺菌・ウイルス不活化用途での活用
・次世代パワーデバイス基板としての利用により高効率化と省電力化を実現
・波長220nm帯の深紫外光源として、人体に安全な殺菌技術への応用
・遠隔医療、自動運転、工事現場、工場、ロボットなどの新サービスを支える基盤技術としての活用
・カーボンニュートラル社会の実現に向けた省電力高周波デバイス基板としての貢献
本装置で製造される高品質単結晶窒化アルミニウムウェハは、従来のSiC基板やGaN基板と比べて優れた特性を有し、既存の製造ラインをそのまま活用できるため導入が容易である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業終了の翌年を目処に、開発装置にて製造した窒化アルミニウムウェハを大学、住友電工、豊田合成にサンプル出荷し評価を実施する計画である。2026年には大学等の公的研究機関への販売を開始し、2027年度より基板製造業者に装置販売を開始する。2028年度以降は本格的に電子デバイスや発光ダイオード製造業者への販売を実施する。装置販売と同時の2027年度より、装置の消耗部品販売でも売上げを目指す。海外販売体制の構築については事業終了後3から4年目を目処に実施し、事業終了後5年目の海外販売を目指している。販売台数増加に対する対応として、事業終了後3年目を目処に装置製造を外部委託するための準備を整え、終了後4年目よりは装置製造を社内製造から外注へと移行する計画である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、共同研究・共同開発、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・将来的なサイズ大型化に対応可能な装置技術を盛り込んだ窒化アルミニウム基板成長装置
・4インチウェハ用装置価格100,000千円で高品質基板製造を実現
・従来のSiC基板やGaN基板と比べて4倍の絶縁破壊電界強度を持つ窒化アルミニウム基板の製造が可能
・バリガ指数が36,000と他材料と比べて圧倒的に高い高周波動作の限界性能指標を実現
・既存の半導体製造ラインをそのまま活用可能で新規製造ライン構築が不要
・高い熱伝導性により放熱性能に優れ、高出力デバイスでの発熱対策に有効
・1,500℃以上の超高温での安定運用を実現する世界最高水準のHVPE装置技術
・サファイア基板の5.5倍の熱伝導率を持つ窒化アルミニウム基板により深紫外発光ダイオードの高効率化を実現
今後の実用化・事業化の見通し
2029年度には既存の窒化アルミニウム基板市場の約20%、GaN基板市場の約5%、SiC基板市場の約2%を合わせた約10億円分のウェハが製造できる台数の装置販売(累計で約30台)を目指している。6G使用がほぼ確定する2029年度に本開発装置の利用により、年間に10億円相当の基板を製造することを想定し、2029年度までの累積販売台数を16台と設定した。ワイドバンドギャップ半導体単結晶の世界市場は、2027年には325億円規模(2020年対比で約2.8倍)となる予測があり、基板の大型化と低価格化が進むことで、既存の窒化アルミニウム基板市場だけでなく、GaN基板市場、SiC基板市場の一部が窒化アルミニウム基板に置き換わる見込みである。高速電子デバイスやパワー半導体は業務用・民生用の両方において需要が高く、将来的な需要も確実に伸びるものである。
実用化・事業化にあたっての課題
新型コロナウィルス感染症や半導体産業の盛況により、石英やBN材料といった主要部材の納期が令和4年度以降、1年以上に及び、さらにコストも約2倍に高騰するという予期し難い状況が発生した。HVPE装置を用いて成長実験のデータの蓄積や実証実験が十分でないことから、2027年度に販売を開始したいとしている。成長中の付着物が課題となり得るシャワーヘッドや反応管周辺において、継続的な技術改善が必要である。本装置は、長時間成長や安定稼働、さらにはメンテナンス性の向上に対しても有効な構造を備えているが、今後の稼働評価を通じて実用性を明らかにする必要がある。また、反応性・腐食性の高い原料ガスを用いる本製造装置は、定期的な部品交換が必須であり、年1回、200から300万円程度のメンテナンスコストが想定される。
事業化に向けた提携や連携の希望
本事業で開発したHVPE方式による窒化アルミニウム基板成長装置は、4インチ基板の大型化や高品質化に向けた重要な成果を得ているものの、装置としての完成度向上には継続した技術開発が不可欠である。特に、長時間成長に伴う反応管周辺での付着物対策、超高温環境における耐久性向上、ガス流分布の最適化による成膜均一性のさらなる改善など、実用化に向けて解決すべき技術課題が残されている。これらの課題に対し、HVPE装置の設計・製造、耐熱・耐腐食材料の加工、流体シミュレーションに基づく装置最適化などに優れた技術力を持つ企業との協働を強く希望する。企業との連携により、量産設備として求められる信頼性・安定性を確立し、ポスト5G/6G時代の高周波デバイスに不可欠な窒化アルミニウム基板の安定供給体制の構築を目指す。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 株式会社水上電機製作所 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 一般財団法人金属系材料研究開発センター |
| 研究等実施機関 | 株式会社水上電機製作所 国立大学法人三重大学 大学院工学研究科 |
| アドバイザー | 豊田合成株式会社 国立大学法人大阪大学 |
参考情報
- 三重大学大学院半導体デバイス研究室
- https://www.opt.elec.mie-u.ac.jp/
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 株式会社水上電機製作所(法人番号:1120001158238) |
|---|---|
| 事業内容 | 工業用電気加熱装置 |
| 社員数 | 16 名 |
| 生産拠点 | 大阪府門真市東田町13-22 |
| 本社所在地 | 〒571-0034 大阪府門真市東田町13番22号 |
| ホームページ | http://eleheat.com/index.html |
| 連絡先窓口 | 株式会社水上電機製作所 水上 学 |
| メールアドレス | manabu@eleheat.com |
| 電話番号 | 06-6908-6871 |
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