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立体造形

産業用3Dプリンターによる造形を最大で10倍の高速化を達成

東京都

株式会社アスペクト

2026年1月21日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 最終製品、保守部品生産実現のための新システムと新プロセス開発による粉末溶融結合3Dプリンタの超高速化
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 医療・健康・介護、航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、半導体、エレクトロニクス、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード 一体製造,複雑形状製造,製造工程の短縮,軽量化,低コスト化
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本事業では、付加製造技術による樹脂部品の生産を念頭に置き、現状の付加製造の中で最も生産性の高い粉末床溶融結合方式について造形システム開発およびプロセス改善の両側面から高度化を行い、生産性の飛躍的な向上を目的として研究開発を実施した。具体的には、高出力レーザーおよび高速スキャナの実装、高出力レーザー使用に向けたエネルギー供給最適化、冷却時間の短縮という3つの研究課題に取り組んだ。これにより、保守部品をはじめとする樹脂部品のオンデマンド生産を可能とし、持続可能なスマートサプライチェーンの構築へ寄与することを目指した。

開発した技術のポイント

・高出力レーザーと高速スキャナの実装
‐1kWの高出力ファイバーレーザーを搭載し、走査速度30m/sを実現
‐ビーム径を200~1,500μmの範囲で調整可能な3Dスキャナを構築

・エネルギー供給最適化技術
‐フォーカスコントロールによる照射強度調整と走査間隔拡大
‐吸収特性を調整した粉末材料の開発による積層ピッチの拡大
‐透過深度300μmを実現する吸収材添加技術

・冷却時間短縮技術
‐粉末床温度の低減により冷却時間を半減可能な条件を確立
‐低温造形時の特有の変形を補正するモデルを開発

具体的な成果

・高出力レーザーシステム
‐1kWのCWシングルモードファイバーレーザーを安定的に発振可能なシステムを構築
‐走査速度30m/s、ビーム径200~1,500μmの範囲での制御を実現

・高速化プロセス
‐ビーム径および走査間隔を従来の2倍、積層ピッチを2.5倍に拡大
‐ナイロン材料において引張強度45MPa以上を維持
‐理論上最大10倍、実際のナイロン粉末造形で最大5倍の高速化を実証

・冷却時間短縮
‐粉末床温度を100℃とすることで冷却時間を半減可能であることを確認
‐低温造形時の寸法変化を予測・補正するモデルを開発

装置写真
知財出願や広報活動等の状況

・学会発表: 国内学会11件、国際学会4件
・論文発表: Journal of Manufacturing Science and Engineering誌に1編掲載
・講演: AMシンポジウムでの3回の講演
・展示会出展: Formnext 2024(ドイツ)、TCT Japan 2025での展示
・特許: 出願準備中

展示会風景_Formnext
研究開発成果の利用シーン

家電、自動車、機械、宇宙航空産業における保守部品の製造において、従来の金型を用いた製造手法に代わるオンデマンド生産手段として活用される。特に生産終了後の保守部品確保において、金型の長期保管に伴う費用負担を解決する手段として期待される。また、試作品製造の領域から脱却し、最終製品の製造装置として実用化されることで、多品種少量部品や複雑形状部品、カスタマイズ品の生産現場での活用が見込まれる。さらに、造形速度の飛躍的な向上により、従来加工法との費用対効果の改善が図られ、より幅広い産業分野での導入が促進される。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

株式会社アスペクトにおいて開発した装置について検証を進め、事業化していく予定である。本装置は高出力ファイバーレーザーによりビーム径の縮小化、ガルバノレンズの小型化、高速走査が可能なシステムとなっている。ダイナミックフォーカス、透過深度等光吸収特性の調整等が可能であり、部品強度を維持したまま少なくとも5倍高速なシステムとなっている。粉末床溶融結合用材料についても、レーザーの光源に合わせて粉末材料の光吸収特性を調節する技術を開発し、PA12やPA11を中心とした材料の実用化を進めている。造形サービスについても、自社の造形実証・検証部門において開発装置、材料を用いた部品造形検証に活用していく。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、製品製造

製品・サービスのPRポイント

・従来の10倍の高出力レーザー(1kW)を搭載し、安全性を確保した装置設計
・走査速度30m/sの高速走査と200~1,500μmの広範囲ビーム径制御を実現
・部品強度を維持したまま最大5倍の造形高速化を実証
・金型レス製造による保守部品のオンデマンド生産が可能
・冷却時間半減技術により全体的な生産効率を大幅改善
・吸収材添加による材料の光学特性調節技術で様々な樹脂材料に対応
・低温造形時の寸法補正技術により高精度部品の製造が可能
・従来加工法と比較して大幅なコスト削減を実現

今後の実用化・事業化の見通し

導入期(2025年~2026年)では株式会社アスペクトのサービスビューロー部門への装置導入により効果を明確化し、既存販路を活用した市場導入を進める。成長期(2027年~2028年)では日本3Dプリンティング産業技術協会関連企業を中心とした導入拡大と保守部品への本格適用を実現する。成熟期(2029年~)では国内外での認知度向上により他メーカーからの乗り換えが進み、付加製造技術を活用してこなかった企業まで波及してユーザ母数を増加させる。材料開発の進展により装置と材料の販売数が相乗的、加速度的に増加することが期待される。

実用化・事業化にあたっての課題

積層ピッチ拡大時の透過深度向上において、透過性向上と同時に反射が強くなり、エネルギー損失によって走査速度を低下させる必要が生じている。目標の10倍高速化実現には反射による損失を抑えた材料開発やより高エネルギーレーザーの活用が求められる。また、冷却時間短縮と造形時間短縮の同時実現において、大積層ピッチでの低温造形時に加工部表面温度が高くなりすぎる問題がある。これには透過深度をより高くして表面光吸収を抑制する必要があるが、現状の吸収材添加方法では限界があり、染料を用いた着色など新たな添加方法の検討が必要である。

事業化に向けた提携や連携の希望

樹脂溶融化プロセスの高度化がキーとなる同研究開発では、既存・新規材料等に対する有効性を適宜検証しなければならないので、国内外の材料メーカーとの連携を模索している。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社アスペクト
事業管理機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
研究等実施機関 株式会社アスペクト
国立大学法人東京大学
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
アドバイザー 株式会社トプコン
ポリプラ・エボニック株式会社
原田車両設計株式会社
一般社団法人日本3Dプリンティング産業技術協会
フォレマー合同会社
群栄化学工業株式会社
八十島プロシード株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社アスペクト(法人番号:5013401001726)
事業内容 製造業等における樹脂AM装置等の販売
社員数 40 名
本社所在地 〒206-0802 東京都稲城市東長沼3104-1-101
ホームページ https://aspect.jpn.com/
連絡先窓口 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 企画部 開発企画室 外部資金係
メールアドレス Kyoso@iri-tokyo.jp
電話番号 03-5530-2528