文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 世界一の超耐熱・超高靭性・高抵抗タングステン

材料製造プロセス

世界一の超耐熱・超高靭性・高抵抗タングステン

東京都

金属技研株式会社

2023年3月13日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 次世代有機ELディスプレイを省電力化・低コスト化する超耐熱高靭性タングステン材の大型化に向けた製造技術の開発
基盤技術分野 材料製造プロセス
対象となる産業分野 航空・宇宙、産業機械、スマート家電、半導体、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード タングステン、超耐熱、高靭性、高抵抗
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

近年、液晶ディスプレイ(LCD)に代わり、高精細、薄型、軽量、視野角が広く、基板を曲げることが可能という優位性から、有機ELDの市場が拡大しているが、現在は「低消費電力化」と「製造工程の低コスト化」の両立が喫緊の課題となっている。原因は蒸着セルのヒーターの使用温度上限と寿命にあると考えられ、問題の解決のため、超耐熱高靭性タングステン材料を大型化、量産化し使用することを目指す。

開発した技術のポイント

・粉末調合・粉末高純度化処理の高効率化
‐高純度グローブボックス製造能力の向上
・合金化処理の高効率化
‐粉末スパッタリング法の採用
・製造手順の簡略化・高効率化
‐新規放電プラズマ焼結(Ed-PAS)装置の開発
・超耐熱高靭性タングステンの開発・評価
‐超耐熱高靱性タングステンの評価手法の確認
‐Ed-PAS装置で製造した超耐熱高靭性タングステンの評価

具体的な成果

・タングステン(W)粉末に炭化チタン(TiC)粉末をメカニカルアロイン(MA)により、強制固溶 させ、焼結体を低歪み速度で変形させることで高靭性タングステンを得た。
・WとTiCのMA粉末の製造能力を400gから2,000gにし、放電プラズマ焼結装置によって、1から1.5日を要していた焼結過程を12時間に短縮した。
・低歪み速度で変形させる過程で、プラズマ焼結装置を応用することで、1時間程度で昇温させ、高真空環境の中で、φ55×10㎜程度の超耐熱高靭性タングステンの製造方法を確立した。
・タングステンに微量のルテニウム(Ru)を添加したW-Ruの電気抵抗が、純タングステンと比較して、室温で5.5倍、1,800℃で1.5倍の値を得られた。これは、1,800℃での発熱のジュール熱が2/3倍の消費電力に低下することを示唆している。

知財出願や広報活動等の状況

タングステン-ルテニウムの発熱体として、既に特許を申請

研究開発成果の利用シーン

従来のフィラメント型タンタル(Ta)蒸着ヒーターから板型タングステン(W)蒸着ヒーターへの移行により、次世代有機ELディスプレイの省電力化・低コスト化を提供

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

事業化に向けて、研究開発および市場調査を行っている。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

超耐熱高靭性タングステンの大型化が実現できれば、次世代有機ELディスプレイの省電力化・低コスト化に加え、有機EL蒸着装置用ヒーター、MO-CVD装置基板加熱ヒーター、セラミックス焼成用ヒーター、金属熱処理用ヒーター、半導体製造装置用ヒーターなど様々な分野で応用可能である。

今後の実用化・事業化の見通し

事業化に向けて引き続き、研究開発および市場調査を行っていく。

実用化・事業化にあたっての課題

事業化に向けて大型化が必要
・鍛造・圧延技術の確立
‐熱間での鍛造、圧延が不可欠となり、装置、条件などを確立する必要がある。
・量産体制の確立
‐価格競争力が必要であり、シンプルな工程で作るなど、さらなる研究開発が必要である。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社サンリック
事業管理機関 金属技研株式会社 技術開発本部 開発センター
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
研究等実施機関 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
アドバイザー 株式会社ユメックス
株式会社日立ハイテクマテリアルズ
株式会社エレニックス
日本原子力研究開発機構

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 金属技研株式会社(法人番号:4011201010452)
事業内容 熱処理
社員数 533 名
本社所在地 〒164-8721 東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー27F
ホームページ https://www.kinzoku.co.jp/
連絡先窓口 金属技研株式会社 開発センター 尾ノ井正裕
メールアドレス monoi@kinzoku.co.jp
電話番号 046-238-2361